【講義ノート59】「使役動詞の考え方」その2
今度は視点を②の壁に移して見ましょう。「モノは人によってされる」ですから、こうなるはずです。
▼ゴジラは壁がミニラによって塗られるようにさせた。
Godzilla made the wall painted by Minira.
Godzilla let the wall painted by Minira.
Godzilla had the wall painted by Minira.
Godzilla got the wall painted by Minira.
さて、使役動詞は4つとも「させる」の意味なのですが、全く同じではありません。こんな違いがあります。
・make=無理矢理やらせる(やらせやがってバカ野郎!)
・let=やりたがっている人にやらせてあげる(させてくれて有り難う!)
・have、get=上の者が下の者にさせる
使役動詞 make と let には感情がつきまといます。無理矢理何かさせられると頭に来るでしょ!逆にさせてもらったら嬉しくなりますよね!だから、make と let は「感情の使役動詞」なのです。一方、have と get はやって当然、やらせて当然の関係です。だからそこには感情は湧いてきません。そして、モノには感情はありません。だから、視点がモノである壁に移ったところで、使役動詞 make や let が使えなくなります。こんな具合です。
▼ゴジラは壁がミニラによって塗られるようにさせた。
Godzilla made the wall painted by Minira.(×)
Godzilla let the wall painted by Minira.(×)
Godzilla had the wall painted by Minira.(○)
Godzilla got the wall painted by Minira.(○)
視点が人からモノに移ると言うことは、「人にそうさせる」から「モノがそうなる」ことが強調されるようになります。そして、haveやgetには「持つ」とか「手に入れる」の意味があるので、次の様な3型の意味が強くなります。
▼ゴジラは、ミニラによって塗られた壁を手に入れた。
Godzilla had the wall.
・・・・・・・・↑painted by Minira
Godzilla got the wall.
・・・・・・・・↑painted by Minira
その結果「させる」の意味がグンと弱まってしまいます。そして、「ミニラによって壁が塗られる」という行為がゴジラにとって嬉しい場合には「してもらう」、逆にその行為がゴジラにとって迷惑なばあいは「されてしまう」の意味を表すようになったのです。これが学校英文法で言う「被害の受け身」「恩恵の受け身」です。でも、実際には「be+過去分詞」の形にはなってないので、これは受け身ではありませんよ!
■ゴジラはミニラに壁を塗ってもらった。
■ゴジラはミニラに壁塗られてしまった。
Godzilla had the wall painted by Minira.
Godzilla got the wall painted by Minira.
ミニラはとても親孝行な少年(小獣?)だった。塗料がはがれ落ちた壁を見て、ミニラはきれいに壁を塗ってあげた、なんて場合は「ゴジラはミニラに壁を塗ってもらった」です。一方、ミニラはイタズラ好きの小獣だった。このあいだ塗ったばかりの壁にペンキで落書きをした、なんて場合だったら「ゴジラはミニラに壁を塗られてしまった」となります。あ、薮研に「日本語訳の左に付いている■と▼は何か違いがあるですか?」という質問がよく来ます。■は覚えて欲しい例文を、▼は説明のための例文だったり変形過程だったりします。ですから、▼の例文は気楽に読み流してくれればOKです。
I could not make myself ( ) in English.【②】明治大
①understand・・・・②understood
③to understand・・・④to understanding
■僕は自分の言いたいことを英語で理解してはもらえなかった。*myself=モノ
She will have a new dress ( ).【②】
①make・・・・・②made
③to make・・・④to making
■彼女は新しいドレスを作ってもらう予定だ。
He had his driving license ( )away for reckless driving.【③】
①take・・・・②taking
③taken・・・④to take
■彼は無謀運転のために免許証を取り上げられた。
【第14章 不定詞(2)】
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This was written by
yabu. Posted on
金曜日, 11月 25, 2011, at 4:57 PM. Filed under
「ヤバイ英文法」. Bookmark the
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