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夏のアブラゼミ 第3日目 and、but、orが結ぶものを見極めろ!①

「夏のアブラゼミ」の3日目は、前回と同じ名古屋大学の問題を使って、下線部以外の英文をやってみましょう。
【問題】
  Learning words increases the size of a child’s vocabulary.  Behind this obvious truth lies a set of complex issues concerning the wide range of information that children employ in learning new words.  But does the size of a child’s vocabulary influence how he or she learns, or retains, new words?  Clearly, there must be a relationship between the child’s ability to learn new words and the size of his or her vocabulary.
<名古屋大学>
【解説】
Learning wordsは、直後にincreases(増加させる)の意味の動詞が来てますから、主語になっていることが分かります。だから、現在分詞で形容詞の「言葉を学習している」でもなく、分詞構文で副詞の「言葉を学習するとき」でもなく、動名詞の「言葉を学習すること」だと分かります。the size of Bで「Bの持つ大きさ」の意味。つまり、このA of Bは「所有格のof」で「Bの持つA」です。A of Bがよく分からない子はここを参照してみてください。ま、「子供の語彙の持つ大きさ」では意味不明だから「子供の語彙の量」くらいにしてやります。そうすると、最初の文は「言葉を学習することは子供の語彙の量を増加させる」となります。この「させる」という表現は英語独特で、日本語にはあまり馴染まない発想です。だから日本語にするときには、勝手にそう「なる」と翻訳してやると格好良くなります。つまり、「増加させる」を「増える」にしてやります。この日本的な「なる」の文化についてはここそこで前に書いているので、興味のある子は読んでみてください。
【全訳例】
[新しい]言葉を学習すると、子供の語彙の量が増える。
次の英文ですが、中学の時に間接疑問文というのをやりましたね。こんなやつです。
彼女ってどこに住んでるの?=[直接]疑問文
Where does she live?
彼女がどこに住んでいるのか知ってますか。=間接疑問文
Do you know where she lives.
「彼女ってどこに住んでるの?」とズケズケと直接訊(き)くよりも、もうちょっとやわらかく遠回しに「彼女が住んでいるところを知ってる?」って尋ねる方が好感が持てます。この「やわらかくて遠回しの訊き方」が「間接」の意味です。要は疑問文に特有のdo、does、didがなくて、「疑問詞+SV」の形が名詞で使われているわけです。だから、正確に和訳するには「ということ」をつけてやります。間接疑問文についてもっと勉強したい子はここを参照してみてください。
彼女がどこに住んでいるかということ
where she lives
今何時かと言うこと
what time it is
僕が誰かと言うこと
who I am
さて、問題文のhow he or she learnsも間接疑問文です。he or sheは「彼または彼女」ではなくてa childのことですから「子供」と訳出します。
どの様に子供が学習するかということ
how he or she learns
じゃあ、次のor retainsって何でしょうね?この様に唐突に接続詞が出てくると、今までの文脈の何と、このor retainsが結ばれているのか分からなくなります。そういうわけで、and、but、orは下線部訳の常連なのですよ!突き詰めると、英文和訳は「飾りが何に係(かか)っているのか、接続詞が何と何を結んでいるのか」を見極めるのがポイントだと言えます。
実は、接続詞が結んでいるものを見極めるための必殺技があります。それが「and、but、orがでてきたら直後に注目し、直前に同じ形(文法的に同じ機能を果たす語句)を探せ!」です。orの直後に注目すると、retainsが出てきます。これには3単現の-sが付いていますね。そこで、直前にも3単現の-sが付いてる語を探します。すると、learnsが目に入ります。だったら、orが結んでいるのはlearnsとretainsだ!と分かるわけです。
どの様に子供が学習したり、または記憶したりするかということ
how he or she learns, or retains
ここで忘れてはいけないことは、learnsもretainsも他動詞だということです。つまり、learnsもretainsも「何を」の目的語が必要なわけですね。それを考え合わせると、こうなります。
どの様に子供が新しい言葉を学習したり、または記憶したりするかということ
how he or she learns, or retains, new words
【全訳例】
しかし、子供の語彙の量が、子供が新しい言葉をどう学習するか、言い換えると、新しい言葉をどう記憶するかということに影響を及ぼすのだろうか。
実は、このorはコンマで挟まれていてるので「同格のor」だと分かります。だから「言い換えると」とか「つまり」「すなわち」と和訳します。「同格のor」に付いてはここを参照してみてください。そして、「新しい言葉をどう学習するか」を「新しい言葉の学習の仕方」に、「新しい言葉をどう記憶するか」を「新しい言葉の記憶の仕方」と訳し換えた方が歯切れが良くなりますね。さて、次回は最後の英文を考えます。
Clearly, there must be a relationship between the child’s ability to learn new words and the size of his or her vocabulary.
この and が何を何を結んでいるのか分かりましたか?

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