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AKB47君の憂鬱(9)

<質問>
以下は2005年度の大阪大学・大問Ⅰ(B)の英文からの抜粋と、その部分の赤本の和訳です。
    Research is hard work, but like any challenging job well done, buth the process and the results bring immense personal satisfaction. But research and its reporting are also social acts that require you to think steadily about how your work relates to your readers, about the responsibility you have not just toward your subject and yourself, but toward them as well, especially when you believe that you have something to say that is important enough to cause readers to change their lives by changing what and how they think.
    研究というものは大変な仕事だが、うまくいったどんな困難な仕事もそうであるように、その課程と結果の両方が大きな個人的満足感をもたらしてくれる。しかし、研究とその報告は、自分の取り組んだことが読み手にどう関わるのか、自分の取り上げた主題や自分自身に対してだけでなく、読み手に対してもつ責任についても、しっかりと考える必要のある社会的な行動である。考えや考え方を変えることによって読み手が生活を変えることになるくらい重要なことを、自分がこれから述べるのだと信じているときは、特にそうである。
  赤本はこのコンマをandと捉えてthink about A and about B(AやBについて考える)と訳しています。でも、もしそうなら、コンマじゃなくてandになっているはずで、僕はこれは同格のコンマだと思うのですが、僕の考えは間違っていますか?
<回答>
AKB47君!君の考えは間違ってはいませんよ!これは君の言うとおり「同格のコンマ」です。英語は先ず簡単に、抽象的に言いたいこと表現しておいて、次にそれを具体的に説明します。この阪大の問題文も、「君の研究と読者との関係」と簡潔に抽象的に言っておいて、次にそれを「君の研究対象や君自身に対してだけでなく、読者に対しても君が負うべき責任」と具体的に説明しています。ですから、AKB47君のご指摘の通りで、これは「君の研究と読者との関係、言い換えると君の研究対象や君自身に対してだけでなく、読者に対しても君が負うべき責任」と訳出しなくてはなりません。
コンマの役割について、AKB47君は前に一度ここで質問していますね。そこでも書いたように、和訳するときには「区切るコンマ」、「つなぐコンマ」、そして「同格のコンマ」の3つをちゃんと区別しなくてはなりません。そして、確かに「つなぐコンマ」は and や or の代わりに使えるのですが、これはあくまでも省略表現の一つで、A and B and Cではたどたどしいから and を省略してA, B, and Cと言うわけです。だから、それが「つなぐコンマ」なら、コンマの直後に and や or があるはずです。ま、場合によってはA, BをA and Bの意味で使っている悪文もあるので、前後の関係からそれが「同格のコンマ」なのか、それとも「つなぐコンマ」なのかをしっかり判断しなくてはなりません。この阪大の下線部訳は、「同格のコンマ」の訳出が重要なポイントになっているはずなので、赤本のような答案を書いてしまうと、大きく減点されることを覚悟しなくてはなりません。

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