■一日中本を読むことは楽しい。(名詞)
To read a book all day long is a lot of fun.
■今日読む本がない。(形容詞)
I have no book to read today.
■お気に入りの本を読むために、僕はセザリに行った。(副詞)
I went to CESARI to read my favorite book.
同じto readでも、それが名詞になったり、形容詞になったり、副詞になったりできるのが、英語という言語の性能が高い証拠です。逆に言うと、同じto readが名詞なのか、形容詞なのか、副詞なのか分からないと英語は読めないということになります。あ、その意味ではthatや-ingも全く同じことが言えます。既習のthatはちゃんと復習しておいてくださいね。では、今日からtoの3つの用法を考えてみましょう。
toにはもともと「対象を指(ゆび)さす」という働きしかありません。これは前置詞でも不定詞でも同じことです。ただ、toが名詞を指すのか、動詞を指すのかが違うだけです。名詞を指すtoを「前置詞」、動詞を指すtoを「不定詞」と呼んでいるわけですね。あ、「前置詞」が「名詞の前に置く詞(ことば)」の意味だと言うことはちゃんと覚えてますか?!
■日本人にとっては、英語はただの飾りなのです。(前置詞)
To the Japanese people, English is just ornamentation.
■彼は大きくなって有名な学者になった。(結果の不定詞)
He grew up to be a famous scholar.
この例文を見ると、前置詞だろうと不定詞だろうと、toが持っている「指を指す働き」がよく分かります。上の方のtoは「日本人」という名詞を指さしているのに対して、下の例文は「有名な学者になる」という動詞を指さしています。「結果の不定詞」というのは、「原因→結果」の因果の流れを指さして「成長した →(その結果)→ 有名な学者になった」と言っているわけです。ほらね!対象こそ違いますが、確かに指を指してますよね。結果の不定詞は「副詞になる」で今度取り上げます。今回は「ことシリーズ」の不定詞、言い換えると「不定詞の名詞用法」です。
「一日中本を読むこと」のto read a book all day longのtoも、色んな行為・行動の中から「本を読むこと」を選び出して指をさして、話題を特定しています。話題になった「~すること」や「~であること」はもう「~する」や「~である」の動詞ではなく名詞化していますね。だからこれを「不定詞の名詞用法」と呼びます。薮下は訳語から「ことシリーズ」と呼んでいるわけです。
■一日中本を読むことは楽しい。(SVC)
To read a book all day long is a lot of fun.
■僕のお気に入りの気晴らしは、一日中本を読むことだ。(SVC)
My favorite pastime is to read a book all day long.
■本を読むことは、疑似体験をすることだ。
To read books means to have simulated experiences.(SVO)
これを見ると、「~すること」は、V以外の色んなパーツになっているのが分かります。一番上の「文頭に来る」は前にやりましたね。それ以外は「be to~」か「一般動詞 to」のどちらかです。さて、「be to~」ってどこかで見たことがあるでしょ!そう、助動詞be toです。ここで一度説明しています。こんなやつです。
■僕は明日、その子と会うことになっている。
I am to meet the girl tomorrow.
ことシリーズの「be to~」と助動詞の「be to~」は全くの別物です。助動詞の「be to~」は未来に起こる可能性を述べたものです。だから、訳語には全部「この先」をつけることができます。
・この先~する予定だ
・この先~しなければならない
・この先~できるようになるだろう
・この先~するように運命づけられている
そして、未来のことを言う文の主語は、目に見える具体的な人や物が多くなります。つまり、具体的な人や物がこの先こうなる、ああなると言うわけです。一方、ことシリーズの「~is to・・・」は「~は・・・することだ」と、一般的な真理、真実を述べる文に用いられます。だから、真理や真実を述べる文の主語は、目に見えない抽象的なモノが多くなります。 「百聞は一見にしかず」とか「本を読むことは疑似体験をすることである」なんかの主語は具体的に目に見える人や物ではなく、頭の中にある抽象的なモノ(概念)ですよね。
さて、「一般動詞 to」は「英語の読み方9」でも書いたのですが、これも実は助動詞と考えた方が英文が読みやすくなります。だって、「一般動詞 to」の直後には動詞の原形が来て、その動詞を味付けしているのが「一般動詞to」なわけですから、助動詞と何にも変わったところなんてありません。
have to
seem to
want to
hope to
wish to
plan to
mean to
offer to
decide to
refuse to
そう言えば、NHK教育の「Rの法則」(??)とかいう番組をさっきチラッと見たのですが、薮下と同じことを言ってましたね。「意味の最小単位で区切ると、英語は読みやすくなる」って当たり前でしょ!それによると、「コンマ、ピリオド」「前置詞」「接続詞」の3つで区切れって言ってました。ま、生徒達があまり英語が好きそうな子たちじゃないので、この3つなのでしょうが、これだけでは不十分です。今、勉強している「to」「that」「-ing」でちゃんと区切らないと全然ダメですよ!「to」「that」「-ing」で区切って、それが名詞なのか、形容詞なのか、副詞なのかを考えないと、いつまでたっても英語は読めません。
最近、売り込み目的で英語の講義がネット上にアップロードされているのを目にするのですが、薮下たちが20年前に予備校でしゃべっていたこととあまり変わってないですね。日本一すごい!とか、世界一分かりやすい!なんて言ってますが、彼らがしゃべっていることは、僕らが20年前にしゃべっていたこととほとんど同じです。ま、彼らの方が薮下よりも若くてカッコイイのは認めますがね。
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2 Comments
お久しぶりです。
ご報告がおくれて申し訳ございませんでした。
前期からいろいろございまして、率直に言いまして私立国立は先生の助けがありながら残念な結果におわってしまいました。
ほんとは直接ご報告するべきなのですが、何度か学校に訪問しましたが幸か不幸か(笑)先生とお会いすることができなかったのでこのような形でご報告させていただきます。また近々学校に直接ご報告させていただきたいとおもいます。
最後になりましたが、一年間面倒をみていただきまことにありがとうございました。今後もよろしくお願いいたします。
・藪下老師へ
どうも、キュウべぇです。
お久しぶりです。ロクに挨拶も出来ないまま東京へ旅立ってしまった上、藪下研究室も長期間に渡ってコメント欄が閉ざされておりましたのでこのように御挨拶が遅れてしまいました。思えば去年の四月に
藪下研究室の門を叩いて以来、本当に色々な事があったものです。最初は何もなかったこのサイトも、今は非常に充実したコンテンツを取り揃えた押しも押されぬ”研究所”に成長しました。私の受験戦争の一年間は藪研成長の一年と密接に繋がっていたのです。(渋る老師に無理を言って新作プリントをアップロードして頂いた事は一度や二度ではありません(笑))
先日老師がお書きになった『人が自分のために何でもやってくれると思っている子へ』、読ませて頂きました。私も老師が仰る通り名古屋高校の病巣は生徒が自発的に思考する力を持たない点にこそ有ると思います。思う所については全て合格体験記に書きましたので、是非時間が有れば読んで下さい。
最後になりましたが、今後も非常勤TAとして出来る限り藪下研究室の運営に協力して行こうと思います。
それではまた会う日までお元気に。 キュウべぇ/ヒキタン
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