さて、この講義で否定構文は最後です。ここまでよく頑張りました!ここでは後否定が良いのか、前否定が良いのかを考えます。先ずは日本語でやってみましょう。
□今晩は雪は降らないと思います。
□今晩は雪が降るとは思いません。
日本語では別にどちらでも良い気がします。両方とも正しい表現ですね。では、英語にしてみましょう。
■今夜は雪は降らないと思う。
I think [that] it won’t snow tonight.(後否定)
I don’t think [that] it will snow tonight.(前否定)
ここでハッキリ覚えておいて欲しいのは、後否定でも前否定でも文法的には両方とも正しい文だと言うことです。決して間違ってはいない。だから正誤問題や空所補充4択には出題されません。逆に出題するような大学は行かない方が良いでしょうね。じゃあ、どこが違うのかというと、これは「正誤」の問題ではなく「スタイル」の問題です。
今話題になっているテーマは「今晩、雪が降るかどうか」です。ここで、上の様に「雪は降らない!」と言ってしまうのは、テーマを否定してしまっていて、もう議論の余地は残りません。つまり、非常に高飛車(タカビー:今でも言うのかな?)な言い方なわけです。それに対して、下の英語はテーマは否定せずに自分はそうは思わないといっています。その分とても温厚でやさしい表現になっています。これは相手に対する配慮なわけですね。ほら、両方ともアリでしょ。もう1つやってみましょう。
■歩きタバコは許されるべきではないと思う。
I think [that] people shouldn’t be allowed to smoke while walking.(後否定)
I don’t think [that] people should be allowed to smoke while walking.(前否定)
薮下は個人的には、人は他人の健康を害する権利はないと思うので、シンガポールと同じように歩きタバコは厳罰に処すべきだと思います。だからテーマを否定したい!つまりPeople should not be allowed to smoke while walkingだと言ってしまいたい。薮下は今、自己中心的にただ吠えたいだけで、相手の意見に耳を貸すつもりはない。一方、テーマを否定しない下の表現は、相手の意見を聞く耳をちゃんと持っているわけです。
さて、つぎのセットはどうでしょう。
■彼女が来ないと良いのにと思う。
I hope [that] she won’t come.(後否定○)
I don’ t hope [that] she will come.(前否定×)
■彼女は来ないと思う。
I fear [that she will not come.(後否定○)
I don’t fear [that] she will come.(前否定×)
hopeは「好ましいことが起これば良いなあと思う」、fearは「好ましくないことが起こらなければ良いなあと思う」です。だからhopeやfearを否定文にすることはありません。だって、上では彼女のことが嫌いなはずだから「she will come」は好ましいことではなくなります。また、下の文では彼女のことが好きなはずだから、「she will come」が好ましくないことではなくなるからです。
まとめます。「思考系の動詞(think、suppose、believe、expect)」では前否定の方が温厚でやさしい表現として好まれる。「希望系の動詞(hope、fear)」では絶対に後否定じゃないといけない。
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4 Comments
wishでも絶対に後否定ではないといけないのですか?
「望まない」や「希望しない」の表現を避けると言う意味で、I don’t wishとは言いません。実はhopeには「この先好ましいことが起こると思う」の意味があります。すると、I don’t hopeは「望まない」ではなくて、「好ましいことが起こらないと思う」となります。
■僕には彼女が来るようには思えない。
I don’t hope she’ll come
繰り返しますが、「望まない」とか「希望しない」の意味で、I don’t hopeとかI don’t wishとは言いません。
×I don’t thing [that] it will snow tonight.
○I don’t think [that] it will snow tonight.
ありがとう!訂正しておきました。
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