構文番号は029のままです。例文も同じです。ここではfor all、with allを考えます。
■彼は有名なのだが、しかしとても謙虚である。
Though [= Although] he is famous, he is very modest.
While he is famous, he is very modest.
For all that he is famous, he is very modest.
In spite of his fame, he is very modest.
Despite his fame, he is very modest.
For [With] all his fame, he is very modest.
for allやwith allで使われている前置詞、forやwithってどんな意味なのでしょうね。次の例文を見てください。
■僕はAKB48のCDを10万円で購入した。
I bought AKB48’s CDs for a 100 thousand yen.
このforは「交換のfor」です。10万円と交換にAKB48のCDを購入したわけです。for allに使われているのも、同じ「交換のfor」。だから「全てのものと引き替えにしても」がfor allの原義です。次の例文を見てください。
■彼はお金はあるのだけれど、幸せではない。
For all his money, he is not happy.
= For all that he has much money, he is not happy.
自分の全財産と交換しても、彼は幸せを手に入れられないのです。つまり、お金はあるのだけれど不幸なわけです。これって、見事な逆接ですよね。ここから「Aなのだが、しかしB」の逆接・譲歩の意味が生まれました。withも同じです。このwithは「手段・方法のwith」です。
■僕は携帯電話を使って、京大の入試でカンニングをしました。
With my cell-phone, I cheated on the Kyoto University exams.
これが「手段・方法のwith」です。ところで、携帯電話のキャリア(ドコモのような通信事業者)には通話記録や電話番号が残るので、きっとすぐに犯人が捕まると思うのですがね。あ、知ってると思いますが、カンニング(cunning)は本来「ずる賢い」の意味で、テストの不正な答案作成を指しません。いわゆる和製英語です。
■彼はお金はあるのだけれど、幸せではない。
With all his money, he is not happy.
これも、自分の全財産を使っても、彼は幸せを手に入れられないわけです。だからこれも「Aなのだが、しかしB」の逆接・譲歩に使えるわけですね。あ、with all A、For all Aは群前置詞(2つ以上の語が集まって1つの前置詞になったもの)と考えます。for all that+文の方のthatは「同格のthat」です。
■君は自首しさえすれば良い。
All that you have to do is to give yourself up to the police.
「君がしなければならない全てのことは、自首することだ」が原義です。このall that+文と全く同じなのがFor all thatです。だから「彼には沢山のお金があるという全ての事実と引き替えにしても」が原義ですね。
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