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今井君からの質問

<質問>
旺文社の『基礎英語長文問題精講』、前期10週の問題9に次の様なところがあります。
She took life one day at a time, made the best of every day, and never let things get the better of her.
この中に出てくるnever let things get the better of herを中原先生は「決して何事にも打ち負かされることはなかった」と和訳しています。でも、「何かが人を打ち負かす」という日本語を僕は聞いたことがありません。薮下先生の考えを聞かせてください。
<回答>
今井君!これは君の言う通りで、「テストの点数の悪さが僕を打ち負かした」とか「僕はテストの点の悪さに打ち負かされた」って変ですよね。ま、「Aget the better of B」には「AがBを打ち負かす」という訳語が付くことが多いので、こんなへんてこりんな訳を著者は付けたのだと思います。
そのテストの点数が悪かったので僕は落ち込んだ
My poor performance on the exam got the better of me.
もし主語が「テストでとった悪い点数」なら、「打ち負かされた」じゃなくて「落ち込んだ」の方が良い訳語です。人が主語になることもあります。
仕事で彼を出し抜くことは難しい。
I cannot get the better of him in business.
「彼を仕事で打ち負かす」じゃなくて「出し抜く」の方がピッタリきます。そして、件(くだん)の問題集の英語ですが、薮下ならこのように日本語にします。
お母さんは何事にも決してへこたれることはなかった。
Mother never let things get the better of her.
「なにごとにも打ち負かされることはない」よりも「なにごとにもへこたれない」の方がシックリきます。ま、受験英語にでてくる日本語は、この程度だと思っていてください。つまり、入試なら「打ち負かされる」、翻訳なら「へこたれる」。昔、原仙作が書いた「標準問題精講」というのがあって、薮下もお世話になりました。原先生の日本語は完璧でしたね。逆に、日本語が流暢過ぎるので、英語の構造が分かりにくかった。だから、学習者にとって、どっちが良いとは一概には言えないのです。でも、1つハッキリしているのは、昔に比べて受験生の学力レベルが下がっているので、参考書の著者たちもそれに合わせているということです。

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