Skip to content

原君からの質問(3)

前回に引き続いて、2013年度・名古屋大学、大問Ⅰの第2段落の付帯状況分詞構文(以下、付分)を考えます。
 A strong current of discontent is evident in the tourist writing between 1840 and 1900, centered on the theme of urban modernity.  Continental visions of the city therefore suggest a differentiation between types of urban modernity.  The more technologically orientated sites of progress―railways and gasworks, for instance―represented only the most obvious and intrusive results of this modernity.  On the other hand, London’s cultural products―which were perceived as being influenced by the British Empire―were praised highly as indicators of civilization and splendor, being necessary to refresh and advance the city’s pool of intellect.
 都市の近代性というテーマを中心にした、1840年から1900年にかけて書かれた紀行文には、強い不満の傾向が見られる。そのため、ロンドンに対するヨーロッパ大陸の見方は、都市の近代性の種類によって異なることを示唆している。例えば鉄道やガス工場など、より技術志向の発展をしている場所は、この近代性の最も露骨なおしつけがましい結果としてのみ表現された。一方、大英帝国の影響が感じられるロンドンの文化的所産については、文明と壮麗さを示すもの、ロンドンの知性の蓄積が活気づき、前進するために必要なものとして大いに賞賛されたのだ。
下線部にある「~, being necessary to refresh and advance the city’s pool of intellect」は付分です。そして、ここでも書きましたが、分詞の意味上の主語は原則的に直前文の主語と一致します。だから、being necessaryの主語はLondon’s cultural productsじゃないといけません。
ロンドンの観光文化施設は、ロンドンに結集された叡智が活気づき、向上するのに必要なものである。
London’s cultural products were necessary to refresh and advance the city’s pool of intellect.
the city’s pool of intellectは直訳すると確かに「ロンドンの知性の蓄積」なのだけど、「蓄積が活気づく」ことになってしまって意味が通りません。それに、pool of knowledgeは聞いたことがありますが、pool of intellectとはあまり言いません。ま、「ロンドンの街に今まで積み重ねられてきた知恵や知識」くらいの意味で使ってるのでしょう。また、London’s cultural productsは、前の段落のfabulous squares and parksやLondon’s monuments and cultural accomplishmentsを指しているので、「観光文化施設」と訳出しておきます。さらに、civilization and splendorを「文明と壮麗さ」とやるとandの持つ対称性が崩れてしまうので、「洗練と壮麗」にします。
そして、付分は「~しながら(同時)」か「~して、そして・・・(連続)」の単純な意味しか表現出来ません。あ、前にここでやった京都大学の付分は特殊な用法ですから、ここでは考えなくてもOKです。それにこれは論説文ですから、「連続」で訳出するのが適当です。こんな具合です。
一方、ロンドンの観光文化施設は、大英帝国の影響を受けていると考えられていて、洗練と壮麗のバロメータとして高く評価されている。そして、その観光文化施設はロンドンに結集する叡智が刺激されて活気づき、向上するのに必要なものなのである。
これで「付帯状況分詞構文」をちゃんと「連続」で訳出できました。赤本が失敗しているのは、「, being necessary~」のコンマを「付分のコンマ」じゃなくて「同格のコンマ」だと誤断したところです。
文明と壮麗さを示すものロンドンの知性の蓄積が活気づき、前進するために必要なもの
indicators of civilization and splendorbeing necessary to refresh and advance the city’s pool of intellect
でも、残念ながら「同格のコンマ」は[名詞],[名詞]にならないといけません。決して[名詞],[動名詞]にはなりませんよ!こんなことも分からないようでは、もしかすると今薮下が教えてる高校生たちの方が、この解説者よりも英語ができるんじゃないですかね?
もう1つ気に入らないのが次の和訳です。
鉄道やガス工場など、より技術指向の発展をしている場所
the more technologically oriented sites of progress―railways and gasworks, for instance
これってGoogle翻訳かなんかの日本語訳じゃないですか?「より技術指向の発展をしている」って、日本語が崩壊しています。「技術指向が発展する」って、一体何なのでしょうか?ここで指摘した同志社大の和訳と同じで、最近の赤本の解説者は機械翻訳を使ってるとしか思えません。こんなのでお金を取っては詐欺ですよ。
鉄道やガス工場などの、科学技術の進歩を象徴している様な場所
the sites that are representative of technological progress
ロンドンの街には極端な2面性(combining the extremes of urban life)があって、1つの方向性がsquares and parksに代表される古いもの、もう1つがrailways and gasworksに代表される近代的な産業(industrial modernity)だと書いてあります。だから、このoriented sitesは「極端な2面性の内の、1つの方向性を示す場所」が原義です。だから、そのまま直訳して「指向する」とやってはいけないのです。(この子、本当にバカじゃないの?) こんな子に名古屋大学の解説をさせてはいけません。
前に「赤本=バカ本」と書きましたが、「赤本=バカ本」に訂正します。本当にいい加減にして欲しいものです。こんな解説を読んで、英語の勉強になるのでしょうか?まったくのお金のムダだと薮下は思いますがね。

Post a Comment

Your email is never published nor shared. Required fields are marked *
*
*