Skip to content

英語を読むためのルール16・その12

今枝君!distributed and~のandは何を結んでいると思いますか?あ、もしかして中学の時に習ったA, B and Cを思い出して、こんな風に区切りませんでしたか?
前よりずっと開いている、分配した、そして民主的過程
a far more open / distributed / and democratic process
A, B and Cの発想は良かったのですが、訳語を見ても意味不明なので、どこかがおかしいはずです。今回は先ずここら辺から考えてゆきましょう。
Yet the point about modern digital and genetic technologies, unlike the big science programs of the past, is that our capacity for innovation is highly distributed across thousands of laboratories in universities and companies.  As a result, it is very difficult for governments to control what goes on.  Innovation is putting modern technologies in the hands of users, whether those be personal communicators or genetic testing kits, rather than in the hands of states.  Thanks in large part to global communications and computing power, innovation has become a far more open, distributed and democratic process.
しかし、現代のデジタル技術と遺伝子技術の重要な点は、過去の大きな科学計画と異なり、技術革新を行う我々の能力は、大学や社会の何千もの研究所に十分に分散していると言うことである。その結果、行われていることを政府がコントロールするのは非常に難しくなっている。技術革新によって、現代の科学技術は、それが個人用の通信装置であれ、遺伝子検査用具一式であれ、国家ではなくむしろ利用者の手に委ねられつつある。主に地球規模の通信とコンピュータ処理能力のお陰だが、技術革新は以前よりもはるかに開かれ、広範囲に広まった、民主的な過程となっている。
第16ルールに、「等位接続詞があれば直後に注目、直前に同じ形を探し何と何とが結ばれているのかを考えろ」というのがあります。あ、今やっている「前置詞+名詞」が第1ルール、前にやった「A of B」が第2ルールですから、いきなり最終ルールに飛ぶのはちょっと心苦しいのですが、これを知らなきゃ話が進みません。
英語が世界言語になったのには色んな理由があるのですが、英語が持っている単純でシンメトリックな構造美もその理由の1つです。その万華鏡のような対称形は英語の読みやすさにもつながっています。それを明文化しているのが第16ルールです。「英語の読み方」のここでも一度やりましたね。忘れた子は見直しておいてください。
andの直後に注目すると、形容詞democraticがあるので、直前にも形容詞を探します。すると、openやdistributedという形容詞が見つかります。あ、democraticが形容詞だと分からない子は、形容詞語尾の「-ic」を覚えておくと良いでしょう。名詞を形容詞化するのに、この「-ic」をよく使います。
基礎→基礎的な
base→basic
今枝君!distributedは「-ed」で終わっているのだから、動詞の過去形だろ!と思っていませんか?それなら、動詞を形容詞化するときに使う「-ed」を覚えておくと良いでしょう。飾られる名詞が「モノ」の場合には、「モノは人によってされる」ので、動詞を形容詞化するためには、受け身の時に使う過去分詞にしてやります。言ってみれば、過去分詞が形容詞として使われているわけです。
焼き魚
grilled fish
魚は人によってグリルで焼かれるわけですから過去分詞grilledが形容詞として使われているのが分かります。でも、日本語は「焼かれた魚」になってませんよね。ここが日本語と英語の発想が大きく違っているところで、英語は「人はする・している、モノは人によってされる」の因果律に従います。一方、日本語では世にある全てのモノは勝手にそうなっているのであって、そこには人知の及ばない力が働いていると考えます。言い換えると、英語は「する・させる」の文化の、日本語は「なる」の文化の言葉なわけです。あ、ちょっと話が脱線しました。「モノは人によってされる」については、ここそこを見直しておいてください。
逆に、飾られる名詞が「人」の場合には、「人はする・している」なので、動詞を形容詞化するのに、進行形の時に使う現在分詞にしてやります。言ってみれば、現在分詞が形容詞として使われているわけです。
泣く子
a crying baby
さて、下線部のdistributedはprocess(技術革新の進行過程)を飾っていて、processは人じゃなくてモノ・コトだから、「技術革新の進行(process of innovation)」は人によって「distributed(広められる)」ので過去分詞になっているわけです。ここまで見てくれば、等位接続詞andが結んでいるのはopen、distributed、そしてdemocraticの3つの形容詞だということが分かります。今枝君!君にはandを中心に3つの形容詞が織りなす幾何学模様の美しさが分かりますか?このsymmetricな構造美が分かるようになったら、英語が大分読めるようになってきた証拠です。
あ、もう1つ知っていると良いルールがあります。これは「英語を読むためのルール16」の中には入っていませんが、とっても大切なルールです。それは「a、an、theとセットになってる名詞の間に挟まってるのは全部形容詞」というやつです。今枝君も知っての通り、a、an、theのことを「冠詞」と呼びます。ま、「冠(かんむり)」とは今風に言えば「帽子」です。じゃあ、誰が被る帽子なのかと言えば、名詞です。つまり、冠詞は名詞が被る帽子なわけですね。だから、a、an、theと名詞とは2つで1セットになっています。例えば、a catやthe dogがそうです。そして、その間に挟まっているのは名詞を飾る形容詞に決まってます。いつもa white catthe black dogの様に形容詞が短いと簡単で良いのですが、下線部くらい形容詞が長くなると、ものすごく読みにくくなってしまいます。
以前に比べるとはるかに規制緩和が進み、社会に隈なく広まった、誰もが参加できる過程
a far more open, distributed and democratic process
でも、このルールを知っていると、a processが冠詞+名詞のセットで、その間に挟まっているものは全て形容詞だと簡単に分かります。あ、democratic processを「民主的過程」とやったのでは意味不明です。技術革新に「専制的」とか「民主的」の区別はありません。そうではなくて、ここでは技術革新を今では誰もが推し進めることができると言いたいのですから、「民主的」ではなくて「庶民の」の方ですよね、赤本さん。

2 Comments

  1. ? wrote:

    すいません。英単語をシステム英単語で覚えているのですが思うように覚えられません(連想記憶術でなんとか覚えられるようになりました)のですが自分としては例えば
    ①gatherという意味を覚えるとしますと②togetherという意味から来ていて集まるというような簡単な皆が覚えている語から意味を導く単語集を探しているのですがこういう覚え方の単語集はご存知ませんか?後こういう覚え方は単語を覚えるのに適してますか?何度もすいません。

    日曜日, 3月 3, 2013 at 8:32 PM | Permalink
  2. yabu wrote:

    クエスチョン君!春休みの間に英単語を覚えようと覚悟を決めたのですね!勉強も仕事も手を着けるまでが大変で、一度始めてしまったら結構面白くなってきます。とにかく1週間頑張って続けてみてください。そうすると習慣が味方になってくれますよ!
    さて、クエスチョン君がやっている様な単語の覚え方は、単語を接頭語、接尾語、語幹の3つの部分に分けて覚えるやり方で、漢字で言うと偏(へん) や 旁(つくり)などの部首に分けて、その組み合わせで覚えるやり方と同じです。これは語源による暗記法で、結構前から皆がやってる単語の覚え方の1つです。例えばtogetherだったら、クエスチョン君がやってるように、接頭語「to (= at)」と語幹「gether(= gather)」に分けて覚えるわけです。
    今だと、この種の単語集なら『語源で覚える英単語3600 』藤井 俊勝・青灯社 、『つむぐ英単語―部品で覚える入試重要2300語』内田 浩樹・河合出版、『語源とイラストで一気に覚える英単語 』清水 建二・明日香出版社などがあります。あ、薮下は実際にこの単語集を見たわけではなく、Amazon.co.jpの検索窓で「英単語」と「接頭語」のキーワードでヒットした単語集の中の3冊です。他にも辞典の類が何冊かありました。一度自分も検索してみてください。
    さて、語源による覚え方が単語の暗記に適しているかどうかというご質問ですが、単語によって上手く行く単語と行かない単語があります。ですから、薮下がお勧めなのは色んな覚え方を組み合わせて使うやり方です。だから、「薮研」の『システム英単語連想記憶術』には、記憶術だけじゃなく語源の暗記法も載ってます。クエスチョン君はまだ高1なのだから、『語源中心英単語辞典』田代 正雄・南雲堂などの辞典を丹念に引いて語源を調べたり、連想記憶術を自分で考えてメモしたりしながら、楽しんで覚えるのも良いでしょうね。

    月曜日, 3月 4, 2013 at 9:08 AM | Permalink

Post a Comment

Your email is never published nor shared. Required fields are marked *
*
*