森田君の挑戦(1)
<問題>
2007年度・京都大学
「教育とは何かを考えるときに、私が決まって思い出すのが小学校の恩師の顔である。 先生は、私たち生徒に、物事に真剣に取り組むことを教えてくださった。その教えは、これまでの私の人生の指針となっている。今から考えると、先生の教えが私の心に響いたのは、先生の尊敬できる誠実な人柄によるところが大きかったように思う。教育において考慮すべきことは、教える内容だけではなく、教える側の人間性でもあるのだ」
<答案>
I never think what education is without recalling my respectful teacher who taught me when I went to elementary school. The teacher taught us an importance of tackling something hard. The teachings of him led me to good life. Now, I think that it was important that I could respect him and he was sincere. These things made a lasting impression on me. What is important about education is not only the contents of educationbut also the teacher’s personality.
<読者への挑戦>
赤い部分の英語が間違っています。さて、どうしてそれが間違っているのか、またどうすれば正しい表現になるのかを考えてみてください。
<添削>
おおむね良く書けています。特に「物事に真剣に取り組む」や「私の心に響く」の抽象表現を上手に具体化していると思います。今回、森田君が勉強しなくてはならないのは「①think Aとthink about Aの違い」、「②the teachings of人の表現」、「③the contents of Aとthe content of Aの違い」の3点です。
①think Aとthink about Aの違い
「think A」では、Aの所に思考内容が来るのに対して、「think about A」では,Aの所に思考対象がきます。だから、あえて日本語にすると「think A=Aだと思う」、「think about A=Aについて考える」となります。問題文の「教育とは何かを考える」とは「教育とは何かについて考える」ことですから、これは思考対象です。だからthink about what education isにしなければなりません。「教育って何かしら?」と具体的な思考内容を思い浮かべているのであれば、「I wonder what education is.」にしてやります。
覚えておくと良いのは、「think A」のパターンは普通は「think+that文」の型をとります。
⊿僕はいつも人生は楽しいことの連続だと考えている。
I always think that life is a sequence of agreeable events.
Aを同族目的語にすると、Aが名詞でも文が成り立ちます。こんな具合です。
⊿僕はいつも楽しいことを考えるようにしている。
I always think happy thoughts.
「think+wh文」になることもあるのですが、相手の言動をたしなめるときに使う表現になります。
⊿場所柄をわきまえなさい。
You should think where you are.
⊿そう思いたければご勝手にどうぞ。
You think what you want.
②the teachings of人の表現
the teaching of himは「彼の教え」の意味の正しい表現なのですが、これは「仏陀の教え」とか「キリストの教え」のような偉人の教えに使います。だから、歴史に名前が残るような人の教えじゃなければ、簡単にhis teachingでOKです。
⊿仏陀の教え
the teachings of Buddha
③the contents of Aとthe content of Aの違い(sの有無)
the contents of Aで「Aの中身」、the content of Aで「Aの内容」の意味になります。だからthe content of educationが正しい英語です。ま、ネイティヴでも2つを区別せずにいい加減な使い方をしているので、もしかすると減点されずに済むかも知れませんがね。
⊿鞄の中身をテーブルの上に出しなさい。
Take out the contents of your bag on the table.
⊿教える内容だけでなく教える側の人間性も重要です。
Not only the content of education but also the teacher’s personality is important.
後は冠詞のミスが2つありました。「真剣に取り組むことの重要性」は特定の重要性ですからthe importance of tackling something hardです。「Aの持つ重要性」の意味では、必ず冠詞はtheが付いてthe importance of Aになりますよ。そして、「充実した人生」のlifeは可算名詞ですから無冠詞単数形では存在できません。ちゃんとa good lifeにしてやりましょう。
・
This was written by
yabu. Posted on
日曜日, 9月 23, 2012, at 4:24 PM. Filed under
「森田君の挑戦」. Bookmark the
permalink. Follow comments here with the
RSS feed. Trackbacks are closed, but you can
post a comment.
Post a Comment