倒置とは、語順異常を起こすことで、「①言いたいことを強調したり」、「②文を安定させたり」する技法です。
倒置には3つのタイプがあります。
■(完全逆転型)ほらっ、バスが来た。
Here comes the bus. ←The bus comes here.
■(一部逆転型)若いんだけどね、あの人。でも金持ちなのよ。
Young as he is, he is rich. ←As he is young, he is rich.
■(疑問文型)あっという間だわさ、僕が家を出たらよ、雨が降り出したんだわ。
No sooner had I left home than it began to rain.
←I had no sooner left home than it began to rain.
原則、文頭に来た語句が強調されます。ですから上の例文では「ほら!」、「若いんだけどねエ」、「あっという間だわさ!」が強調されます。第4回には「完全逆転型」の倒置が用いられてますので、ここではこの倒置を説明します。
Here!やThere!は注意語です。「ほらっ!そこ」「ほらっ!ここ」と言う具合に相手の注意・注目を引きつけるわけです。だから文頭に置くと効果的です。There is構文がthereから始まるのもやっぱり倒置です。この倒置は、意味の構成要素が完全に逆転します。だから「完全逆転型」と呼びます。いや、勝手に薮下が呼んでます。第4回の(9)がこの倒置です。下線部を強調したくて、完全に逆から読んでますよね。
Water clocks were among the first clocks that did not depend on the Sun.
→Among the first clocks that did not depend on the Sun were water clocks.
先ず、覚えておかなければならないのは「前置詞+名詞」は主語になれないということです。「前置詞+名詞」の役割は形容詞と副詞でしたね。主語になれるのは名詞です。だから、「前置詞+名詞」は文頭副詞にしかなれない。だったら、次に出てくるのが、主語である名詞のはずですね。ところが(9)では動詞wereが出てくる。この時点で「倒置だ!」と気がつかねばなりません。その他の倒置は出てきたときに説明します。
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2 Comments
「逆転型の倒置」について、
Here you are.(どうぞ)
↑の文章は、
You are here.
と倒置になっているのではないでしょうか?
もし、倒置なら、
「あなたはここにいます。」
と直訳すると、意味の分からない文になってしまう気がします。
<回答>
レース・カー君の言うとおり、注意語hereだけを文頭に出すので、これは一部逆転型の倒置です。
■はい、どうぞ!
Here you are. ←You are here.
ただし、このyouは「あなた」という「人」ではなくて「あなたが欲しいもの」くらいの意味で「モノ」を指しています。ですから「あなたが欲しいもの」をitで表せますし、もしそれが複数個あれば、当然複数形になります。
■はい、どうぞ!
Here it is. ←It is here.
Here they are. ←They are here.
youやyourselfを「人」以外の意味で使うことは良くあります。例えば使役動詞makeのところで習った次の表現もそうですね。
■君は自分の考えを英語で理解させることができた。
You could make yourself understood in English.
ほらね!このyourselfは「あなたが言いたいこと」くらいの意味でしょ。この様に、代名詞が具体的に指しているモノは結構奥が深いんです。なかなか良い質問でした!
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