英語を読むためのルール16・その6
<質問>
またしても『桐原書店・英文解釈の技術100』で分からないところがあります。「85.目的語が文末に回った倒置を見抜け」の大阪大学の英文とその和訳です。
By nature, Einstein was, according to all accounts, the gentlest of men, and by conviction he was a pacifist, yet he made intellectual discoveries that led the way to the invention of weapons with which the species could destroy itself. Inspired wholly by a love of knowledge for its own sake, and by an awe at the creation which bordered on the religious, he made possible an instrument of destruction with which the earth could be totally disfigured.
あらゆる話によると、アインシュタインは生来、この上もなく心のやさしい人であった、またその信念においては平和主義者であった。だが彼は、人類が使用すれば自らを破滅に追いやることになりかねない武器を、発明させる知的発見をした。知識のための知識愛とほぼ宗教的とも言える創造に対する畏敬の念とにもっぱら触発されて、使用すると、地球がその美しさを全く失うことになりかねない破壊のための道具を可能にしてしまったのである。
先生が前に、A of Bが出てきたら「BのA」とはせずに、「BがAする」、「BをAする」、「Bの中のA」、「Bの持つA」、「BでできたA」、「BというA」、「AのB」のどれかを当てはめなさい、と言ってたので僕もやってみました。
invention of weapons は「武器を発明すること」の「BをAする」だと分かったのですが、他の the gentlest of men、a love of knowledge for its own sake、an instrument of destruction が良く分かりません。とくに、an instrument of destruction は解説には「のための」と書いてあります。でも、薮下先生の挙げたA of Bの用法の中には「BのためのA」というのはありません。この3つのA of Bの用法をどうか分かりやすく教えてください。
<回答>
おや?「また」、「またまた」、「またぞろ」の次は「またしても」ですか。次はどうなるのか、とっても楽しみです。今枝君!ちゃんと言いつけを守っているなんて感心ですね!A of Bを「BのA」とやっても大概は上手くいくのですが、和訳を要求されて下線が引かれていてる英文の「A of B」の中には「BのA」では日本語が崩壊してしまうものがあります。例えばここに出てくるa love of knowledge for its own sakeもそうです。
⊿知識のための知識愛
a love of knowledge for its own sake
love of knowledgeを「知識の愛」とやってしまうとサッパリ意味不明です。だから著者も「知識愛」としたのでしょうが、残念ながら「知識愛」という日本語は広辞苑を引いても出てきません。あ、解答例を見るたびに薮下は不思議に思うのですが、一体どんな勉強をすれば辞書に出ていないような訳語が付けられるようになるのでしょうか。言い方を換えると、なぜ問題集の大半は、その解答作成の過程がこんな風にブラックボックス化しているのでしょうかね。
さて、そこで薮下が提案しているのが「7つのA of B」です。あ、ここには9つありますが、⑧と⑨は「of B」のパターンなのでA of Bとはちょっと違います。そして、love of knowledgeは②「BをAする」の目的格のofを使って訳出すると上手く行きます。つまり、「知識を愛すること」とやるのです。またfor its own sakeは「それ自体」が原義ですから、「知識それ自体を愛すること」と訳出します。ね!そうすれば、とっても簡単に、「知識のための知識愛」なんかより余程分かりやすい訳語が出来上がります。残り2つは次回のお楽しみです。
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5 Comments
お久しぶりです。
藪下先生はただでさえ国公立入試直前の指導で忙しいというのに、添削資格のない僕が質問するのは先生のお体に負担をかけてしまうようで大変恐縮なのですが、お時間が許すようでしたら回答してくださると嬉しいです。
今回の質問は、冠詞theについてです。
先生はtheについては以前2回に分けて取り上げていまして、どちらも読ませて頂きました。
一方で、辞書を開くと、theには共通認識のある名詞につく、という書き方がなされていました。
その時僕は、何か特定できるような認識があれば、その名詞にtheがつくのだということだと考えました。
2月の中盤から国公立の対策を始めた所、2011年の千葉大の英語で定型英作文が出題されており、第一文目で
「私は朝早く海岸まで散歩するのを日課にしている。」
とありました。
I usually walk to the beach early in the morning every day.
と書いてみたものの、
「海岸が認識できたらtheをつける」のか、
「この文章の「私」が見ている海岸を認識できたらtheをつける」のかわかりませんでした。
できた英文を読み上げた限りでは、たしかにtheがないと読みづらいです。しかし、感覚で処理し続けるのは大変危険だと思います。
この「共通認識」というのはどこまではっきりと、もしくはぼんやりしているものなのでしょうか?
長文で失礼しました。
Allen君!添削資格なんてものはこの世の中にはありませんよ!何か分からないことがあったらいつでも質問してくださいね。でも、この3週間で延べにして200大学分の問題を解いたので、もうヘロヘロですがね。
さて、ご質問のtheですが、共通認識という場合に、「みんながよく知っているあの・・・」というのと、「みんなが思い浮かべる同じ様なイメージとしての・・・」というのもあるのです。例えばこんな具合です。
⊿私は病院へ行く途中、交通渋滞にあって立ち往生してしまった。[Weblio]
I was held up on my way to the hospital in a traffic jam.
「病院へ行く」と言うとき、hospitalにはtheを付けます。でも、これは「みんながよく知っている病院」ではなく、「病院」と聞いたとき「みんなが思い浮かべる同じようなイメージとしての病院」なわけです。他にも「田舎」にtheが付くのも同じ理由です。
⊿田舎の方がずっと暮らしが楽だ.[Weblio]
Living is much easier in the country.
ですから、「海岸を散歩する」と言うときにbeachにtheが付くのは、みんなが頭に思い浮かべる海岸のイメージにほとんど差異がないからなのです。
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初歩的な話で申し訳ないのですが、前置詞+名詞の扱いについて質問があります。
例えば「私は彼と今週の土曜日の午後3時、公園で会うつもりだ」と言う文を作文する場合、
I’m going to meet him までは分かるのですが、その続きの場所・時間・日にちの説明の順番はどうなるのでしょうか?教えてください。
Gum君!上手くコメントができて良かったですね。4Gの諸君からの初の投稿を歓迎しますよ!さて、ご質問ですが、副詞の順番は、何か特別に強調したい場合は別として、普通は「所ジョージ」と覚えてください。あ、これは「場所、状態、時間」の駄洒落です。
⊿僕は友達と放課後公園で野球をした。
I played baseball at the park with my friend after school.
先ず場所が来ますから<at the park>、次にどの様にしてやったのかという状態が来ますから<with my friend>、最後に何時やったのかの時間が来ますから<after school>となります。ご質問の英文もこの順番で並べてやればよいわけです。
⊿私は彼と今週の土曜日の午後3時、公園で会うつもりです。
I am going to meet him at the park at 3:00 p.m. on this Saturday.
あ、「午後3時」も「土曜日」も同じ<時間>なのですが、英語は中心から周辺に向かいます。つまり、一番言いたいことを先ず言ってしまって、徐々に外に広がってゆくわけです。これは、住所の表記法を考えるとよく分かります。例えば、学校の住所を英語にするとこうなります。
⊿名古屋市東区砂田橋2丁目1の58
1-58. Sunadabashi 2-chome, Higashi-ku, Nagoya
ほらね!日本語は周辺から核心へ向かって収束しているのに対して、英語は核心から周辺へ拡散していますよね。だから、先ず「午後3時」を言っておいてから「土曜日」がそれに続くわけです。
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200大学ですか…すごい量ですね…
お体にお気をつけて下さい。
ありがとうございました。
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