車戸君からの質問(10)その2
<回答>
さて、「言いたいことの核心+その付加的説明」の流れは、英語ではとっても自然な流れです。先ず、英語のロジックがそうなっています。著者は先ず自分の言いたいことを抽象的な表現で述べておいて、次にそれを具体化します。こんな具合です。
⊿アフリカの村での生活はとても過酷であることがある。電気や水道が来ていないことがよくあるし、十分な数の学校もない。
Villagelife in Africa can be very hard. There is often no electricity or running water. There are not enough schools.
先ず著者は言いたいことを抽象的に「アフリカの村での生活は過酷だ」と言っておいて、次に何が過酷なのかを「電気や水道が来てない」とか「学校が十分にない」と具体化するわけです。また、主要5文型と文末副詞の関係も「言いたいことの核心+その付加的な説明」です。発言者は言いたいことを先ず「5文型」で言ってしまっておいて、「それはどの様にやったの?」「それはどこでやったの?」「それはいつやったの?」という付加的情報を後付けします。
⊿僕はみっちりと校庭で昨日野球をしました。
I played baseball hard in the school ground yesterday.
また、薮下が「ETの法則」と呼んでいる2語以上の飾りも「言いたいことの核心+その付加的な説明」の順番です。
⊿今日読む本
a book to read today
⊿日本を扱っている本
a book dealing with Japan
⊿英語で書かれた本
a book written in English
⊿父が僕に買ってくれた本
a book which Father bought for me
⊿机の上の本
a book on the desk
5つとも、先ず言いたいことである「本」を投げ出しておいて、次にその説明を後付けしているわけです。つまり「言いたいことの核心+その付加的説明」の順番なわけです。 住所の語順もそうですね。地図上の一点である番地を先に言っておいて,次にそれがどこにあるのかを順に説明してゆくわけです。
⊿ 愛知県名古屋市東区砂田橋2丁目1の58
1-58, 2-Chome, Higashi-ku, Nagoya, Aichi Prefecture
文中分詞構文、いわゆる「付帯状況分詞構文」もやっぱり、「言いたいことの核心部+その付加的な説明」と考えると腑に落ちます。
⊿その赤ん坊はテレビを見ながら笑っていた。
The baby was laughing, watching TV.(同時)
⊿その赤ん坊は僕を見て、そして笑った。
The baby looked at me, laughing at me.(連続)
先ず「赤ん坊が笑った」と言いたいことをいっておいてから、「テレビを見ながら」と同時に進行す状況を付加的に説明します。同様に、先ず「赤ん坊が僕を見た」と言っておいてから、「そして僕を笑った」と連続する状況を付加的に説明します。では、ここでちょっと訳語を替えてみましょうか。
「テレビを見て、その赤ちゃんは笑った」
「その赤ちゃんは僕を見て、笑った」
日本語訳で使った、この「て」がとっても優れものなのですよ!これは「接続助詞」といって、実際は直前直後の文をつなぐ働きをしているだけです。でも、この「て」を使うと、「時間経過」「並列関係」「理由・原因」「手段・方法」を露骨には表現することなく、それらの関係性を前後の文の間に持たせることができるのです。元々「テレビを見て、その赤ちゃんは笑った」なんて、「同時」とも「理由・原因」ともとれる曖昧な表現なのですよ。「僕を見て、笑った」も「連続」とも「理由・原因」ともとれます。ただ主節と分詞節とをつないでいるだけの「て」を「同時」だ、「連続」だ、「理由」だと主張してもあんまり意味がありませんよね。続きは次回にします。
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