【講義ノート182】名詞構文(3)
今回は(文)の主語が人称代名詞からDr. Yamauchiやthe prime ministerになったとき、その名詞表現がどう変わるのかを考えてみましょう。
⊿山内博士は新しいウィルスを発見した。(文)
Dr. Yamauchi discovered a new virus.
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⊿山内博士が新しいウィルスを発見したこと(名詞表現)
Dr. Yamauchi’s discovery of a new virus.
the discovery of a new virus by Dr. Yamauchi
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⊿僕は山内博士が新しいウィルスを発見したことを報告した。(名詞表現を含む文)
I reported Dr. Yamauchi’s discovery of a new virus.
I reported the discovery of a new virus by Dr. Yamauchi.
他動詞を名詞表現にする時に、(文)の主語が人称代名詞 He から固有名詞 Dr. Yamauchi に変わっても大差はありません。「意味上の主語」を、人称代名詞だったらその所有格で、固有名詞だったら「~’s」で表しているだけのことです。これは中学以来お馴染みの「所有格」の表現方法ですね。そして、やっぱり他動詞を名詞表現にする時に使う「その周りに必要な要素を付け加える」操作は「A of B」で、「BをAする」の「目的格のof」です。
⊿総理大臣は首相官邸に到着した。
The prime minister arrived at his official residence.(文)
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⊿総理大臣が首相官邸に到着したこと。
the arrival of the prime minister at his official residence(名詞表現)
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⊿僕らは総理大臣が首相官邸に到着したなんて聞いてなかった。
We didn’t know about the arrival of the prime minister at his official residence.(名詞表現を含む文)
さて、ここがポイントなのですが、自動詞を名詞表現にする時に、(文)の主語が人称代名詞Heからthe prime ministerに変わると、「意味上の主語」をA of Bを使って表現します。つまり、他動詞を名詞表現にする時に使った「その周りに必要な要素を付け加える」操作と同じA of Bを使うわけです。ただし、同じA of Bでも「BをAする」ではなくて「BがAする」の方を使います!「意味上の主語」にしたいのだから「主格のof」で、主語は「~は、~が」なので「BがAする」と覚えます。 これでブラックボックスがなくなりましたね!最後に簡単にまとめておきます。
「意味上の主語」でまとめるとこうなります。
・(文)の動詞が他動詞で、それを名詞表現にするとき、①(文)の主語が人称代名詞なら「意味上の主語」は指示代名詞の所有格か「by+代名詞」で、②(文)の主語が名詞なら「名詞’s」か「by+名詞」で表現する。
・(文)の動詞が自動詞で、それを名詞表現にするとき、③(文)の主語が人称代名詞なら「意味上の主語」は指示代名詞の所有格か「by+代名詞」で、④(文)の主語が名詞なら「A of B」で表現する。←コピベの消し忘れ、「が「by+代名詞」を削除いたしました。
次に、名詞表現を作るときに使う「その周りに必要な要素を付け加える」操作でまとめるとこうなります。
・(文)の動詞が他動詞で、それを名詞表現にするときに使う「その周りに必要な要素を付け加える」操作は「BをAす」のA of B。
・(文)の動詞が自動詞で、それを名詞表現にするときに使う「その周りに必要な要素を付け加える」操作は「BがAす」のA of B。ただし、(文)の主語が代名詞ではなくて名詞のときに限る。
ところで『フォレスト第6版』の420ページにはこんな記述があります。薮下が嫌いなのは、『フォレスト』のこういうところです。
■委員会が下した判断は内閣に受け入れられた。
The judgement of the committee was accepted by the cabinet.
名詞で表されている行為をだれ[何]がするのかを<of+名詞>で表現することもある。
これでは、どんな場合に<of+名詞>を使ったら良いのか全然分かりませんよね。言い換えると、この説明には<of+名詞>の使用条件が書かれていないわけです。これじゃあ<of+名詞>なんて使えません。あ、この<of+名詞>というのはA of Bが「BがAする」の意味を持つ主格のofのことです。
定義が破綻したり条件が欠落しているのは、参考書の執筆陣のただの保身が原因です。つまり、具体的にキッチリ定義したり明確な使用条件を付けたりして失敗すると周りから突っ込まれるので、それを避けるためにボンヤリと誤魔化したりするわけですね。ま、アカデミックな世界で生き残るには、こういう狡猾さが必要なのでしょうがね。でも、役に立たない定義や使えない説明を聞かされる方はたまったもんじゃありません。薮下が前に「頭の良い先生のバカなところ」と言ったのは、そう言うことです。
【第35章 名詞構文・無生物主語】例文=×
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This was written by
yabu. Posted on
月曜日, 8月 20, 2012, at 12:47 PM. Filed under
「ヤバイ英文法」. Bookmark the
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2 Comments
実力テストについて質問したいのですが範囲を見るとセンター試験に准する問題と書いてありますがということは全部マークなのでしょうか?
でも和訳も書いてあるので全部筆記ではなさそうですが…
記述もマークも混じってるはずです。主にセンター試験の出題形式に準じてます。
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