今井君からの質問
<質問>
これは2014年度の明治大学、全学部統一入試の大問1です。
For a great king, he was rather diminutively proportioned at only 5ft 4in (1.63m). One of history’s most notable shoe collectors was Louis ⅩⅣof France. He supplemented his stature by a further 4in (10cm) with heels, often elaborately decorated with depictions of battle scenes.
赤本の訳はこうなってました。
靴のコレクターで歴史上最も有名な人の1人は、フランスのルイ14世であった。彼は偉大な王のわりには、かなり背が小さく、5フィート4インチ(163㌢)しかなかった。彼は自分の身長を4インチ(10㌢)高いヒールで補っており、戦闘シーンの絵では大げさに描かれていることが多い。
僕はこう訳しました。
歴史上、とても有名な靴コレクターの1人は、フランスのルイ14世だった。偉大な王様だった割には、彼は身体が小さくて、たった163㌢しかなかった。戦闘シーンの凝った装飾が施されたヒールを履いて、自分の身長よりも10㌢高くすることで、彼は身長を高く見せたのだ。
僕はoften elaborately decorated with depictions of battle scenesを, which wereの省略と考えて「戦闘ジーンの凝った装飾が施されたヒール」と訳しました。でも、赤本は、「戦闘シーンの絵(の中)では、(そのヒールは)大げさに描かれていることが多い」としています。でも、どう考えてもA is decorated with Bは「Bで飾られたA」の意味で、「戦闘シーンが描かれた絵」にはならないと思うのですが、薮下先生の考えを聞かせてください。
<回答>
今井君!リンガメタリカは調子よく進んでますか?それにしても、いつもながら赤本の誤訳には呆れます。この参考書を使って英語が勉強できるのでしょうかね?問題化されてない部分の日本語訳にはほとんど注意を払ってはいないということが分かります。
これは君の言う通りで、当該英文はa book [which is] written in Englishと同じ構造です。だから「戦闘シーンが丁寧に描かれたハイヒール」が正しい訳です。おそらく、赤本の著者はdepictionsを「肖像」と考えて「戦闘シーンの肖像画では、ハイヒールが大げさに描かれている」と誤訳したのでしょう。でも、このA of Bは「BをAする」の目的格ですから、「戦闘シーンを描写する」と考えなくてはいけません。本当にアホな誤訳です。この著者は名詞構文さえ分かっていないってことですからね。
【追記】
このブログ記事に関してたくさんのメールをもらいました。だから、もう少し説明を付け加えた方が良さそうです。decorateは「飾る」です。それに「手段・方法のwith」をひっつけてA is decorated with Bが出来上がります。これで「AはBを使って装飾が施されている」の意味です。もし、赤本の誤訳のようにしたければ「戦闘シーンの中にヒールが描かれている」にしなくてはなりません。こんな具合です。
⊿ヒールには戦闘シーンの描写の装飾が施されている。
The heels were decorated with depiction of battle scenes.
⊿戦闘シーンの中でヒールが描かれている。
The heels were depicted in the pictures of battle scenes.
常識から推測されるストーリーとしては「戦闘シーンの中にハイヒールが誇張されて描かれている」は秀逸です。でも、英語はそうはなってないということです。
・
3 Comments
横槍を入れるようで申し訳ないのですが、”戦闘シーンの凝った装飾が施されたヒールを履いて”や”「戦闘シーンが丁寧に描かれたハイヒール」”というのは私の語感ではピンと来ません。縞模様のハイヒールがあるように、このルイ14世のハイヒールには、「戦闘シーン」の模様が書いてあるのでしょうか。
はい、CHIさんの仰るとおりで、ハイヒールに「戦闘シーン」が描かれているわけです。
⊿ヒールには戦闘シーンの描写が施されている。
The heels were decorated with depiction of battle scenes.
⊿戦闘シーンの中でヒールが描かれている。
The heels were depicted in the pictures of battle scenes.
10センチの高さのあるヒールですから、そこに色んな絵を描いたのでしょう。
なるほど、そういう訳だったのですね。
私の想像力では縞模様が限界で、ヒールに絵が書いてあろうとは想像も出来ませんでした。
てっきり、ルイ14世の有名な肖像画(世界史の教科書に良く載っているものです)
のことを指しているのかと思っておりました。勉強になりました。
Post a Comment