【講義ノート133】「仮定法未来」
■もし明日晴れたら、ピクニックに行くつもりだ。(希望の仮定)
If it is fine tomorrow, I will go on a picnic.
■万が一にも明日晴れたら、ピクニックに行くつもりだ。(失望の仮定)
If it should be fine tomorrow, I will go on a picnic.
If it should be fine tomorrow, I would go on a picnic.
■仮に明日晴れたとしたら、ピクニックに行くつもりだ。(絶望の仮定)
If it were to be fine tomorrow, I would go on a picnic.
仮定法未来には3つのタイプがあります。「希望の仮定」「失望の仮定」「絶望の仮定」と(薮下が勝手に)呼んでます。
あ、普通は中学の時に習った「希望の仮定」は混ぜないのですが、「妄想」と「現実」の違いが分かりやすいので一緒に混ぜました。ここでやる仮定法未来のポイントは、どこまでが現実で、どこからが妄想かですからね!
前にやった「仮定法過去」や「仮定法過去完了」は、条件節(ifがある方)も帰結節(ifがない方)も全部が妄想でした。だって、妄想じゃなければ「あたしは鳥」ってことになってしまいますよね。でも、仮定法未来は全部が「妄想」ではありませんよ!上の例文の赤い部分が「妄想の時間」、青い部分が「現実の時間」です。
一番上は「希望の仮定」です。だから実現可能性がとても大きい。「もし明日晴れたら」は頭の中の妄想ですから、「未来-1=現在形」の「妄想の時間」になってます。でも、「ピクニックに行くつもりだ」は「現実の時間」で表した予定です。だから未来は未来形になってますね。
真ん中のが「失望の仮定」です。だから実現可能性がものすごく小さい。例えば、台風が列島直撃のコースをたどっていて晴れる可能性は万に1つくらいしかないなんて場合です。和訳も「もし万が一」になってるでしょ!そこで「がっくりshould」を使ってその失望を表現します。ポイントは後半の帰結節です。もし万に1つでも実現可能性があると思えば、「現実の時間」を使って予定のwill、万に1つしか実現可能性がないと思えば「妄想の時間」でwillがwouldになります。
一番下は「絶望の仮定」です。だから実現可能性はゼロです。例えば、地球に直径が10㎞もある巨大隕石が衝突し、今まさに地球最後の日を迎えようとしている場合です。天候は荒れ、明日晴れる可能性はゼロ。だから「仮」の話しかできないわけです。神の采配によって晴れる幸運にでも恵まれない限りは晴れない!だから「運命のbe to」を使います。仮定法で使うbe動詞はwereだからwere toになります。そして、実現可能性がゼロなのですから、もうこれは完全に「妄想の時間」ですから、帰結節はwouldになってますね。
あ、「運命のto be」ですが、『英文法基礎のキソ』のところで「未来を表現するwillとshall」というのをやりましたね。こんなやつです。
・be going to そうするつもりだ(意志)
・be able to そうすることができる(可能)
・be destined to そうする運命にある(運命)
・[be] have to そうしなければならない(義務・責任)
この4つに共通するのがbe~toの形です。だから、be toだけを取り出して未来を表現する記号にしたのが助動詞be toでした。その中に「運命」がありますね。これが絶望の仮定の「運命のbe to」です。
それでは類題を解いて見ましょう。
What should I do if by any chance I ( ) fail?【②】
①could・・・・②should
③will・・・・・④would
■万一失敗したらどうしよう。*by any chanceで「万が一」の意味。
In case of my husband’s death, how should I bring up and educate my three children?
=If my husband (should )(die), how should I bring up and educate my three children?
■夫が死んだ場合には、3人の子供をどうやって育て、教育すれば良いのだろう。
【第29章 仮定法(2)】例文=246、247
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yabu. Posted on
月曜日, 5月 28, 2012, at 2:52 PM. Filed under
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21 Comments
類題の2個目の答えですが、 would die ではなぜだめなのでしょうか?
タップ君!返信がものすごく遅くなってごめんなさい。日本語の「万一の場合」に当たるのが、in case of~、in case that~、そしてby any chanceです。これが出てきたら「失望の仮定」で「がっくりshould」を使うと覚えておいてください。残念ながら、would dieにはなりません。
仮定法過去と仮定法過去完了は,動詞の時制から名前が来ているのに,どうして仮定法未来は,その表す意味から名前がつけられているのですか。時制も未来を使うと思ってしまったら習う方は混同すると思います。http://www.ritsumei.ac.jp/acd/re/k-rsc/lcs/kiyou/18-4/RitsIILCS_18.4pp.79-94Nomura.pdfには,仮定法過去として教えるべきだと書いてありますし,江川秦一郎『英文法解説』でも仮定法過去の一つだと書いてありますが,YABUさんが仮定法未来として教える理由は何ですか。
つたんか~めん君の初投稿を心から歓迎します!それに、野村先生の『英語教育における仮定法の問題点』も楽しく読ませていただきました。簡単にまとめると、今を悔やむのが「過去形」、過去を悔やむのが「過去完了形」だから、「仮定法過去」や「仮定法過去完了」の呼称は語の形態による分類です。それに対して、「未来の内容」の実現可能性を言うのが「仮定法未来」ならば、この呼称は意味内容で分類したことになります。だから、これらの呼称には分類上混同がある、と野村先生は仰ってます。お説ごもっともだと思います。
薮下が「仮定法未来」と呼んでいるのは次の3つのパターンです。
■明日天気が良ければ、ピクニックに行きます。(希望の仮定)
If it is fine tomorrow, we will go on a picnic.
■明日万が一天気が良ければ、ピクニックに行きます。(失望の仮定)
If it should be fine tomorrow, we will [would] go on a picnic.
■仮に明日晴れるとすれば、ピクニックに行くのですが。(絶望の仮定)
If it were to be fine tomorrow, we would go on a picnic.
世間では、実現可能性の低い仮定だけを「仮定法未来」と呼びますが、薮下は実現可能性の高い仮定も「仮定法未来」の中に入れてしまっています。なぜなら、この3つをまとめて提示すると、帰結節で使われる現実記号のwillと妄想記号のwouldの違いがとても良く分かるからです。つまり、実現可能性が少しでもあると思っている場合はwillを使って、現実時間で表しますが、逆に実現可能性が少ししかないと思っている場合はwouldを使って、妄想時間で表するわけです。例文が下へゆくほど実現可能性が低くなっているのがよく分かりますよね。薮下はこの単純な分かり易さが大切だと考えています。以前薮下はここで、「説明の簡便性と分かりやすさを優先するので、そのためには(学術的には)ウソもつきます」と宣言したのもその為です。それで子供達が「な~んだ!英語って簡単じゃん!」と思ってくれたらこっちのものですからね。
野村先生は、失望の仮定にでてくるshouldを「予言のshall」の過去形だと推察され、「仮定法未来」は形態論的には「仮定法過去」だと主張されておられますね。学究的にはとても面白い仮説だと思います。でも、薮下は学校でこのshouldを「ガックリshould」と教えます。万に一つしか実現可能性がないので、とっても「ガックリ」しているのだから「ガックリshould」だと言えば、大抵の子はそれで納得します。あ、前にここで書いたように、「ビックリshould」「当たり前だ!のshould」など、他の感情のshouldも一緒に教えます。このshouldを子供達に「予言のshallの過去形」だとか「丁寧なshouldの流用」などとと説明するとの比べると、説明の簡便性と分かり易さは「ガックリshould」の方が高いと薮下は思います。
あ、話がだいぶん横道にそれてしまいました、ごめんなさい。薮下がこれを「仮定法未来」に分類しているのには、そんなに深い理由はありません。それはとても単純で、昔からこれを学校英文法で「仮定法未来」の呼称を使っていたからです。薮下の授業で、これらの呼称は黒板では( )に入ります。つまり、板書されるときは「今を悔やむときは過去形で悔やめ!(仮定法過去)」や「昔を悔やむときはhad+過去分詞で悔やめ(仮定法過去完了)」、「希望の仮定・失望の仮定・絶望の仮定(仮定法未来)」とやります。というのは、これは子供達が問題集や参考書で勉強するときにの配慮なわけです。つまり、薮下が今喋っている内容が参考書や問題集ではどの項目に分類されているのかを子供達に教えてあげるのが目的なわけです。ですから、それが「仮定法未来」でも「実現可能性の低い仮定」でも何でも良いわけです。
言葉は本来、綺麗なクリスタルのボールみたいなもので、それをハンマーで粉々に叩き割って、その破片1つ1つに名前を付けて行くのが学究的英文法です。その分類法は(所詮はラテン文法の枠を英語に当てはめた間に合わせなのだから)仮定法未来に限らずほとんどが矛盾だらけで煩雑で、こちらがそれに合わせてあげる必要などないと薮下は考えます。だって、それをそのまま学校英文法に持ち込むのは、子供達に英語を嫌いになれと言っているようなものだと思うからです。ま、でもこれは昔英語が死ぬほど嫌いだった薮下の負け惜しみなのかも知れませんがね!
なるほど。返信ありがとうございます。薮下先生が「仮定法未来」という呼称を使われている理由が,子供達の分かりやすさを配慮してだということが分かりました。
では,将来的に子供達のうちの少数の誰かが英語学を学ぶことになり,「『「仮定法未来』なんていい加減な名前を教えやがって!」と思われるリスクを取っても,名前を与えることによる覚えやすさの大多数の利益を取るということですね。
私も英語を教える立場ですが,そういうことを細かく説明するべきかどうか,説明するだけで余計こんがらがる生徒も出てくるであろうし,かといって学術的な観点からしても,いい加減なことを教えたくない(自分の能う限りは)という想いもあり悩みます。返信ありがとうございました。
実は、外国語学部系の大学に進学して、英語を研究対象にしている教え子から「あれも薮下先生の創作だったのでしょ?!」というメールを結構もらいます!でも、その「創作」的な視点が論文のネタになったりすることもあるそうです。
なるほど。コミュニケーションのきっかけにもなるわけですね。私もそういう余裕の境地で教えられるようになれたらと思います。
・be going to そうするつもりだ(意志)
・be able to そうすることができる(可能)
・be destined to そうする運命にある(運命)
・be have to そうしなければならない(義務・責任)
上の3つはいいのですが、
be have toって変じゃないですか?
S have to do. だと思うのですが
薮下は助動詞型の「be~to」と「~to」を区別しています。たぶん、訂正線がbeの上に引いてあるはずですが。
上の論文も読みました
なるほど・・と思う反面、どうなんだろうな、とも思いますね
I ordered that you not go alone.
thatの中の文の動詞が原形なのは、
you→not to goの意識があるからのように思います
指さすto
あなたが~するように
All you have to do is (to) doの(to)が省略された時みたいに接触した方が意味は強まるし、
toがなくてもわかるのでなくなってもいいわけです
もともとtoがあったとかの話ではなくて、イメージとしての話です
訂正線は引かれていないようですよ
本当だ!訂正しておきました。
「上の論文」って何ですか?
この英文は
I ordered that you should not go alone.
が元の形で、そのshouldを乱暴に省略したもののようですが、toが省略されているようには思えません。
絶望の仮定では、なぜ未来の事なのに
「未来-1=現在形」の現在形が使われず、過去形のwereが使われているんでしょうか?
優也くん!薮下の論理的な矛盾点を的確に突いている、するどい質問です。ですから、とても消極的な回答になることをお許しください。
まず、帰結節はちゃんと過去形になっていることです。条件節は所詮オマケで、主節が言いたいことですからね。次に、were toが助動詞だということです。助動詞の時間(時制)は結構いい加減で、こんな具合です。
△君はすぐにそれをやるべきです。
You should do it right away.
shouldはshallの過去形ですが、文全体は過去の内容ではありませんよね。このように、助動詞の表す時間は習慣的なことがとても多いです。それに「運命のbe to」自体は現在形ですよね。つまり、isやare、amは現在時制です。だから「現在-1=過去形」という等式は成り立ってはいるのです。「文法」って後付けの屁理屈ですから、こんなことになってしまうのでしょう。
先生からいただいた問題プリントにこんな問題があったのですが、
( ) rain now, the farmhouse will have to postpone the harvest.
A.If it is to B.If it wii
C.Should it D.Would it
答えはCなのですが
Aは希望の仮定でダメな理由を教えてください。
ゴンザレス君!it is rainって、雨粒を1つ1つ指さして、「それは雨!、あれも雨」と言ってるような表現です。it is rainyとかit rainsならば正しい表現です。
It is to rainなんですけど…それでもだめですか?
あと先日配られた環境関連の案内文のプリントの②の訳なんですけど、
問題を解決するための、ではく
問題を解決するために、
ではないんでしょうか。
すぐ上の解説では「なにするために?」のtoと書いてあるのですが..
長々とすいません。
ゴンザレス君!助動詞be toは文語表現で、「雨が降るよ」などの口語では使いません。ですから、文法的には成り立ちますが、誰も使わないでしょうね。それから、環境関連の案内文は君の言う通りで、「問題を解決するために」が正しいと思われます。そうなってなかったですか?あ、なってますね。ちょっとカッコつけて訳してます。「問題を解決するための意思決定や資金」の名詞表現で訳出しているのでギリギリ成立してます。でも、「問題を解決すための意思決定を行ったり、資金を提供したり」とすると誤訳になりますね。あ、ちょっとヤバイかも。
なるほど。
ありがとうございます!!
書いてなかったと思われます…
ここは問題として出題されているので、是非とも「問題を解決するために」と副詞で訳してくださいね。
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