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車戸君からの質問(10)その5

<質問>
前回のブログを参照のこと
<回答>
主節の主語と分詞節の主語が違っている場合は、分詞節の主語は消さずに残しておきます。いくら「付加的な説明」とは言っても、主語を消してしまうと元々何があったのか分からなくなってしまいますからね。
夜になったので、彼は家に入った。
As night came on.>,<He went indoors.>
理由の接続詞 asが2つの文を結んでいます。「言いたい核心」がHe went indoors、「その付加的な説明」がNight came onです。主語が違うので、前とは手順が変わってきます。
①接続詞を消す。
②主語が違うから残しておく。
③動詞を分詞に変える。
そうやって出来たのが次の英文です。
夜になっ、彼は家に入った。
Night coming on, he went indoors.
この文頭分詞構文の特徴は、「言いたい核心」→「その付加的な説明」の順番が逆になっている点です。つまり、「その付加的な説明」→「言いたい核心」の順番になっているわけです。どうして順序が逆転するのかというと、この英文が「原因→結果」の順接の流れに乗っていること、そして分詞構文化することによって「付加的な説明」の重量が軽くなってET型(頭デッカチ)が多少ゆるんだからだと考えられます。
でも、いくら「原因結果」の流れに乗っているとはいっても、「言いたい核心」→「その付加的な説明」の順番は英語にとって自然な流れですから、<He went indoors>→<As night came on>でも当然表現できます。こんな具合です。
夜になって、彼は家に入った。
He went indoors, night having come on.
原因結果」は出来事の順番に並んでいるので良いのですが、それを「言いたい核心」→「その付加的説明」の順にひっくり返すのですから、<Night came on>の方が先に起きたことを明示しておく方が親切です。そこで<He went indoors>よりも古い時間を完了を使って<Night had come on>と表現し、それを分詞構文化したのが上の例文なわけです。
簡単にまとめておくと、「主節の主語」と「分詞節の主語」が違っていたら残しておきさえすればOK。ポイントは「原因結果」の流れと「言いたい核心」→「その付加的な説明」の流れとが常に真逆になるので、「言いたい核心」→「その付加的な説明」を文中分詞構文(付帯状況分詞構文)で表現しようとすると、「原因」の方が時間的に先に起こったことを表現したいので「, having+過去分詞」の形になっているわけです。これが京都大学が好んで出題する「理由・原因」の付帯状況分詞構文です。
京都大学は今までにも、この「理由・原因」の付帯状況分詞構文を結構出題しています。直近のやつでは、2013年度・前期Ⅱの問題に出てきます。こんな具合です。
ドアを手前に動かすためには、ノブの裏に指をかけて引っ張らないといけないし、ドアを押し開けるためには、ノブの前面を押さないといけない。僕らにはドアの開け方が身についているので、当然これら全てのことを考えずに行うことができる。
To move the door towards us our fingers must pull the back of the knob or we must press the front of the knob to push it open.  We do all this naturally, of course, having learned the way to open a door.
ここは下線が引かれていないのであまり意識しませんが、今度京都大学が和訳を求めてきたときにはちゃんと正解にたどり着いてくださいね。あ、時間経過と「言いたい核心+その付加的な説明」が一致する場合には「, having+過去分詞」にする必要はありません。こんな場合です。
その列車は東京を9時に出発し、そして大阪に12時に到着する。
The train leaves Tokyo at nine, and arrives at Osaka at twelve.
ま、「その列車は東京を9時に出発する」が「言いたいことの核心」、「大阪に12時に到着する」が「その付加的な説明」かというとそうでもないような気もします。ここは単純に、頭にあったことが最初に発話されて、次に付加的な説明が続いていると言った方が良いかもしれませんね。どっちにしても、このような順接関係の場合は時間のズレを明示する必要はないので、こうやって分詞構文化します。
その列車は東京を9時に出発し、そして大阪に12時に到着する。
The train leaves Tokyo at nine, arriving at Osaka at twelve.
車戸くん!これで君の質問に答えたことにしてください。

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