森田君の挑戦(21)
<問題>
1995年度・京都大学
テレビと比べて、本はつつましやかですが、それだけに子供達にとってはわがままな対しかたが可能です。気に入った本をいつでも見られるし、ページを勝手にくることもできます。そのうえ、大好きなひとに読んでもらうという楽しみさえあります。
<答案>
Compared with a TV program, a book rarely forces you to read it in a pace decided by a book. Therefore, a book allows children to read it freely. You are able to read your favorite book anytime and even to skip the pages which you don’t want to read very much and read only the others, your favorite pages. In addition to this, a book even gives you a pleasant feeling by getting a book read by someone you love.
<読者への挑戦>
赤い部分の英語が間違っています。さて、どうしてそれが間違っているのか、またどうすれば正しい表現になるのかを考えてみてください。
<添削>
森田君!君は「つつましやか」の比喩表現を見事に具体化しましたね!「人にそれを読むことを強いることはめったにない」なんて薮下には思い付きませんでした。大したものです。それに引き替え、赤本は「比喩は原則として、定訳がない限り直訳可能な場合が多い」なんて訳の分からない理由から、modestやreserved、humbleを使って良いみたいなことを言ってます。そして、books are modest when compared with televisionという変な英語を正解にしています。残念ながら、modestという形容詞は人に対してしか使えません。それに「本がつつましやかだ」の定訳がないのは当たり前で、英語ではそんな発想をしないからです(日本人の薮下も、今まで「あ゛~!この本はつつましやかだ!」なんて思ったことなんて一度もないですけどね)。だからといって、「つつましやか」を直訳してもかまわないなんて誰が決めたんでしょうかね?!ここでも書きましたが、いつもは使わない様な表現には引用符を付けることになってます。だから、赤本の答案もせめてbooks are “modest” when compared with televisionとして欲しかったです。さて、今日は「既出のthe」について勉強しましょう。
a book rarely forces you to read it in a pace decided by a book
「初出のa、既出のtheと代名詞化」については、森田君も分かっているからread itと書いているのでしょう。だったら最後のもa bookじゃなくてthe bookまたはitにしないといけません。
小説や物語などでは、読者にとって未知の情報には「初出のa」を、2度目からは既知の情報なので「既出のthe」を付けますよね。場合によってはそれが代名詞化されることもあります。でも、問題文はエッセーで、一般的な「本」の話をしているだけです。だから、「本」はa bookでもbooksでも良いのですが、同一文章内に「本」が繰り返し出てくる場合にはやっぱり「既出のthe」を付けたり、それを代名詞化したりしなくてはなりません。だからby a book を by the book か by it にしてやります。
a book even gives you a pleasant feeling by getting a book read by someone you love
これも全く同じ理由で、getting a book read by someone you loveをgetting the book read by someone you loveにしてやります。それにしても「get+物+過去分詞」で「~してもらう」の恩恵の受け身を使っているところなんかすごいですね!
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