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森田君の挑戦(10)

<問題>
1999年度・京都大学

外国に住んでみると、「人間、みな同じ」との感想を持つ。イギリス人と付き合ってみても確かにそう思えてくる。彼らが悲しみや喜びに反応する様や、相手の立場を考える点は、いかにも日本人に似ている。恥ずかしがり屋で、すぐに友達にはなれないが、いったん友達になれば驚くほど互いに心の琴線に触れ合うことができる。

<答案>

If you live abroad, you will feel that everyone has a lot of common points.  Certainly, when you associate with the British, you feel so.  They are very similar in their reactions to sorrow or enjoyment and in imagining other people’s circumstances.  It is difficult to make friends with them rapidly.  But once you make friends with them, you can become surprisingly close to them.
<読者への挑戦>
赤い部分の英語が間違っています。さて、どうしてそれが間違っているのか、またどうすれば正しい表現になるのかを考えてみてください。
<添削>
森田君!君は「心の琴線に触れ合う」を「驚くほど親しくなることができる」と具体化しましたね。この英作文の難所がここなのですが、君は上手くクリアしています。だいぶん抽象的な表現や比喩的な表現を具体化するのに慣れてきましたね!さて、今回は「彼らはいかにも日本人に似ている」、「相手の立場を考える」、そして「すぐに友達になれる」の3つを勉強しましょう。
①They are very similar
森田君はTheyをthe British and the Japaneseの意味で使ったつもりでも、このままではThey=The Britishにしかなりません。だから、ちゃんと比較対象であるthe Japaneseが必要です。こんな具合です。
彼らは日本人と比べると~の点でとてもよく似ている。
They are very similar to the Japanese in~
または、ハッキリとThe British and the Japaneseを主語にしてやるか、Those two peopleとかBothでもOKです。
イギリス人と日本人は~の点でとてもよく似ている。
The British and the Japanese are very similar in~
Those two peoples are very similar in~
Both are very similar in~
②imagining other people’s circumstances
森田君は「相手の立場」を「相手の境遇」と読み替えてother people’s circumstancesとしてますが、これで十分OKですよ!ただ、相手の立場を「考える」にimagineは使えません。どうしてかというと、imagineは「人が何かしたり、物事がどうにかなったりするところを空想する」の意味だからです。相手の立場は考慮するもので、空想するものではないよね。だから、ここでは「相手の立場を考慮する」の意味のconsidering other people’s circumstancesにしてやります。良い機会だから「考える」をまとめておきます。
「考える」は「think」がいちばん一般的で、「事実に基づいて論理的に考える」くらいの意味です。だから、ここでもthinking about other people’s circumstancesと言ってもかまいません。
それ以外の「考える」は「a.推測・推論する」、「b.想像・空想する」、そして「c.考慮・熟考する」の3つに大きく分けられます。
a.推測する、推論する
suppose = 強い根拠はなくて、多分そうだと考えること
guess = suppose
presume = 可能性が十分あると考えること
assume = 思い込むこと
b.想像する、空想する
imagine = 心に思い浮かべること
fancy = 心に思い描くこと
c.考慮する、熟考する
consider = 判断の為に考えに入れること
reflect = 古い出来事をじっくり考えること
speculate = 十分な知識もないのにあれこれ考えること
③make friends with them rapidly
「速さ」には2種類あって、その速さがずっと続く場合と、その時だけ速い場合です。まとめると、こうなります。
a.速さがずっと続く
fast = それ自体のスピードが速い場合
rapid = 変化のスピードが速い場合
b.瞬間的に速い
quick = 素早く機敏な様
swift = quickよりももっと素早く機敏な様
「すぐに友達になれる」の「すぐに」は、その速さがずっと続く方じゃなく、瞬間的な方ですよね。だから、rapidlyは使えません。だから、quicklyにしてやります。

2 Comments

  1. masa wrote:

    初投稿です。友人にこちらを紹介してもらってちょくちょく見させて頂いています。ただいま受験生真っ只中です。漠然とした質問ですいませんが、英作文のコツというか方法はないでしょうか?学校の先生には添削してもらっているのですが、ある先生は正解としたものでも、別の先生は非文としたり、いまいち自分が書いたものがあってるのかもわからず今まで来てしまいました。模試など受けてもだいたい半分ぐらいしか英作文は得点できていません。また復習の仕方がわからず、ふーんこうやって書くんだ程度です。自分が思うに読解は結構な量をこなしてきたので、例文暗記は不必要だと思います。どうかアドバイスをよろしくお願いします。

    土曜日, 11月 3, 2012 at 12:22 PM | Permalink
  2. yabu wrote:

    masa君!初投稿を歓迎しますよ!「英作文のコツ」と言うことですが、前にもここ(http://blog.meigaku.ac.jp/yabu/?p=6622)に書いたのですが、英語を書くための英文法を覚え、今までに頻繁に出題された表現を覚え、最後に自分の書いた英語を先生に添削してもらうのが一番です。
    ある先生は正解にしてくれた答案が別の先生では不正解だったって言うのは面白いですね。一度、その英語を薮下にも見せてください。でも、そんなことは良くあることで、これは前に薮下が河合塾にいた頃あった事件なのですが、ある学校の先生が河合塾がやった全統模試の採点が気に入らなくて、「これって正解でもいいんじゃないのか?!」とか「この答案をこんなにも減点するのは酷いんじゃないか?!」と文句を言ってきたことがありました。普通なら無視をするのですが、全国的にけっこう有名な進学校の先生だったので、もう一度別の講師(これが薮下だったのですが)が採点することになりました。そうしたら、その学校の英語の平均点が10点近く上がることになったのです!なぜこんなことが起こるのかというと、英作文を採点するときには、模範解答があって、「これでも良い」とか「あれはダメ」などの指示が結構細かく付いています。でも、採点結果が採点する講師によって違ってくると困るので、模範解答以外の答案は×にしろと普通は指示されます。つまり、ネイティヴが見れば「これならいいじゃん!」とか「あれは言わなくもないね」くらいの答案も×にしてしまうのです。薮下はそんな答案を○にしたり、減点の割合を少なくしたりしたわけです。
    採点の精度を保つためには、本当は答案を全部1人の教師が採点するのが一番良いのですが、それは不可能ですよね。ですから、次善の策として「模範解答以外は×」と決めてしまうわけです。大学入試の採点も予備校とほとんど変わりはしません。ま、受験英語というのは、そもそも受験生の英語の力を測るものではなくて、その子がどれだけ真面目に勉強したのかを調べるためのものなので、「模範解答以外は×」でも良いのでしょう。つまり、「これだけはちゃんと覚えておきなさい」という単語や慣用句があって、それを普通はどの大学も出題してくるわけです。たまにその範囲を逸脱した問題を出題すると、昔は良く予備校が大学に噛みついて文句を言ったものですが、最近ではあまり耳にしませんね。それに、世に出回っている問題集や熟語集はこの「これだけはちゃんと覚えておきなさい」を載せているから評判も上がり売れるわけです。そして、たくさんの受験生がほぼ同じ問題集や熟語集を使って勉強しているのが現状だから、真面目に勉強した子が受験すると、できる問題は皆が正解し、できない問題はほとんどの子が間違います。
    文面から判断すると、masa君はかなり英語ができるものと思われます。偏差値も70前後なのではないでしょうか。もし、英語が勝負科目で、もっと英作文で得点したいのであれば、その日の英作の勉強でお目にかかった新しい表現を何かにちゃんと書き留め、それを学生服のポケットにでも入れておいて、時間さえあれば何度も見るようにすると良いでしょう。問題集や熟語集には載っていない表現はそうして覚えていくのが一番です。
    masa君の健闘を祈ってますよ。

    土曜日, 11月 3, 2012 at 5:09 PM | Permalink

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