まずは1点!?
薮下はもう20年以上も和文英訳の翻訳をやっているのですが、最近痛切に感じるのは、依頼原稿の日本語のレベルが以前に比べると格段に落ちてしまっているということです(社会全体のレベルも落ちているのですがね)。前から酷かったのは、一流大学出身者が集まりそうな日本最大手の広告代理店の「×通」とか、信用調査会社の「××データバンク」なんかの原稿です。この子たちの原稿は、もうすっかり自分の世界に浸ってしまっていて、他所の人間が聞いたら全く理解できないような日本語を勝手にねつ造してきます。ま、理系出身者にはありがちな傾向なのですがね。でも最近では、卒業生だけではなくて、偏差値なら70を超えるような△△大学の教授とか、△△大学学部長の日本語も酷いものです。これって本当に教育者が書いた日本語?!と目を疑いたくなるような原稿を、変換ミス満載で送りつけてきますからね!
昨日も気になったことが1つありました。あ、「1つ」というのは物の数をかぞえるときの表現で「1点」と言い換えることができます。薮下がひっかかっているのは、野田内閣総理大臣が行った緊急記者会見で質疑応答に立ったNHKの藤田さんの日本語です。「尖閣諸島に上陸させないための具体的方策」、「領海警備に当たる自衛隊活用のための法整備」、「尖閣諸島国有化に向けての石原都知事との話し合いの進展」と、彼は3点も質問しておきながら、3つまとめて「まずは1点」と言ってましたよね!え?っと思ったのは薮下だけじゃないようで、野田さんもやっぱりヘンだと思ったらしく、「1点という中にいっぱい入っていた」と皮肉ってましたけどね。正確に言うのであれば、藤田さんは「2つの事柄に関連して4点お伺いします」と言わなくてはなりませんでした。だって、質問の個数は全部で4つあったのですからね。
そんなことなんかどうでも良いのではと思っている人も多いかも知れません。でも、大人は子供達の前での言動にもっと注意を払うべきだと薮下は思います。特に万人が見聞きするような公の場ではね!だって、大人達がヘンな日本語を平気で使っているのを聞いて、子供たちは何の違和感もなくそれを真似してしまいますからね。ちなみに、大きな社会問題になっている「いじめ」も、結局は大人がやっていることを子供が真似しているだけでのことです。大人の責任は重大なのですよ!
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2 Comments
中々に凄いサイトだなあ。と感嘆しながら見ておりました。
時に質問なのですが、ルール16というページのETの法則、というところの丸4,の日本語訳は、何かの誤植でしょうか。
またもし良ければ、ETの意味を教えて頂けると幸いです。
ご指摘感謝です。他にも数カ所ミスを訂正しておきました。あ、「ETの法則」のETというのは、あの頭の大きな宇宙人のETのことで、重心が上の方にあるのでとても安定が悪くて、コロコロ転がっていたやつです。英文の重心も文頭にあるととても不安定になるので、そう呼んでいます。「ETの法則」は、単なる後置修飾を言っています。2語以上の長い飾りは名詞の後ろに回して、語の安定を図るわけです。他にも、形式主語や形式目的語、倒置の一部もま「ETの法則」に含まれます。また、お気づきの点があれば教えてくださいね。
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