ポイントを抜粋しておきます。the 比較級S+V~, the 比較級S+V・・・については『これだけ英語構文100』の第12構文のところで一度説明しているのですが、「英文法基礎のキソ」として再度解説してみました。見取図がPDFじゃないと載せられないので、是非、和訳道場で確認しておいてください。
■僕はそんなに寒くなったとは思わなかった。
I didn’t think it became that cold.
もともと、冠詞の the は、that の発音が訛(なま)ってできあがったものです。例文の that cold には「そんなに寒い」、「あんなにシバれる」の意味があります。この that は形容詞 cold を飾っているので副詞です。そして「そんなに」「あんなに」と寒さを具体的に指示しているので、この that は「指示副詞」と呼ばれています。
冠詞は名詞が被る帽子(かんむり)なので、the の直後には普通、名詞が来ます。でも、the は that から生まれたわけなので、that が副詞で使えるのだから、the も副詞として使えます。だから、これを「定冠詞 the の副詞用法」と呼びます。
■(外の状況は)それくらい寒くなる。
It becomes the cold.(非文)
さて、これは that が the に変身する過程を表現した非文です。つまり、正しくありません。この the は指示副詞でしたね。でも、これだけでは「それくらい」とは具体的にどのくらいか分かりません。そこで、the cold を飾る文(節)が必要になります。
■(外の状況は)君が高く登れば登った分だけ、それだけ寒くなる。
It becomes the colder the higher you climb.(ちょっと古いけど正しい文)
■彼は自分が望んでいたような医者になった。
He became a doctor which he wanted to be.
doctor を飾る文の先頭にある which は関係代名詞です。あ、him になれば whom が使えますが、he wanted to be him じゃなくて he wanted to be that kind of doctor と言いたいのだから「彼がなりたかった医師像」は which で受けます。同様に、colder を飾る文の先頭にある the は which と同じ位置にあるので関係詞です。形容詞を飾るのは副詞ですから、この the は「関係副詞」だと言うことになりますね。こうして「the 比較級 S+V~、the 比較級 S+V・・・」の構文ができあがりました。
でも、もともとは the higher で「そのくらい高くなった分だけ」、そのくらいを具体化して the higher you climb で「君が登って高度が高くなった分だけ」。the colder で「それだけ寒くなる」、それだけを具体化して the colder the higher you climb で「君が登って高度が高くなった分だけ、それだけ寒くなる」!ほらね、the は「それだけ」「その分」の意味の that から生まれたことさえ分かっていれば、それで十分だよね!それなのに、この the をやれ「指示副詞」だ、やれ「関係副詞」だなどと分類することの愚かしいことと言ったら!こうして英語嫌いが増えてゆくのでしょうね。
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3 Comments
今年、受験控えた高3生の者です。
こちらで掲載しておられる、システム英単語の件なのですが、他に質問をする場所を見つけられなかったので、こちらに失礼します。
システム英単語の語呂合わせのPDF、拝見致しました。
とても覚えやすく、活用させて頂こうと思うのですが、私の学校及び塾では、ターゲット1900を使用し、小テスト等もこれで行われます。
参考書によって、訳が異なることがありますが、こちらで掲載されています、システム英単語の覚え方をしても、問題はないと思われますか。
英語の勉強で一番厄介なのが「英単語」ですよね。逆に、「英単語」さえ攻略できれば、あとは国語力(言語運用能力)で結構なんとかなるものです。ですから、受験英語の成否は英単語が攻略できるかどうかにかかってます。その英単語攻略の取っ掛かりになるのが「語呂合わせ」です。言い換えると、「語呂合わせ」は取っ掛かりに過ぎません。というのは、これが語呂合わせの致命的な欠陥なのですが、1つの単語に1つの語呂合わせしかないのが普通だからです。
今、薮研で特集している「悪魔の語法」を見てもお分かりの通り、1つの動詞には色んな意味があって、同じ動詞が自動詞になったり他動詞になったりします。動詞の語法の最後に「2つ以上の文型で用いられる多義語」というのをやる予定なのですが、この多義語、多いモノになると、1つの動詞に8つの意味が含まれます。なのに、語呂合わせで覚えられるのが1つだけではお話にならないわけです。だから、語呂合わせは英単語攻略の入り口に過ぎないのです。
Coffee君のご指摘の通り、「システム英単語」と「ターゲット1900」とでは、見出しの単語の意味が違う場合があります。高い視点から見ると、その2つの間にはそんなに大きな違いはないのですが、受験生にとってみると全く意味が違っているように感じるのは当然です。でも、この2冊の単語集は、いわゆる定番といわれる名著で、その単語が入試でどの様に出題されるかという点で2つはぼ一致しています。意味内容の掲載に違いがあるようなモノは、どちらでもかまわないような場合がほとんどですよ。
そうと分かれば、とにかく早く英単語攻略に取りかかることです!「ターゲット1900」を使ってやっても大丈夫です。薮研の語呂合わせは検索が利くデジタルデータです。ちょっと面倒かもしれませんが、1語1語検索して語呂合わせを探してください。絶対に使い慣れた単語集を使うのが一番です。今から新しい単語集をやり始めるのは避けた方が良いでしょう。
一周目は、記憶術を単語集の余白に淡々と書き写してください。1日に書き写せる限界が、大体100個くらいです。一時間の作業です。第三章までに1659個の単語があるので、二週間くらいで一周することができます。薮研の記憶術を利用した先輩たちの話では、ただ記憶術を書き写すだけで、全体の約三分の一は頭に入るそうです。二周目から覚え残しを潰してゆくことになります。その際に、語呂合わせを口に出して言うのが効果的です。「語呂合わせを口に出して言いながら、英語の単語を三回書く」と決めてしまって、立ち止まったりさかのぼったりせずにどんどん進めてくださいね。夏休み中に一周できるはずです。受験までに4周目くらいできれば、ほぼ頭に入っているはずです。
語法問題、読解問題、解釈問題を解いていて、その問題のポイントが単語の意味用法にある場合には、単語集の当該単語の欄外にでもそのポイントをメモしておくことも重要です。さあCoffee君、頑張っていきましょい!
お返事、ありがとうございます。
非常に参考になりました。
夏休み終了まで、ちょうど2週間ですので、
早速、今日から実践したいと思います。
ありがとうございました!
これからもこちらページ、最大限に活用させて頂こうと思います。
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