マーカ抽出法講義(28)
マーカ抽出法講義の28回目です。今回で2013年度の広島大学の問4は最終回です。今回もマーカ抽出法とは全く関係ありませんが、やり残した設問4、5を考えてみましょう。2つともasが絡んでいる良問です。
(3)American medicine has regarded the question of whether our emotions can affect our health as unimportant.
先ず、regard A as Bが「AをBだと考える」であること、つまりasは「様態のas」で「何をどの様に考えるか」の意味だということが分かるかどうか。次に、question of whether SVが「同格の of」で「SがVするかどうかという疑問」と訳出できるかどうか。あ、question of whether S Vは of なしの question whether S Vでも同じ意味「同格」の意味を表現できます。同格はここで一度まとめています。忘れた子は参照しておいてくださいね。最後に、medicineが多義語で、「薬」以外にも「医学」や「医療」の意味があることを知っているかどうか。この3つのポイントを「分かりやすく」ハッキリと訳出必要があります。こんな具合です。
⊿感情が僕らの健康に影響を与え得るかどうかという問題を、アメリカ医療はあまり重要だとは考えては来なかった。
(3)Slowly, the divide that has long separated mind and body is beginning to disappear as the two spheres of study increasingly overlap.
こっちのasは変化語 increasingly(だんだん、ますます)と一緒に使っているから「~するにつれて」の意味だと判断できます。そして、関係代名詞 that が導く飾りは、助動詞be beginning toまで続いていることが分かります。最後に、sphere of Aは「A範囲」とか「A分野」、「A圏」と訳すと上手く行きます。
sphere of activity=活動範囲
sphere of gravity=引力圏
sphere of theoretical physics=理論物理学の分野
ここでは「分野」が適当でしょう。この3つのポイントを考えて訳出するとこうなります。
⊿心と体に関する研究分野が次第に重なり合うにつれて、長い間この2つを隔ててきた壁がなくなり始めている。
さて、もし君たちが受験する大学に内容一致問題が出題されるのなら、「これをマーカ抽出法でどうやって解くの?」というデモ依頼を薮研にしてください。できるだけブログで対応したいと思ってます。出来ない時は学校でやりましょう。
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6 Comments
先生、あの、記事とは全く関係ないんですけど、
英文法の暗記用英文があるじゃないですか。
あの英文ですね、教科書だとすぐ下に日本語が書いてあって非常にやりづらいのです。
そこで、紙を縦にして、真ん中に縦線を引いて、右側に英語、左側に日本語訳を載せたものを作って欲しいのです。
そうすれば、印刷して真ん中で折りたためば日本語と英語が互いに隠れるのでやりやすいのです。
今回の範囲だけでいいので、作ってはくれませんか?よろしくお願いします
電柱治君!こういうのは自分で作るから頭に入るのですよ。手を動かして作る最初の作業で6割は覚えられます。やってみてくださいね。
藪下先生、システム英単語を覚えていて気づいたのですが、11番のreachの説明のQ&A 他動詞だからtoが付かない理由がわかりません・・・
本当に全ての他動詞はtoが付かないのでしょうか・・
考えていると他動詞と自動詞の本質的な区別はどうなってるのか、どうやって他動詞と自動詞を見分ければ良いのかと思ってしまい、わかりません・・・
くだらない質問すみません・・簡単にでもいいので、よろしくお願いしますm(_ _)m
neutrino君!質問にくだる・くだらないの区別はありません。質問するのに躊躇する事なんてないのですよ!!それに、他動詞と自動詞の区別はとっても大切なことですから、何度質問してもし過ぎるということはありまん!
さて、「他動詞はtoが付かない」かというとそんなことはありません。こんな具合です。
⊿あなたとお友達になりたいわ!
I just want to be a friend.
彼女にこんなことを言われるとちょっとうれしいですね。でも、I just want you to be a friendだったら「あなたとはお友達でいたい」になってしまいますから気をつけて。あ、wantは立派な他動詞ですが、その直後にはちゃんとtoが来てますよね。だから、「他動詞はtoが付かない」というのは間違いだと分かります。実は、このtoは薮下が普段授業で「ことシリーズ」と呼んでいる「不定詞のto」です。つまり、「望む+友達になることを」なわけです。タケシ君、覚えてましたか?
でも、システム英単語が「reachは他動詞だからtoは不要」というときの、toは「前置詞のto」のことを言ってます。ま、同じtoでも不定詞と前置詞の2つがあることを本当はちゃんとシス単も書かなきゃいけなかったのでしょうが、それだけのスペースがなかったのでしょう。じゃあ、他動詞にはなぜ前置詞のtoが付かないのでしょうね?
⊿駅に着いたら電話をください。
Please call me when you get to the station.
Please call me when you arrive at the station.
Please call me when you reach the station.
同じ「着く」でもgetやarriveは自動詞で、reachは他動詞です。他動詞とは「他者が必要な動作」のことで、例えば「作る」や「読む」がそうです。「作る」という動作は「誰に」作るのか、「何を」作るのかが無いと成り立ちません。つまり「作る」という動作が「何を」目的として行われるのか、あるいは「誰に」対して行われるのかが必要なわけです。「他者が必要な動作」というのはそう言う意味です。そして「誰に」や「何を」のことを「目的語」と呼びます。あ、「作る+誰に+何を」と「作る+何を」の2通りの使い方がでるのは言うまでもありませんね。
一方、自動詞は「自分で勝手にやれる動作」のことで、例えば「座る」「立つ」「歩く」「走る」「行く」「来る」などがそうです。「立つ」には「何を」や「誰に」は必要ありません。つまり、目的語が要らないわけですね。「自分で勝手にやれる」、言い換えると「他者は必要ない」というのはそう言う意味です。だから自動詞はどうしても文が短くなってしまい、情報が不足してしまいます。だって、「私は来る」って言ったって、いつ?、どこで?、どんな風に、何のために?って聞きたくなってきますよね?
⊿私は友達と一緒に放課後公園にやってきた。
I came to the park with my friends after school.
このtoやwithやafterが前置詞で、「前置詞+名詞」のセットが「どこ?」や「どのように?」、「いつ?」と言う情報を補足してくれてやっと、言いたいことが伝わる文になります。つまり、自動詞は「前置詞+名詞」と、とっても仲が良いわけです。
それに対して、他動詞の方はと言うと「作る+何を」、「作る+誰に+何を」と並んでいて、「作る」と「何を」の間や、「誰に」と「何をの間には何も来ません。つまり、「作る+to何を」とか、「作るfor誰にwith何を」なんてならないわけです。あ、「作る+何をfor誰に」にはなるのですがね。ま、それはまた別のところで。
だから「他動詞だからtoが付かない」というのは、他動詞reachの後ろには前置詞なしで「何に」が来るのでtoやatは必要ないのですが、自動詞のgetやarriveは「どこ?」の情報を「get toどこ」、「arrive atどこ」の様に付け加える必要があると言いたかったわけです。
薮下は現在、インフルエンザでいつもよりも多少多めに発熱しています。ちょっと今週は復帰できそうもありません。ですから、「出直しの英文法」も大分開始が遅れそうです。あ、学年末試験のための補充情報を週末にはアップロードするつもりです。参考にしてください。君たちの健闘を祈ってますよ!
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すみません、また質問です。
春休みの宿題をやっていて、ふと思ったのですが、
He is tall enough to touch the ceiling.
この文をモノ主語で
The watch was too expensive for me to buy.
この文を人主語で
表す事はできるのでしょうか?
(特殊場合は別の方法があるのでしょうか?)
neutrinoくん!これは単に君が「so~that⇔~enough to」と「so~that S cannot⇔too~to」とを混同しただけです。
⊿彼は天井に手が届くくらい十分に背が高い。
He is tall enough to touch the ceiling.
He is so tall that he can touch the ceiling.
He is so tall as to touch the ceiling.
⊿この時計は高すぎて僕には手が届かなかった。
The watch was too expensive for me to buy.
The watch was so expensive that I couldn’t buy it.
結果のthatを理由のbecauseで書き直すと。
I couldn’t buy the watch because it was so expensive.
このことは薮下の英文法講義の第3講で出てきます。が、来年からは授業に行けないので、英文法は北沢先生に教えてもらってください。
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