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theの用法(構文012)その1

冠詞のtheは元々、that(あの・その)の音がだんだん弱くなってできた語です。だから、theの中には基本的に「あの~」「その~」の意味が含まれています。つまり「あの~」「その~」と聞いたときに、皆んなの頭の中に同じ映像が思い浮かぶことが大切なのです。冠詞は「名詞がかぶる帽子」ですから、後ろには名詞が来なくてはなりません。でも「あんなに大きい」「こんなに速い」っていえるわけですから、the biggestやthe fastestもアリです。納得がいかなければthe biggest appleとかthe fastest trainのように、後ろに名詞があり、それが省略されていると考えることです。では、中学の時に習ったtheから1つずつ見てゆきましょう。
■うちは犬と猫を飼ってます。犬は黒で、猫は白です。両方とも散歩が大好きです。
We have a dog and a cat.  The dog is black, and the cat is white.  They love to go for a walk.
このtheを「既出のthe」と呼びます。いや、藪下が勝手に呼んでいます。(すで)に一度てきたものをtheで受けるわけですね。一度出て来たわけですから、当然それを皆んなが知っているわけです。ちなみに、この名詞の流れも大切ですよ。先ず「a+名詞」、次にそれを受けて「the+名詞」になり、最後にそれが「代名詞」化されてますね。物語文では、いつもこの名詞の流れに注意することが大切です。では、次のtheはどうでしょう。
■僕らは楽器をやってます。僕はギターを弾き、彼女はピアノを弾きます。
We play musical instruments. I play the guitar, and she plays the piano.
このtheを「楽器のthe」と(勝手に)呼んでます。「play the+楽器」と覚えると良いでしょう。同じplayを使ってもスポーツやゲームにはtheが付きません。
■僕らはいつも野球はやるが、チェスはやらない。
We always play baseball, but don’t play chess.
楽器は長い歴史の中で洗練され完成されたモノだから、ほぼ同じ形をしています。だから「あの楽器」「その楽器」といえば、皆んなの頭の中には同じ楽器の絵が浮かびます。でも、スポーツやゲームは目に見えるモノじゃないし、「あのスポーツ」「そのゲーム」といっても、使用する道具は浮かんできても、スポーツやゲームそのものは何も浮かんで来ません。だからtheは付かない。繰り返しますが、皆んながよく知っていて「あの~」「その~」と言えば、ほぼ同じ映像が頭に浮かぶモノ。そんなモノにtheが付きます。次のtheもそうですね。ここから高校のtheです。
■彼は僕の腕をつかんだ。
He caught me by the arm.
■僕は彼女のおでこにキスをした。
I kissed her on the forehead.
■その男は心臓を撃ち抜かれた。
The man was shot through the heart.
このtheを「身体の部分のthe」と呼んでます。ここで大切なのは、まず漠然と言っておいてから、次にそれが具体化しているところです。
・彼は僕をつかんだ→具体的にどこを?→腕をつかんだ(グイッのby
・僕は彼女にキスをした→具体的にどこに?→おでこに(ポンのon
・その男は打ち抜かれた→具体的にどこを→心臓を(グサッのthrough
ほらね!これは内容説明問題のところでも説明した、英語のロジックの1つでしたね。先ず抽象的に簡単に述べておいて、次にそれが具体化されるわけです。ところで、勝手に色んな呼び方を考えるな!と思っている人がいるかもしれませんね。でも、口に覚えさせるという意味でも「このtheは身体の部分のtheだ!」と宣言することはとても大切です。学者のやっていることって、結局この「名付け」なわけです。逆に、これを悪用すると「呪い」になります。どこも悪くないのに「君は癌だ!」と呪いをかけると、健康な人でも病気になりますよね。言葉って本当にすごい!あ、また脱線しましたね。さて、次のtheは「単位のthe」です。単位とは皆んなで決めた「物差し」ですから、まったく同じ映像が頭に浮かばないと大変なことになりますね。
■僕たちはポンド単位でお茶を買う。
We buy tea by the pound.
■その労働者は週単位で給料をもらっている。
The workers are paid by the week.
さて、今日最後のtheは「群れのthe」です。たまに(頻繁に?)メンバーが入れ替わるとはいっても、その年のドラゴンズはこのメンバーです!と言い切れます。つまりメンバーがはっきりと分かっている。アルプス山脈と言えばモンブラン、マッターホルンを初めとする山々をきっぱりと列挙することができます。藪下家もそうです。こういうまとまったグループに付くのが「群れのthe」です。「the名詞s」と覚えてください。
■ドラゴンズ
the Dragons
■アルプス山脈
the Alps
■フィリピン諸島
the Philippines
■藪下家
the Yabushitas
さて、今回はここまでにしておきましょう。

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