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乾君の挑戦・その9(2)

<問題>
文章を書く場合、多くの人がメモをとるだろう。何も考えずに書き出すと、よほど書き慣れた人でないかぎり、考えが深まらなかったり、まとまらなかったりするのは目に見えている。考えるべき問題について、多方面からメモを取っておく必要がある。それと同じように、会話する場合も自分の主張を本格的に語る前に、人に質問をしたり、出来事を確認したりする。つまり、探りを入れながら、だんだんと自分の意見をまとめていくわけだ。
<答案>
If you start to write without thinking, unless you are used to writing, you can’t think deeply or clearly.  You have to take notes on points in question from different perspectives.  Also when you chat with others, you have to question others and check an episode before you begin to talk about your opinion.  In other words, it is important that you gradually make your opinion more clear, looking into an opponent.
<読者への挑戦>
赤い部分の英語が間違っています。さて、どうしてそれが間違っているのか、またどうすれば正しい表現になるのかを考えてみてください。あ、緑の部分は前に添削をして訂正したところです。
<添削>
「出来事」って何を使えばよいの?
「出来事」の意味で最も一般的なのがeventです。それを頭に置いて次のOEDから引いてきた「出来事」の定義を見てください。
incident = an event, especially one that is unusual, important, or violent.
accident =unpleasant event, especially in a vehicle, that happens unexpectedly and causes injury or damage
happening = an event that happens, often something unusual
experience = an event or activity that effects you in some way
episode = an event, a situation in somebody’s life, a novel, etc. that is important or interesting in some way
日本語にするとこんな具合です。
incident=出来事、特に異常で、重大で、暴力的な事件のこと
accident=いやな出来事、特に予期せぬ乗り物の事故で、怪我をしたり損害を被ったする。
happening=思いがけない出来事。非日常的で素敵なハプニング
experience=人が経験する、何らかの影響を与えてくれる出来事や状況。
episode=人生や物語に出てくる、どこか面白くて大切な出来事逸話挿話
「事件」「事故」「ハプニング」「経験」「挿話」は薮下が勝手に使いましたが、この方が分かりやすいと思います。ここから分かることは、「事件」も「事故」も「ハプニング」も「経験」も「逸話」も、全部「出来事」だということです。
だから「出来事」を英語にするときは気をつけないといけません。
さて、問題文ですが、「会話する場合も自分の主張を本格的に語る前に、人に質問をしたり、出来事を確認したりする(必要がある)」もボンヤリした日本語です。何よりも「人に質問したり、出来事を確認したり」をハッキリさせる必要があります。昨日やった部分を思い出しましょう。言いたいことは情報収集の大切さでしたね。だったら、「情報収集」から問題文を組み立て直すとこうなります。
「文章を書くときは、問題にすべきポイント(論点)について、色んな視点から情報を収集する必要がある
それと同様に
「人と会話するときも、いきなりテーマの論点に切り込むのではなく、相手がテーマについて知っているかどうか、またテーマについてお互いが共有できる経験があるかどうかについて情報を交換しておく必要がある」
どうですか?これで言いたいことがハッキリしましたね。この文脈で「出来事」はexperienceだということが分かります。英語にするとこうなります。
   When talking to people, don’t suddenly just delve into the points in question concerning a topic. It’s important to ask if the other person knows about the topic you want to discuss and exchange information to discover if you both have experiences in common related to the topic.
乾君のcheck an episodeは論外で、訂正の仕様がありません。次回は「探りを入れながら」を考えましょう。

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