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AKB47君の憂鬱(3)

<質問>
以下は2004年度の京都大学・大問1の英文からの抜粋と、その部分の赤本の和訳です。
  What does the public need to know about a particular branch of scientific work?  There is no simple answer.  Indeed, the question itself is often misinterpreted.  Researchers, that is, can all too readily confuse public understanding of science with public appreciation.  Understanding (for example, how nuclear energy is generated) can lead to queries, to criticism, and even to rejection.  To know something of science is not necessarily to love it: the truly aware researcher must realize that and be prepared for it.
特定の分野の科学業績について知るために、大衆は何が必要なのだろうか。簡単な答えはない。実際、この質問自体がしばしば誤って解釈されているのだ。つまり、研究者はみな、いとも容易に、科学に対する人々の理解を大衆による好意的な評価と取り違える可能性があるのだ。理解するということ(例えば、原子力はどうやって生み出されるのかを理解すること)によって、疑問や批判、さらには拒否反応すら起こさせることになりかねない。科学についてなにがしかを知ることは、必ずしも科学を愛することではない。真に自覚した研究者は、そのことを悟り、それに対する心構えをしておかねばならないのだ。
これは下線が引いてあって問題化されている部分ではないのですが、どうしても赤本の訳が理解できので質問します。赤本はWhat does the public need / to know about a particular branch of scientific work? と考えて「何が必要なのか?」と訳しています。でも僕はWhat does the public need to know / about a particular branch of scientific work?だと考えて「何を知る必要があるのか?」と訳しました。僕の考え方は間違っているのでしょうか?
<回答>
AKB47君!もうすぐセンター試験だというのに、君は2次試験の勉強をずっとやっているのですね。ま、君くらいの力があれば、センター英語なら9割くらいは楽勝なのでしょうがね。でも、少しはセンターの出題形式にも慣れておいた方がいいですよ。
さて、ご指摘の疑問文ですが、これは段落冒頭にあるので、「テーマの開示文」です。つまり、著者はこの疑問文を通して、当該段落で何について話をしたいのかを教えてくれているわけです。だったら、この段落の「主張文」を探し出して比べたら意味がハッキリするはずです。そして、To know something of science is not necessarily to live it. がこの段落の主張文で、「科学について何かを学ぶこと」が主語になっているのだから、「大衆は科学について何を学ぶ必要があるのか?」が冒頭の疑問文の内容だと分かります。ですから、この勝負はAKB47君の勝ちです!いつもながら君は冴えてますね。
だいたい、「科学について知るために大衆は何が必要なのか?」という問に対する答えは、例えば「科学的な素養」だとか「大学での高等教育」か何かになるはずだけど、この段落で著者はそんな話は一切していませんよね。ここでの話題は「研究者は大衆に科学のことをどこまで教える必要があるのか」です。そして、「高度な科学的知識を大衆に与えたとしても、そのことが科学に対する好意的な評価につながるとは限らない」のでいい加減にしておいた方が良いという結論に達してますね。
好意的に解釈すると、赤本の解説者は、問題化されている下線部にしか注意を払わなかったのでしょう。それにしても、AKB47君は下線部以外の所も全部読んでいるのですね!このやり方で京大の英語を全部読めば、かなりの読解力(暗号解読力)が身につきますよ!

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