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夏のアブラゼミ 第12日目 ちょっとだけ同格のthat

「夏のアブラゼミ」12日目です。引き続き、伊藤和夫氏の『英文解釈教室 改訂版』に出てくる英文をやってます。今日やるところにはA of Bが出てこないので、ちょっと道草をして、「同格のthat」についてちょっとだけ勉強しましょう。
【問題】
  The very bigness of America has an importance in the formation of its tradition which it is not easy to overestimate.  It creates the belief that America is different, is somehow exceptional, that there is reserved for its citizens another destiny from that which is to befall the Old World.
<英文解釈教室>
【解説】
それぞれの段落には、著者がその段落で話題にしたいことが必ず1つあって、それが形を変えて何度も登場します。例えばこんな具合です。
冬に暖を取るために毛皮のコートを着る人がいるが、毛皮自体が決して暖かいわけではないということはあまり知られていない。実際、毛皮は周囲の環境と同じ温度なのである。
Some people wear a fur coat for warmth in winter, but few realize that the fur in itself is not really warm at all.  In fact, it has the same temperature as its environment.
読者と著者の間で初めて取り上げられる話題(テーマ、キーワード)は「a+名詞」の形をとります。これを「初出のa」と呼びます。その話題が次に出てくるときには、既に読者と著者の間に共通認識があるので「the+名詞」に形を変えます。これを「既出のthe」と呼びます。その後は「the+名詞」を繰り返し使って話題を表現しても悪くはないのですが、普通は代名詞化されます。だから、代名詞が出てきたら、それがその段落で著者が話題にしている最重要事項だと考えながら英語を読み進むことです。
それを考えて後半の英文を読んでみると、It creates the belief~のitはテーマが代名詞化したものじゃないかと推察できます。前の所でも書きましたが、この文章のテーマは、冒頭文の主語になっている「アメリカがとても広大であること」です。だから後半の英文はこんな出だしです。
アメリカが広大であることは信念を生む。
It(=The great expanse of America) creates the belief.
さて、問題はbeliefの直後のthatです。beliefやfact、ideaなどの特定の名詞の直後にthatが来ていて、その名詞の具体的説明をそのthatが導いているような場合に、そのthatを「同格のthat」と呼びます。こんな具合です。
僕らは彼がそこへ行ったという事実を信じている。
We believe the fact that he went there.
「その事実=彼がそこへ言ったこと」の等式が成り立つので「同格」と考えてけ結構です。和訳するときには「BというA」の訳語を当てはめると良いでしょう。こんな具合です。
アメリカが広大であることは、アメリカは他の国とは違うのだという信念を生む。
It creates the belief that America is different.
同格のthatについてもっと知りたいこはここそこで勉強してください。薮研の検索窓を使って「同格」というキーワードで検索してみるのも良いでしょう。
次に、, is somehow exceptional, that~ですが、この2つのコンマ(,)をどう扱うかを考えましょう。前にここでも書いたのですが、コンマには「区切るコンマ」と「つなぐコンマ」があって、つなぐコンマ」ならandやorを補って考えると良いわけです。そうすると、例の「and、but、orが出てきたら、直後に注目して、直前に同じ形を探せ」が有効になります。つまり、コンマ(,)の後ろにandを補ってやって、直後に注目するとisがあり、直前にisを探すとちゃんと見つかりますね!ということは、このコンマは、共通の主語Americaの後ろにある2つのisを結んでいると分かるわけです。こんな具合です。
アメリカが広大であることは、アメリカは他国とは違い、どういうワケかアメリカが別格であるという信念を生む。
It creates the belief that America is different, [and] is somehow exceptional.
次のコンマも同じで、コンマの後ろにandがあると考えて、直後に注目すればthat、直前にthatを探せば「同格のthat」が見つかります。ということは、beliefの説明が2つあることが分かります。ま、英語の論理展開は「抽象→具体」なのだから、最初のthat+文はbeliefの抽象的な説明で、2つ目のthat+文はそれをもう少し具体化した説明だと考えながら読めるようになると大したものです。
じゃあ、beliefについての具体的な説明を見てみましょう。anotherには「別の、もう1つの」と「違った、異なった」の2つの意味があります。ここでは「もう1つの運命」とか「別の運命」ではよく分からないので「違う運命」を選ぶのが良いでしょう。ということは、このanotherはdifferentと同じなわけです。そう考えると、前置詞fromが生きてきます。
君には、僕とは違う運命が待ち構えている。
You will have another destiny from mine [=my destiny].
=You will have a different destiny from mine.
befallという他動詞は「悪いことが人に降りかかる」という意味です。だから、新世界(アメリカ)と違い、旧世界(ヨーロッパ)は良くない運命に見舞われると言いたいのでしょうね。
(良くない)運命が旧世界に降りかかるだろう。
(Bad) Destiny is (going) to befall the Old World
この2つを考え合わせて次のような英文を作ってみましょう。
アメリカには、旧世界に降りかかる運命とは違う運命が待ち構えているだろう。
America will have another destiny from the destiny which is to befall the Old World.
「人 have 物」も「there is 物」もほとんど同じ意味、destinyの繰り返しを避けるために「それ」の意味のthatにし、助動詞be going toを格式の高いbe toにしたのが次の英語。あ、「それ」は「の」という日本語に当たります。
アメリカには、旧世界に降りかかるのとは違う運命が待ち構えている。
There is another destiny from that which is to befall the Old World.
あと、残っているのはreserved for its citizenですが、これは何だか分かりますか?次までにちゃんと考えておいてくださいね!今日はこのくらいにしておきましょう。

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