森田君の挑戦(36)
<問題>
2009年度・京都大学・Ⅲ(1)
冗談を言う人間は低俗な奴と顰蹙を買うことがある。しかし、人間関係における一種の潤滑油としてのユーモアの効果については、もっと認識されて良いのではないだろうか。ユーモアのわかる人間となるためには、幅広い知識と柔軟な思考法、それに豊かな感受性が必要だ。ユーモアのセンスがあると言われることは、最高の褒め言葉である。
<答案>
People who tell a joke are sometimes said to be vulgar and disliked. However, we should be more aware of a good effect on our relationships which an humor has. To be a man who can realize humor, you need wide knowledge, methods of thinking flexibly, and exquisite feelings. If you are said to have a good taste in humor, you are praised the most.
<読者への挑戦>
赤い部分の英語が間違っています。さて、どうしてそれが間違っているのか、またどうすれば正しい表現になるのかを考えてみてください。
<添削>
名詞の加算、不可算を区別するのは本当に面倒ですよね!日本語は「数」にいい加減なのだけど、英語は偏執狂的に細かいから、うんざりしてきます。
①humorやtasteは加算?不可算?
ここに出てくるhumorも「面白さやおかしさ」の意味なので、目に見えない抽象名詞を「面白さが1つ、面白さが2つ」とは数えません。だからanを取ってしまってour relationships which humor hasとしてやります。厄介なのは、tasteのように、意味によって数えたり、数えなかったりする場合です。
⊿僕はアルバイトで工場での仕事をちょっと味わった(=経験した)。
I had a taste of factory work at my part-time job.
⊿彼女は洋服の趣味がいい(=洋服のセンスがある)。
She has good taste in clothes.
tasteが「経験、成功などの味」だと数えますが、「趣味やセンス」になると数えません。だから、「ユーモアのセンスがある」としたければaを取ってYou have good taste in humorとします。
②「ユーモアが分かる」はrealize humor?それともappreciate humor?
「分かる」には色んな意味があって、「危険だと分かる」と「ユーモアが分かる」とは別の動詞を使います。
⊿君は自分が冒そうとしている危険を分かってない。
You don’t realize the risk you are taking.
⊿君は上等なユーモアが分かるんだね。
You can appreciate good humor.
同じ「分かる」でも、realizeは「実感としてハッキリと理解する」、appreciateは「物事の良さを認める」です。だから、問題文では「ユーモアの面白さ(良さ)を認める」のappreciateを使います。もちろんunderstandでもかまいませんよ。では、簡単に「分かる」をまとめておきます。
・「人の気持ちが分かる」=内容をちゃんと理解する=understand、comprehend、grasp
・「危険だと分かる」=状況を実感としてハッキリと理解する=realize
・「その人が泥棒だと分かる」=AがBだと判明する=A turn out to be B、A prove to be B.
・「ユーモアが分かる」=物事の良さを認識する=appreciate
・「それが彼だと分かる」=人や物の見分けがつく=recognize
・「違いが分かる」=AとBとを区別する=tell A from B
・「道が分かる」=物事を知っている=know
③飾り予告のthe
「ユーモアが人間関係に与える良い効果」は、effectの前からgoodが、effectの後ろからon our relationshipsとwhich humor hasの2つが飾っています。この飾りのお陰でeffectがどんなものかを特定できるので、effectにはaじゃなくてtheがつきます。これを「飾り予告のthe」と呼んでましたね。忘れた子はここを参照しておいてください。
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This was written by
yabu. Posted on
水曜日, 1月 30, 2013, at 11:22 AM. Filed under
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