今回は、この解説文のどこがいけないのかを考えてみましょう。
未成年後見人は、後見開始の審判を請求することができる(民法7条)。例えば、未成年の知的障害者が成年に達すると、法定代理人が誰もいなくなるという事態が生じる。このような不都合を防ぐために、未成年者が後見開始の審判を受けることができるようになっている。
未成年者が後見開始の審判をうけることはできません。後見開始の審判はあくまでも未成年者が成年した後に、成年者としての権利保護を目的としています。これは解説者が言うとおりで、未成年者が成年に達することによって、今まで法定代理人であった父母や未成年後見人が法定代理人でなくなってしまうからです。しかし、成年に達した後も法定代理人に面倒をみてもらうには、後見してもらうための審判を成年者として受ける必要があります。だから、未成年者のうちに後見開始の審判を受けることはできないのです。だから、この解説文は次の様に書き直す必要があります。
未成年後見人は、後見開始の審判を請求することができる(民法7条)。例えば、未成年の知的障害者が成年に達すると、親権や未成年後見が終了し、法定代理人がいなくなる可能性がある。このような不都合を防ぐために、親権者や未成年後見人は、未成年者が成年に達した後の権利を保護するために、後見開始の審判を請求することができる。
この審判の手続・手順を考えると、未成年者が成年に達する前に、後見人が家庭裁判所に審判請求を行い、その子が成年に達した時点で効力が発生するように段取ることは可能です!もしこの点を解説文に盛り込みたいのであれば、「未成年者が成年に達した時点で、被後見人の権利を守るために、親権者や未成年後見人は成年後見制度の後見開始の審判を受けることができる」と表現するのが適切です。
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1年ぶりの更新です。今まで更新しなかったのは、英語の勉強をしなくても大学に入れるようになり、もう僕の果たす役割がなくなったからです。今の入試問題は以前に比べて随分簡単になっていて、もはや戦略や解法なんて考えなくても合格できます。難問を出題すると皆ができないので、選抜試験の意味をなしません。標準的な問題ばかりなので、単調な(頭で考えない)反復練習で何とかなります。加えて、自動翻訳機とAIがこれだけ進むと、英語を学習すること自体に意味がなくなってきてます。
今回更新したのは、英文法や英文解釈の解説をしようと言うのではなく、宅建試験問題集の解説があまりに酷いと思ったからです。宅建士や司法書士の国家試験には国籍や年齢の制限がないので、リンダは受験しようと考えています。だからリンダから民法の質問を頻繁に受けます。その解説を読んでみると確かに分からない!それは、こちらの頭が悪いせいではなく、解説があまりに酷いからです。これはちょっと放置できません。
例えばこんな具合です。
■未成年後見人は、自ら後見する未成年者について、後見開始の審判を請求することはできない。(H26-09-3)
×誤り×
【解説】未成年後見人は、後見開始の審判を請求することができる(民法7条)。例えば、未成年の知的障害者が成年に達すると、法定代理人が誰もいなくなるという事態が生じる。このような不都合を防ぐために、未成年者が後見開始の審判を受けることができるようになっている。
リンダは「未成年の知的障害者が成年に達するのだから、成年者が後見開始の審判を受けるのではないの?」と言うわけです。「なのに未成年者が後見開始の審判を受けることになっているのは変じゃないのか!」。確かにその通りです。
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The boy escaped ( ) by a car.
a. being hit
b. hitting
c. to be hit
この問題を解くのに次の様な知識を使いました。
・「分詞は形容詞」
・「be+現在分詞≄~している」
・「ことシリーズ」(不定詞の名詞用法と動名詞)
・「動名詞と仲の良いescape」
ま、これは授業の復習を兼ねて、学学さんの思考の妥当性と問題点、正しい発想方法、正しい問題解法を順序立てて追ったのでこれだけ膨大な分量になってしまいました。
でも、実際に模試や入試の受験中にこんなことを考えていては制限時間内に問題が解けません!じゃあ、どうすれば良いのかというと、
問題を見たら瞬時に「車に轢かれること」の文脈と「escapeは動名詞と仲が良い」ことからbeing hitを選ぶ!
のです。それができるようになるには文法ドリルの反復練習が必要です。英文法の知識がしっかり備わっていれば数ヶ月の練習で、まったく英文法がわからなくても1年の反復練習で問題が解けるようになります。小学生でも英検1級に合格できるのはそういうわけです。スタサプを繰り返しやれば英検には合格できます。でも、入試問題が解けるようになるにはそうは行きません!特に、国公立大学の2次試験はドリルでは歯が立ちません。ここが今日のポイントです。
覚悟を決めて、単語はもちろんのこと、英文法、英熟語と英語構文、英文解釈、内容説明問題と英文和訳、英作文の勉強をしないといけません。特に、志望大学の出題傾向に合わせた対策がとても重要です。学学さんはまだ高1ですから、じっくりと取り組んでください。
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先回までの内容を簡単に振り返っておくと、空所には「受け身のことシリーズ」が入ることが分かりました。
■その少年は「車にはねられること」から逃れた。
The boy・・・escaped・・・( )・・・by a car.
・・S・・・・・・V・・・/・・O・・・・・M
■車にはねられること
being hit
to be hit
さて、どちらも「車にはねられること」の意味なのでどっちなの?!というところまで話が進みました。この問題の核心にやっとたどり着いたわけです。つまり、
escapeは動名詞と仲が良い
というのがその核心です。もし「ことシリーズ」の3つの表現が全く同じ内容ならば3つも必要はなく、1つで十分なはずです。3つあるということは、どこかに違いがあるはずですね。
■私がテニスをすること
for me to play tennis
my playing tennis
that I play tennis
この3つは全く同じ「私がテニスをすること」ではありません。次の様な違いがあります。
不定詞の名詞用法=まだテニスをやってない、これからテニスをやる
動名詞=もうテニスをやってる、何度もテニスをしてる
従属接続詞thatが導く名詞節=「まだやってない」と「もうやった」の両方
テニスをしたいのなら「まだデニスをやってない、これからテニスをする」わけですから、wantは不定詞と仲良しなわけです。動名詞は使えません。
■私は君とテニスがしたい。
I want to play tennis with you.
I want playing tennis with you.
テニスを楽しんでいるのなら、まだやってないテニスは楽しめないので、「もうテニスをやってる」方の動名詞を使います。
■君とテニスをするのが楽しい。
I enjoy to play tennis with you.
I enjoy playing tennis with you.
言い換えると、wantは不定詞と仲が良い、enjoyは動名詞と仲が良いわけです。この様に動詞によって不定詞と仲が良かったり、動名詞と仲が良かったり、両方と仲が良かったりするのです。あ、that+文と仲の良い動詞は入試に出るものが決まってますのでここでは無視してください。
escapeは「目の前にすでに迫ってきていることから逃れる」の意味ですから、「まだ起こってないこと」からは逃げられません。「もうすでに起こってること」から逃げるのです。だから正解はbeing hitです!
不定詞と仲の良い動詞、動名詞と仲の良い動詞についてもっと知りたかったら、ここやそこ、あそこ、など、など参照してみてください。次回は空所補充4択の問題の解き方を簡単にまとめます。
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やっと熱が下がってきました。今年のインフルエンザは厄介で、同じA型でもタイプⅠとタイプⅢの2つあって、薮下のように2回感染することがあります。くれぐれも体調管理には気をつけてください。
さて、前回までのところで、being hitやhittingは名詞だと分かりました。もう1つの選択肢to be hitも名詞です。そして、-ingやto-が名詞になるのを「ことシリーズ」と呼んでいましたね。こんな具合です。
■そこへ行くこと
to go there・・・不定詞の名詞用法
going there・・・動名詞
問題文のhitは「車が人をはねる」の意味みたいなので、ことシリーズも「男の子をはねること」にします。
■男の子をはねること
to hit the boy
hitting the boy
でも、問題文は「男の子は車にはねられるのを免れた」ですから「はねられること」の意味を表す「受け身のことシリーズ」じゃないといけません。The boy is hit by a car.が受け身の文ですね。動詞はisですからそれが「to+原形」、「原形-ing」になるのが「ことシリーズ」ですから、次の様になります。
■車にはねられること
to be hit by a car
being hit by a car
これで3つの選択肢が全部そろいました!
a. being hit
b. hitting
c. to be hit
hittingは能動態の「はねること」ですから使えませんね。「はねられること」の意味になるのはa.とc.の2つです。
a. being hit
b. hitting
c. to be hit
being hitもto be hitも両方とも「はねられること」ですから、どちらでも良いはずです。つづきは次回のお楽しみです。
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もう一度問題文に戻りましょう。
The boy escaped ( ) by a car.
a. being hit
b. hitting
c. to be hit
選択肢a. being hitとb. hittingは進行形ではないことが分かりました。進行形は「be+現在分詞」で使うからです。では、現在分詞のbeing hitやhittingはどのように使うのでしょうか?現在分詞は「~している」の意味の動きのある飾りですから、hittingは「叩(たた)いている」、being hitは「叩(たた)かれている」の意味になるはずです。
■叩かれている少年
a being hit boy(×)
a boy being hit(○)
ETの法則を考えると、2語以上の飾りがboyの前についている上の英語はダメだと分かりますね。
■ドラムを叩いている少年
a hitting boy (▲)
a boy hitting drums (○)
上の「叩いている少年」は文法的には正しいのですが、何を叩いているのかが重要な情報ですから、それがないのは不自然です。
こう考えると、問題文の( )にはbeing hitもhittingも入らないことが分かります。だって、空所の直前にthe boyがありませんから、being hitやhittingによって飾られる名詞がありません。
さて、学学さんが問題文で注目したのは動詞のescapedだけでした。重要なのは空所( )にも注目して、問題文の文型を考えることです。すると、次の様になります。
The boy・・・escaped・・・( )・・・by a car.
・・S・・・・・・V・・・/・・O・・・・・M
S(主語)やO(目的語)になれるのは名詞でしたね。すると、空所には名詞が入らないといけないことが分かります。今まで考えてきたのは現在分詞という形容詞です。形容詞は目的語にはなれません。ですからbeing hitやhittingを名詞と考える必要があります。「-ing」の形をした名詞のことを「動名詞」と言います。次回は動名詞について考えます。
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まだ熱が引かないので、今回は前回の講義を簡単にまとめるだけにします。
speak=原形
spoke=過去形
spoken=過去分詞形
speaking=現在分詞形
これは「動詞の活用形」なのだから、4つとも全部動詞。speakingも当然動詞で、being hitやhittingも動詞だろう、と学学さんは考えた。
でも、実際は「動詞」はspeak、spokeまでで、spokenやspeakingは形容詞!
speak=原形(話す)原形の動詞
spoke=過去形(話した)過去形の動詞
spoken=過去分詞形(話されてる)動きのある形容詞
speaking=現在分詞形(話している)動きのある形容詞
そして、形容詞は時間(時制)を表現することはできない。
■話をしている人
a speaking man
「話をしている人」は時間を表現していない。時間を表現したいときは形容詞ではなく動詞を使う。
■ここに話をしている人がいる。・・・■あそこに話をしている人がいた。
There is a speaking man here.・・There was a speaking man there.
動詞のisやwasが時間を表現している。形容詞のspeakingは時間を表現しない。
形容詞には2つの使い方がある。両方ともmanを飾っている。
■話をしている人・・・■その男は話をしている。
a speaking man・・・The man is speaking.
やはり形容詞speakingは時間を表現していない。動詞のisやwasが時間を表現する。
■その男は話をしている。・・・・■その男は話をしていた。
The man is speaking.・・・ ・・The man was speaking.
「be+現在分詞」のことを「進行形」。beが現在形なら「現在進行形」、beが過去形なら「過去進行形」で両方とも時間を表現している。
ということは、選択肢のbeing hitやhittingは「進行形」ではない!!なぜならこれらはただの現在分詞で、be動詞がついていないのだから。
ここまでは理解できましたか?前にも授業で言ったのですが、このような混乱は学校の英語先生にも責任があります。学校では次の様に教えます。
be + -ing=「~している」
これは真っ赤なウソでしたね。正しくはこうでした。
-ing=「~している」
つまり、現在分詞-ingに「~している」の意味がありbe動詞は関係がないのです。言い換えると、動きのある形容詞が「~している」なのであって、それが「今」なのか「昔」なのかを表現するのがbe動詞の仕事だということです。
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本日からブログを再開します。先日行われた後期中間テストの質問に答えます。良く分からない問題があればこの投稿に質問をぶら下げてください。
【質問】
The boy escaped ( ) by a car.
a. being hit
b. hitting
c. to be hit
「時制がescapedは過去形で、aとbは進行形だったから一緒には使えないと思い、私は不定詞のcを選んだけど、なんでaなのですか?」
【回答】
「escapedは過去形」、「being hitは進行形」、「hittingも進行形」。過去形と進行形は別の時制だから一緒には使えない。だから「不定詞のto be hit」だと考えたのですね。
being hitやhittingは「-ing」で終わっていますから、学学さんがこれを「進行形」と考えたのは仕方がありません。英語は同じ形をしているものに色んな使い方がありますからね。「-ing」が現在分詞で「~している」の意味を表す形容詞なら、学学さんの言う通り過去形のescapedと一緒に使えない。あ、「現在分詞」というのは動詞の活用の4つ目の形です。そして、現在分詞というのは「動きのある形容詞の形」です。
speak=原形(話す)原形の動詞
spoke=過去形(話した)過去形の動詞
spoken=過去分詞形(話されてる)動きのある形容詞
speaking=現在分詞形(話している)動きのある形容詞
学校ではこれを「動詞の活用」と教えているので、4つとも全部動詞だと思ってしまいます。ここで英語が分からなくなる人がたくさんいます。下の例を見てください。goodやbadには動きはありません。でもspeakingやspokenには動きがあります。でもどれも形容詞です。
■話をしている人・・・・・■悪い人
a speaking man・・・・・・a bad man
■話されている言葉・・・・■良い言葉
a spoken word・・・・・・a good word
一方、「進行形」というのは「S is 現在分詞」で表現する時制(時間)の形です。次の例を見てください。ここから形容詞には2つの使い方があるのが分かります。
■白いゴジラ・・・・・■ゴジラは白い
white Godzilla・・・・Godzilla is white.
■走っているゴジラ・・■ゴジラは走っている。
running Godzilla・・・Godzilla is running.
whiteは動きのない形容詞、runningは動きのある形容詞ですね。使い方はwhiteもrunningも同じですからwhiteが形容詞ならrunningも形容詞です。そしてis runningのことを「現在進行形」と呼んでいるのです。これは「時間(時制)の形」です。white Godzillaやrunning Godzillaは時間を表してはいません。いつ白かったのか、いつ走っていたのかはこれだけでは分からない。でも次の様になると時間(時制)を表現できるようになります。
Godzilla is white.・・・・「今」ゴジラは白い。
Godzilla is running.・・「今」ゴジラは走っている。
時制については別のところで説明します。ここでのポイントは、同じ「-ing」でも形容詞の「形」だったり時制の「形」だったりすることです。ここが英文法の厄介なところです。同じ「形」なのに、表現している内容が別なのです。
さて、次回は「-ing」が名詞の「形」であるという話をします。学学さんの質問にはまだちゃんと答えていませんが、もう少し辛抱して僕の話を聞いてください。
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自分のことを棚に上げて人を非難する教師、やれもしないことをやれると嘘を言う教師に囲まれて気力が萎え、体調が回復しません。更新はしばらくお休みします。あしからず。
P.S.
また発熱をしたので、昨日病院へ行ってきました。すると、驚いたことにまたインフルエンザに感染していることが分かりました。それも同じA型です!「そんなことがあるのですか?」と先生に尋ねたところ、今年のインフルは同じA型でも2つのタイプがあるそうです。
1人寝込んでしまっては孤独死してしまうので、名古屋のリンダのところへ帰ります。来週は授業に行けません。お許しください。
・
今回は選択肢cが本文の内容と一致しない理由を考えてみましょう。
Some people claim that historical statue should not be publicly exhibited, and that they should be preserved somewhere unrelated to the former British colonies.
一部の人々は歴史的立像は皆の目に触れるところに展示すべきではなく、植民地とは関係のない所に保管すべきだと主張している。
第6段落の著者の主張の1つが次の様な内容でした。
But the men whose statues are being pulled down are not abolitionists but enslavers: owning up to their crimes is much more difficult for many British people than simply walking past them in the street. And for other British people, having to see these statues every day, sitting in lecture theatres and concert halls named after these men, is a daily act of violence that has become unbearable.
しかし、撤去されている像のモデルは奴隷制度廃止論者ではなく奴隷所有者だ。彼らの犯した犯罪を認めることは、多くのイギリス人にとって、単にその前を通り過ぎるよりもはるかに難しいことだ。そして、他の一般のイギリス人にとって、これらの像を毎日見なければならないこと、これらの人々にちなんだ講堂やコンサートホールに座ることは、耐えがたい日常的な暴力行為となってきてる。
一見すると、本文の内容と選択肢cは同じ事を言ってる気がします。でも、ここには論理の勝手な展開と飛躍があります。
「多くのイギリス人は過去の罪を認めるのがいやだし、立像を見ることは耐えがたいことだ」→「だから立像を皆の目に触れるところに展示すべきでないし保管場所も考えろ」
これは「間違った選択肢の作り方」の7つ目に当たります。赤本で「内容一致問題」を解くときに、「どうしてその選択肢が間違っているのか」を常に考えてください。ただ漫然と解いているだけではいけませんよ!
1.主語のすり替え
2.動詞の時制のすり替え
3.数量・程度のすり替え
4.否定表現のすり替え
5.原因・結果の逆転
6.特殊な事例の一般化
7.ストーリの勝手な展開
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今日は選択肢dを考えてみましょう。こんな具合です。
Some people protest against the demolition of certain monuments because they feel conflicted between taking responsibility for the past and honoring the past.
過去対する責任を感じる一方で、過去を褒めたたえたいという対立する感情があるので、くだんの記念碑を取り壊すことに抗議する人もいる。
これは次の本文の具体的内容を抽象化した物であることがお分かりだろうか?
The outcry about the removal of the statue shows that some people in Britain are uncomfortable with any critique of Britain’s past. But they want it both ways: to be free of guilt for historical sins, but to be proud of what they see as historical achievements.
英国人が立像の撤去に抗議することから次の様なことが分かる。彼らの一部は英国の過去に対するいかなる批判をも不愉快に思っている。しかし、歴史的悪行の罪悪感から解放されたいと同時に、自分たちが歴史的偉業だと思っているものを誇りたいという2つのことを彼らは望んでる。
protest(抗議)がoutcry(激しい抗議)と言い換えられていること、そしてdemolition of certain monumentsがremoval of the statueだと分かれば簡単ですね。「歴史的悪行の罪悪感から解放されたいと同時に、自分たちが歴史的偉業だと思っているものを誇りたいという2つのこと」という具体的な本文が抽象化されて「過去対する責任を感じる一方で、過去を褒めたたえたいという対立する感情」という選択肢になっています。
具体的に詳説されている本文の内容が、選択肢ではその具体性が捨象され抽象化されて「毛を刈られた羊」のようになっている、これが早稲田の正解の選択肢の特徴です。
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今回は正解の選択肢の性質を考えましょう。言い換えると、早稲田の作問委員の先生は正解の選択肢をどうやって作るかを熟思するのです。これが分かっていないと早稲田に合格はできません。
入試問題は霊感や山勘で解いてはいけません。ましてや、本文で使われているのと同じ単語や表現が使われているからという理由で選んではいけませんよ!
選択肢bとdが正解なのですが、前回に抽出した著者の主張と比較してみましょう。先ず、bから考えます。
b. Some people object to the idea of coming across certain kinds of historical memorials since they feel they are too horrendous.
一部の人々は、歴史的な記念碑(=立像)を偶然見かけるなんて考えたくもない。なぜなら、その立像は極めておぞましいと感じるからだ。
object to the ideaは「考えに反対する」よりも「考えるのを嫌う」とか「考えたくない」が良いでしょう。赤本の日本語訳はちょっと壊れてますね。
では、本文で展開されている著者の主張はどうなっているのでしょうか?
But the men whose statues are being pulled down are not abolitionists but enslavers: owning up to their crimes is much more difficult for many British people than simply walking past them in the street. And for other British people, having to see these statues every day, sitting in lecture theatres and concert halls named after these men, is a daily act of violence that has become unbearable.
しかし、撤去されている像のモデルは奴隷制度廃止論者ではなく奴隷所有者だ。彼らの犯した犯罪を認めることは、多くのイギリス人にとって、単にその前を通り過ぎるよりもはるかに難しいことだ。そして、他の一般のイギリス人にとって、これらの像を毎日見なければならないこと、これらの人々にちなんだ講堂やコンサートホールに座ることは、耐えがたい日常的な暴力行為となってきてる。
選択肢bが下線部の記述と一致していることが分かりますか?よく見比べると、本文の主張の方はとても具体的で詳細な記述ですね。
「これらの立像を毎日見なければならないこと、こういう人たちの名前にちなんだ講堂やコンサートホールに座ることは耐えがたい日常的な暴力になってきている」
これが選択肢bになると具体性が切り捨てられ、抽象化されてヌルッ!ツルッとした惚けた文になっています。
一部の人々は、歴史的な記念碑(=立像)を偶然見かけるなんて考えたくもない。なぜなら、その立像は極めておぞましいと感じるからだ。
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早大教育大問Ⅰの内容一致問題は、設問の内容から著者の主張が2つかることが分かります。とても親切な問題ですね!
Which of the following statements best describes the author’s ideas in this paragraph? Choose the TWO best statements.
ならば、先ずは当該段落の2つの主張を特定しましょう。そのためには、英語のロジックが分かっていないといけません。授業でやったのを忘れた人はここの「英語のロジック」をもう一度見直してください。ついでに、著者が主張を展開する構文もついでに見ておいてください。
The outcry about the removal of the statue shows that some people in Britain are uncomfortable with any critique of Britain’s past. But they want it both ways: to be free of guilt for historical sins, but to be proud of what they see as historical achievements. The most obvious example of this is the way that the British are comfortable talking about the slave trade only through Britain’s are comfortable talking about the slave trade only through Britain’s much-lauded part in ending the slave trade. But the men whose statues are being pulled down are not abolitionists but enslavers: owning up to their crimes is much more difficult for many British people than simply walking past them in the street. And for other British people, having to see these statues every day, sitting in lecture theatres and concert halls named after these men, is a daily act of violence that has become unbearable.
像の撤去に強く抗議するのを見れば、イギリス人の一部が自分たちの過去に対するあらゆる批判に対して不快感を抱いていることは分かる。しかしながら、彼らがそれならどうして欲しいのかという、それには2つの方向がある。すなわち、歴史的な罪悪感から解放されたいと同時に、彼らが歴史的な業績と見なすものを誇りたくもあるということだ。最も顕著な例は、イギリスが奴隷貿易について話す際、奴隷貿易を終結させるためにイギリスが果たした誇るべき役割をうれしそうに話すその話し方だ。しかし、撤去されている像のモデルは奴隷制度廃止論者ではなく奴隷所有者だ。彼らの犯した犯罪を認めることは、多くのイギリス人にとって、単にその前を通り過ぎるよりもはるかに難しいことだ。そして、他のイギリス人にとって、これらの像を毎日見なければならないこと、これらの人々にちなんだ講堂やコンサートホールに座ることは、耐えがたい日常的な暴力行為となっており、これは耐え難くなってきてる。
「英語のロジック」のパターンと同じですね!授業でやったフワちゃんの話を思い出してください。全く同じ論理展開であることを確認してください。「一般的な意見」と対立する形で「著者の意見」が展開され、それを裏付けるための「理由・根拠」と「具体例」が示されています。
「みんなフワちゃんのことをブスだ、ブスだというけれども、僕は彼女が美人だと思う。なぜならフワちゃんのお母さんも美人だし、魅力的なところを具体的に挙げると、あの「大きな目」や「形の良い唇」はステキだよね。
これで著者の主張が判然としましたね!次回は選択肢を考えてみましょう。
・
これは西郷さんが書いた『南州翁遺訓』の36番目の訓戒です。聖人や賢人が書いたものを単なる知識として読むことは、人が剣術をするのを傍観しているのと同じで何も身につかないと言っています。聖人や賢人の行いの底にある知恵を感得することで初めてその言葉が身につくと言ってます。
これと同じで、単語や熟語、文法や構文を知識として暗記しただけでは、著者の言いたいことを把握できません。ま、知識も必要なのですが、レトリックが分かっていなければ著者の主張は掴めず、入試問題も解けません。確認テストや定期テストの勉強をいくらやっても難関大学に合格できないのはそういうわけです。センターテストから共通テストに移行する際に、大学入試センターの作問委員が考えたのが「事実と意見の区別」、昨年から代わった早大の作問委員が考えたのが「具体的記述の抽象化」です。ま、早大の設問を使ってゆっくり説明してあげます。
・
体調が思わしくなく、なかなか学校に行けません。動けるようになるまでちょっと待っててください。あ、前回の2023年度早稲田大学教育の「文頭のto不定詞」の投稿を待ってますよ!暗記しているだけでは英検は合格できても入試問題は解けません。ちゃんと自分の頭で考えましょう。
今日は、同じ早大教育大問Ⅰの内容一致問題を考えましょう。この問題の解き方が分かれば早慶上智の内容一致問題の特徴が分かります。
The outcry about the removal of the statue shows that some people in Britain are uncomfortable with any critique of Britain’s past. But they want it both ways: to be free of guilt for historical sins, but to be proud of what they see as historical achievements. The most obvious example of this is the way that the British are comfortable talking about the slave trade only through Britain’s are comfortable talking about the slave trade only through Britain’s much-lauded part in ending the slave trade. But the men whose statues are being pulled down are not abolitionists but enslavers: owning up to their crimes is much more difficult for many British people than simply walking past them in the street. And for other British people, having to see these statues every day, sitting in lecture theatres and concert halls named after these men, is a daily act of violence that has become unbearable.
Which of the following statements best describes the author’s ideas in this paragraph? Choose the TWO best statements.
a. Some people believe that walking past statues of historic figures would lead to the redemption of their historical sins and the restoration of Britain’s achievements.
b. Some people object to the idea of coming across certain kinds of historical memorials since they feel they are too horrendous.
c. Some people claim that historical statues should not be publicly exhibited, and that they should be preserved somewhere unrelated to the former British colonies.
d. Some people protest against the demolition of certain monuments because they feel conflicted between taking responsibility for the past and honoring the past.
e. Some people insist that monuments of former slave owners are important because they help people reflect on their historical background.
単語集には載っていない単語がたくさん出てきますね!辞書を引きながら頑張って解いてみてください。あ、知らない単語が出てきても解き方が分かっていれば正解にたどり着けます。ちょっと時間をあげましょう。
・
次の英文は去年の早稲田大学ー教育(文科系)大問Ⅰに出てきます。不定詞は今週授業で勉強しましたね!「ことシリーズで名詞」か「ETで形容詞」か「はみ出しtoで副詞」かを考えてみてください。この英文が設問6の根拠文になっています。この不定詞が分かれば早稲田に合格します。
For the British to be ashamed of their imperial history, they would have to know about it and to understand both the worst excesses of imperial violence and the simple daily injustice of imperia rule.
ヒントをあげます。for me to goが「私が行くこと」なら、for the British to be ashamedは「英国人が恥ずかしがること」です。あ、「ことシリーズで名詞」なら「こと」になりますが、この早大の英語は「こと」でしょうかね?考えてみてください。
wouldは「もしかすると」「やろうと思えば」「できることなら」でしたね。ここでは「できることなら」がピッタリです。赤本はwouldが訳出できていません。この和訳では京大には合格できません(笑)。
andが作る対称形をちゃんと考えると、1つ目はhave to knowと[have] to understandが結ばれていること、2つ目はA of Bが結ばれていることが分かりますね。
the worst excesses of imperial violenceのA of Bは「大英帝国の暴力が引き起こした最悪の過ち」、the simple daily injustice of imperia ruleのA of Bは「大英帝国支配下で行われていた日常的な不正義」くらいの意味です。「Bの持つA」「Bに所属するA」の意味の「所有格のof」ですが、意訳するとこうなります。あ、赤本の和訳がまた間違っています(笑)。愚かにもsimpleを「単純な」と訳出していますね。相変わらず赤本の解説者はレベルが低いです。
文頭のtoですから、飾られる名詞がないので「ETで形容詞」の可能性はありません。だから「ことシリーズで名詞」か「はみ出しtoで副詞」かのどちらかです。分かった人は投稿してください。
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昨日、論理表現の授業でやった「It – for – to」と仲の良い形容詞、「It – of – to」と仲の良い形容詞について説明してあるブログへのリンクを掲載します。これを見たら分かるのですが、薮下が授業で話す内容はこの「薮研」に全部掲載されています。ですから、自分で勉強しようと思ったらいくらでもできますよ。
・
早大教育2021年度の大問Ⅳにも語句整序問題が出題されています。こんな具合です。
Altogether, research reveals that the positivity bias [ as / present / years / is / of / early / as / 3 / age], peaks in middle childhood, and weakens only in late childhood.
つなぎ語は接続詞のas1語、動詞もis1語ですから動詞が1つ省略されています。isの主語になる名詞the positivity biasは既に与えられています。 isの補語(形容詞)候補はpresentとearlyです。
the positivity bias is present~
the positivity bias is early~
「同じくらい」の意味の副詞asと結びつくのはearlyしかありませんから「同じくらい早くから」のas earlyにすると次の様になります。
■同じくらい早くからポジティブバイアスが存在する。
the positivity bias is present as early.
何と比べて「同じくらい早いのか」を「つなぎ語as」が表現しますね。あ、as early asの2つのasの働きが区別できないといけません!前のasは「同じくらい」の意味の副詞、2つ目のasは「~と比べると」の意味の接続詞です!このことは中学の時に習得しておかないといけません。さて、ここで考えられるのは次の英文です。
■彼らが2才であるのと比べると、それを同じくらい早くからポジティブバイアスが存在する。
the positivity bias is present as early as [they are] 3 years of age.
the positivity bias is present as early as [they are] 3 years old.
知識としては「3 years old」が「3 years of age」と同じ意味だと分かるがどうかです。そして省略されていた動詞が areだと分かります。
・
2021年度早稲田大・教育の大問1(1)は語句整序問題です。ほとんどの生徒が語句整序を知識問題だと思っています。先生のなかにもそう教える人がいますが、知識で解けるのはFランク大学の入試問題だけです。
語句整序問題は次の手順で解きます。
①つなぎ語は四角で囲む
②名詞は< >で挟む
③動詞にはアンダーラインを引いて個数を示す数字を書き込む
④動詞が取りうる文の構造パターン(文型)を考える。
⑤つなぎ語が生み出す文の多重構造に考慮する。
⑥名詞には<主語><動詞の目的語><前置詞の目的語>の機能を割り当てる。
⑦冠詞や副詞・形容詞は後回しにする
⑧文意・文脈から攻めず、理詰めで行く。
③の手続きで使うのが「つなぎ語+1=動詞」の法則です。次の英文のつなぎ語と動詞に注目してください。
I know a lot of people who live in Japan.
つなぎ語は関係代名詞のwho、動詞がknowとliveですから「1+1=2」の等式が成り立ちますね。つまり、つなぎ語が1つなら動詞の数は2つ必要だと言うわけです。関係代名詞や縦続接続詞のthatは省略されることがあるので気をつける必要があります。これは代々木ゼミナールの富田一彦が提唱した法則です。では実際に早大の語句整序問題を8つの手続きを踏みながら解いてみましょう。
After weeks of lecturing in Japan to students with a good command of English, Hazel wondered why the students did not say anything―no questions, no comments. She assumed [ in / ideas / she / that / from / were / interested / different / was / hers / students ], so why was there no response?
動詞はassured, were, wasの3つですから、つなぎ語が2つ必要です。つなぎ語候補はthat1つしかないので、もう1つは省略されていることに気がつきます。では次に主語候補の名詞を拾い出しましょう。
・ideas
・she
・students
すると、she was interested inは確定です。群動詞was interested inの目的語はideasかstudentsです。 hersだと「彼女は彼女の物に興味があった」と脈絡不明の文になります。もう1つの動詞wereの主語はideasで、 ideas were different from hersだと辻褄が合います。すると、次の2文が確定します。
She was interested in ideas.
Ideas were different from hers.
ここから、つなぎ語thatは関係代名詞が確定し、2文をthatでつなぎます。
She was interested in ideas that were different from hers
彼女は自分のとは異なっているアイデアに興味があった。
次にassuredが導く文型を考えると「assure+何を(that文)」が思い付くので・・・
She assured [that] she was interested in ideas that were different from hers.
となり、省略されている「つなぎ語」が従属接続詞のthatだと分かります。さて、studentsが余りましたが、「assure+誰に+何を」の第4文型に思い至れば正解にたどり着けます。
[解] She assured students [that] she was interested in ideas that were different from hers.
どうでしたか?この語句整序問題のキモは「assure+誰に+何を」を思い付くかどうかだということです。このように、序列問題は理詰めで解きます。特に、「つなぎ語+1=動詞」が重要でしたね。このお陰でthatの省略をあぶり出すことができました。
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高1のコミュニケーション英語のために薮下が作ってる教材には「英語の読み方」が8つ書いてありますね。こんな具合です。
1.前置詞+名詞は他の部分から切り分けて形容詞か副詞かを考える。
2.and、but、orが出てきたら直後に注目し、直前に同じ形を探す。
3.a、an、theが出てきたら名詞を探す。
4.助動詞の後ろには動詞がある。be~toや~toを助動詞考えれば簡単に動詞が見つかる。
5.文中副詞の後ろには(一般)動詞がある。文中副詞のほとんどが「-ly」の形をしている。
6.文異常だと思ったら、倒置・省略・挿入を疑う。文頭に前置詞+名詞があり、直後に動詞があれば倒置。
7.A of Bが出てきたら「BがAする」「BをAする」「Bの持つA」「BというA」「AのB」を特定する。
8.that、-ing、to-が出てきたら「名詞」「形容詞」「副詞」を特定する。, -ingのコンマ(,)の省略に注意。
この2番目のルールを使って2021年度早大教育学部の大問1(3)を解いてみましょう。空所補充問題は等位接続詞が作る対称構造を考えると簡単に解ける場合があります。
Shinobu was curious ( 3 ) American students shouldn’t just listen to a lecture and why they felt the need to be constantly interrupting each other and talking over each other and the professor.
①about what
②about why
③as to
④as for
andの直後に注目して、直前にも同じ構造を探します。andの直後は「why+文」ですから、直前にも同じ構造があるはずだと考えて②を選びます。ね、簡単でしょ!
念のために検算をしてみましょう。空所の直後にはAmerican students shouldn’t just listen to a lectureという文が来ているので、前置詞のtoやforが文の直前には来れません。前置詞は「名詞の前に置く詞(ことば)」で、文の前に置く詞ではありませんからね。だから③④はあり得ません。そして関係代名詞what(あるいは間接疑問文)が来るのなら、直後は不完全文になるはずですが、American students shouldn’t just listen to a lectureは完全文ですから①もありえません。やっぱり②が正しかったことが分かります。そして、授業でやってる「英語の読み方」がとても重要であることが分かりますね。普段から対称構造を意識して英語を読まないといけません。この対称構造に言及していない赤本の解説は全然ダメです。
ちなみに、2つ目のandはinterruptingとtalkingの動名詞を結んでいるのが分かりますか?明日は同じ早大の「語句整序問題」を解いてみましょう。語句整序問題の解き方が分かります。
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「ブスと美人」の対立に当たるのが「密室と(皆がよく目にする)たくさんの製品」ということなのですが、「皆がよく目にする」ってどこに書いてあるの?という疑問が湧くと思います。この疑問の答えは、段落冒頭の英文を読めば分かります。
⊿色の革命は学者達の目には見えない。なぜなら、それはビジネス間の現象だからだというのが1つある。
The color revolution has been invisible to scholars in part because it was a business-to-business phenomenon.
ほらね!段落冒頭文には主張が現れます。2段落構成の短い英文だったらなおさらです。あ、赤本はこの英文を次の様に和訳しています。
色の革命は、1つにはそれが企業向けの現象だったので、学者には見えなかった。
薮下は赤本の訳語を見ていつも思うのですが、訳者はそんな日本語を今まで使ったことが本当にあるのでしょうかね?ここの「企業向けの現象」って一体何のことでしょうか?消費者向けの現象とか学者向けの現象なんて言葉を聞いても、何も頭に絵は浮かびません。この誤訳の原因は、business-to-businessの意味を訳者が「密室」から推察できなかったということでしょう。要するに、この子は頭があまり良くないってことです。
⊿business-to-business phenomenon
企業と企業の間で行われること
たとえばpeer-to-peer communicationというのは、2台のコンピュータの間で行われるデータの受け渡しのことを言ってるし、man-to-man talkというのは、2人の間で行われる率直な意見交換のことを言ってます。だから、ここでは色のプロが行ってきた色の革命は、企業と企業の間で行われてきた(すごい)ことだから、学者先生たちにはよく見えなかったと言ってるわけです。
赤本がこれを誤訳しているということは、この問題文の主旨が理解できていないと言うことになります。なぜなら「企業向けの現象」から「密室」は出てきません。「企業と企業の間の出来事」だから「密室」なのでしょ!?business-to-businessの意味が分からなくても、「密室」からその意味が推察できなくてはいけません。
英語は左の内容が右で具体化されます。ここでも「色のプロが行った革命は企業と企業の間の出来事だから見えない」→「色のプロの仕事は密室でおこなわれていたので見えない」と具体化されるわけです。他にも「scholars(学者)」が「design historian(デザインの歴史を研究する学者)」になっていて、彼らに見えてるのは市場に出回るconsumer goods(皆がお金を出して買う製品)だと言うわけです。そして、次に「主張文」が出てきます。
⊿(実際に)色のプロ達の仕事は、人工環境を作ることだったし、クレオラ社製のクレヨンやパステルカラーの車を含むたくさんの製品に彼らは直接関わっている。
(Indeed) the work of professional colorists shaped the built environment, and many consumer products, including Crayola crayons and pastel automobiles, were directly attributable to them.
⊿しかし、色のプロたちは主に他のプロたちと密室で仕事をしていた。
But colorists mostly worked behind closed doors with other professionals.
ここで注意して欲しいのは、さっきのconsumer goodsもここに出てくるconsumer productsも同じことを言うのに使われています。つまり、「学者先生も含めた皆が目にすることのできる製品」です。ちょっと文脈をまとめてみましょう。
(色のプロが行った)色の革命は学者たちの目には見えない。
なぜなら
その革命は企業と企業の間(の密室)で行われたことだから。
(それだから)
デザインの歴史を研究する学者は、市場にでまわりよく目にする製品を研究対象として扱う。
(実際に)
色のプロの仕事もよく目にする製品に直接関わっているのだけど、
しかし
色のプロは他のプロたちと密室で仕事をしているので、目には見えない。
ほらね!これで「密室と皆がよく目にするたくさんの製品」の対立がハッキリして、「主張文」の意味が分かるようになったと思います。
あ、built environment(人工環境)はartificial environmentとかman-made environmentと言うのが普通です。これはnatural environmentに対立する言葉で、人間が自然に働きかけて作り上げた生活環境は全て「人工環境」です。この様に、早稲田の英語はある程度の語彙力と、それに基づいた推察力が必要です。だから、最初の単語集1冊以外にも、分野別の単語集、あるいは4000語レベルの単語集を別にやっておくと安心です。
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共通テスト英語問4は、同じテーマに対して2人のブロガーが各々の視点から別の主張を展開しています。そして、設問1が一方のブロガーの主張、設問2がもう一方の主張、設問3が両者に共通する主張、設問4と5が2人が主張する最善の方法を具体的に実行した場合の「あなた」のたどり着く結論を尋ねていましたね。
ここがポイントなのですが、設問1~3は2人の抽象的主張を尋ねているのですから、本文に出てくる「抽象的主張文」が選択肢の正誤を判別するための根拠文になりましたね。
ですから、「逆接」のディスコース・マーカbutが有効でした。
For example, when they studied for a test, they would use a workbook like the example below and repeatedly say the terms that go in the blanks: “Obsidian is igneous, dark, and glassy. Obsidian is igneous, dark and glassy… ” These students would feel as if they had learned the information, but would quickly forget it and get low scores on the test. Also this sort of repetitive learning is dull and demotivating.
この英文の青い部分は「具体的説明文」、赤い部分が「抽象的主張文」だと区別できますか?For exampleから始まる文章群は具体例に決まってますし、仮定法のwouldを含む文から著者の主張が始まります。そして、「抽象的主張文」中のbut以下が設問1の根拠文になりました。
問1 Oxford believes that ( ).
① continuous drilling is boring
② reading an explanation of terms is helpful
③ students are not interested in science
④ studying with a workbook leads to success
termsもworkbookも具体的説明文に出てくる名詞ですから②と④は消去できます。③を言ってしまうと話しが終わってしまいますのでこれも消去できます。残った①は「抽象的主張文」と一致しますからこれが正解です。
ほらね!早稲田大の解法と同じです!
主張文を特定するには「対立の論理」を示すbutやhoweverだけでなく、「強調構文」や「倒置構文」、「譲歩構文」や「対比・対照構文」を理解しておく必要があります。リンク先の「英語のロジック」を参照して勉強しておいてください。
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これは2014年度の早稲田大文学部、大問2(A)です。問題文は2段落構成で、設問も2つだけしかありません。設問の英語から抽出できるマーカはprofessional colorists。
According to the passage, professional colorists ( ).
(a) based their work primarily on the use of colors in painting and decorative arts
(b) carried out their work in public situations where people observed them carefully
(c) employed their skills to produce appropriate color combinations for various purposes
(d) preferred to work in the clothing industry rather than in the automobile industry.
マーカを本文中に探すと、次の4箇所でヒットします。
The color revolution has been invisible to scholars in part because it was a business-to-business phenomenon. Design historians often focus on the consumer goods that make everyday life more comfortable and convenient, or that reflect the modern aes
thetic. The work of professional colorists shaped the built environment, and many consumer products, including Grayola crayons and pastel automobiles, were directly attributable to them. But colorists mostly worked behind closed doors with other professionals. They helped school boards, automobile body makers, and telephone engineers master the various impacts of color harmony. In just doing their jobs, colorists helped create America’s first visually streamlined cars, figured out how to speculate on future colors, and introduced the coordinated clothing ensemble to mass merchandising.
Industries had their own share of “number guys” who imposed mathematical logic on the widespread canned and packaged product trade and the early auto industry. Colorists recognized the value of market surveys and sales reports. They combined their knowledge of human psychology with quantitative data and took color forecasting to new heights
こうなると、4つの内のどれが選択肢の正誤を判断できる根拠文だか分かりません。「早稲田大英語にはマーカ抽出法が使えないの?」という質問が薮研に殺到しても当然です。
でも、これは当然のことで、問題文はprofessional colorists(色の専門家)がテーマなのだから、「色の専門家は~した」があちこちに出てきても不思議はないわけです。
ここで思い出して欲しいのは、選択肢の正誤を判断するための根拠文は「主張文」だということです。「主張文」と選択肢とを比較して、「テーマ」が主張通り正しく使われているものを選べば良いわけです。そして、段落が2つに設問も2つなのですから、設問1が第1段落を、設問2が第2段落を扱っていると考えて良いでしょう。
さて、第1段落の「主張文」はどれか分かりますか?ちゃんと第1段落中程に出てくるButに注目できましたか?そう、この段落の「主張文」は次の英文です。
⊿しかし、色のプロたちは主に他のプロたちと密室で仕事をしていた。
But colorists mostly worked behind closed doors with other professionals.
これだけでは著者が何を言いたいのかよく分からないので、butを挟んで対立している言葉を探します。あ、これは「イモト」さんの例で言うと「ブス」と「美人」に当たります。
⊿(実際に)色のプロたちの仕事は、人工環境を作ることだったし、クレオラ社製のクレヨンやパステルカラーの車を含むたくさんの製品に彼らは直接関わっていた。
(Indeed) the work of professional colorists shaped the built environment, and many consumer products, including Grayola crayons and pastel automobiles, were directly attributable to them.
イモトさんの「ブスと美人」の対立に当たるのが、早稲田の「密室と、(皆がよく目にする)たくさんの製品」だということが分かりますか?つまり、色のプロたちの仕事場は人目に付かない密室なのだけど、彼らの生み出す製品は皆が目にする有名なものだよ!と言ってるわけです。
これは今授業でやっている「共通テストの第4問の解き方」と同じだと分かりますか?次回は早稲田英語と共通テスト第4問との共通点につて考えて行きます。
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前から現代文の話をしています。ちょっと英語から離れてしまった感がありますが、もう少しお付き合いください。ちゃんと早稲田の内容一致問題が解けるようにしてあげます。
前に、「内容一致問題」の選択肢の正誤を判定するための根拠文は「主張文」だと書きました。このことについて今回は、薮下がいつも使う「イモト」さんの例で説明しましょう。
世間ではイモトをブスだと言う。
でも
彼女こそ沈魚落雁、閉月羞花と形容すべき女性だと思う。
つまり
彼女は、その美しさに魚は沈んで岩場に隠れ、渡り鳥の雁は恥じ入って落ちてしまうくらい美人なのである。
実際(例えば)
あの吸い込まれるような愛らしい瞳、むしゃぶりつきたくなるような紅い唇を見て何も感じない男なんていないはずだ。
どうして彼女が美しいのかというと、
イモトの母さんも絶世の美女!
だから(結局)
世間の奴らは身の丈に合ったブスに魅かれ、相手にしてもらえない美人を敬遠してしまうのが問題なのだ。
このロジックを簡単に説明しておくと、先ず「一般的意見・客観的事実」と対立する形で「主張」が展開されます。この「主張」が抽象的に表現されている場合は、右でそれが具体化されます。つまり「主張」が具体的に言い換えられて繰り返されるのです。小学生の作文ならここで終わってしまってもかまいません。でも、論説文にするにはそのように主張する「理由」と、その主張の「具体的内容」が次に述べられて、主張が正しいことを裏付けます。
一般的意見・客観的事実
でも
主張(抽象表現)
つまり
主張(具体的表現)
例えば
具体的例示
なぜなら
理由
だから
念押しの主張の繰り返し
ここで注意が必要なのは、「表現の具体化」と「内容の具体化」は別だということです。言い換えると、「沈魚落雁、閉月羞花」と抽象的に表現されている「主張」が、その右で具体的に「彼女は美人だ」と表現し直されているのが「表現の具体化」です。一方「彼女は美人だ」という主張の具体的内容が「愛らしい瞳」や「紅い唇」なわけです。これはどちらも「同格」というロジックなのですが、目的が違います。そして、これについて書いてある現代文の問題集や参考書がとても少ないような気がします。
さて、これがどのように問題化されるかというと、こんな具合です。
設問1 傍線部に「沈魚落雁、閉月羞花」とあるが、それはどういうことか?
設問2 傍線部に「彼女は、その美しさに魚は沈んで岩場に隠れ、渡り鳥の雁は恥じ入って落ちてしまうくらい美人なのである」とあるが、それはなぜか?
設問3 傍線部に「彼女は、その美しさに魚は沈んで岩場に隠れ、渡り鳥の雁は恥じ入って落ちてしまうくらい美人なのである」とあるが、それは具体的にどういうことか?
設問4 傍線部に「相手にしてもらえない美人を敬遠してしまうのが問題だ」とあるが、それはなぜか?
設問には「それはどういうことか?=それは何か?」と「それはどうしてか?=それはなぜか?」の2種類しかありません。いろんな言葉で表現されてはいますが、この2つのどちらかに分類されます。そして、設問2が主張する「理由」である以外は、すべて「主張文」のことを尋ねてます。
だから「主張文」と選択肢とを比較すれば良いわけです。その時、比較ポイントを明確にしておくことがコツでしたね。全体を漠然と比較するのではなくて、「テーマ」が主張通り正しく使われているものを選べば合格です。次回はやっと早稲田の英語です。
・
去年のセンター現代文、大問1の問2はこんな問題です。
傍線部「『教えて君』よりも『教えてあげる君』の方が、場合によっては問題だと思います」とあるが、それはなぜか。その理由の説明として最も適当なものを、次の①~⑤のうちから1つ選べ。
ここで傍線部の様に言える「理由」を自分の頭で考えてはいけません。どんな「内容一致問題」も、正誤判定の根拠になるのは「主張文」です。 だから、「主張文」と選択肢を比較すれば良いわけです。 ま、これについては次回詳しく説明します。
「テーマ」は「啓蒙」です。主張文は「啓蒙のベクトルが落ちてゆく」こと、それが具体化されたものが「(教えて君と教えてあげる君の)両者が一緒になって、川が下流に流れ落ちるように、よりものを知らない人へ知らない人へと向かってゆく」ことでした。だから、マーカも「啓蒙」です。選択肢の中に「啓蒙」を探します。ま、普通は「啓蒙」がそのまま出てくることはなくて、巧妙に書き換えられています。
テーマ=「啓蒙」→「知的レベルが向上すること」
ね!ちょっと形が変わっています。じゃあ、次に「主張文」が選択肢ではどうなっているのかを見ます。
主張文=「啓蒙のベクトルが落ちてゆく」→「知的レベルが向上していかない」
あ、ここで注意して欲しいのは具体化された主張文の「教えて君と教えてあげる君の両者が一緒になって」知的レベルが下がってゆくという部分です。それを赤色で強調するとこうなります。
主張文=「両者の啓蒙のベクトルが落ちてゆく」→「両者の知的レベルが向上していかない」
さて、ここまで来たら後は「両者の知的レベルが向上していかない」と書いてある選択肢を探すだけだから簡単です。
①「教えてあげる君」は「教えて君」に対して無責任な回答をすることによって、質問をただ繰り返すばかりの「教えて君」の態度の安直さを許してしまっているため、「教えて君」の知的レベルを著しく低下させる弊害をもたらすことにもなるから。
②「教えてあげる君」は「教えて君」に知識を押しつけるばかりで、その時点での相手の知的レベルに応じた回答をしているわけではないため、「教えて君」をいたずらに困惑させてしまい、自らの教える行為を無意味なものにしてしまうことにもなるから。
③「教えてあげる君」は自身の知識を増やそうとすることがなく、「教えて君」の知的好奇心を新たに引き出すこともないため、「教えて君」もまた「教えてあげる君」と同様の状況に陥り、社会全体の知的レベルが向上していかないことにもなるから。
④「教えてあげる君」は社会全体の知的レベルを向上させなければならないという義務感にとらわれており、「教えて君」の向学心に直接働きかけようとして教えているわけではないため、自分自身の知的レベルが向上していかないことにもなるから。
⑤「教えてあげる君」は「教えて君」を導くことで得られる自己満足を目的として教えているに過ぎず、「教えて君」の知的レベルを向上させることには関心がないため、「教えて君」と「教えてあげる君」との応答がむだに続いてしまうことにもなるから。
①は「教えて君」の知的レベルが下がるだけだと言ってるのでダメ。②は主張通りに知的レベルが下がるとは書いてないので論外。③は「教えて君」と「教えてあげる君」を足したものが「社会全体」に書き換えられていることに気がつけば、これが正解だと分かります。④は「教えてあげる君」の知的レベルが下がるだけだと言っているのでダメ。⑤も②と同じで、主張の知的レベルが下がるが出てこないので論外。以上で比較検討終わり!ね、簡単でしょ!
現代文が苦手な子は、選択肢全体を漫然と比較するから、選択肢が全部同じことを言っている様に思えてしまうのです。ポイントは選択肢の中で「テーマ」が主張通りに正しく扱われているかどうかです。ここが選択肢の比較ポイントになるのです。この様に、選択肢を見比べるときには「比較ポイント」をハッキリさせることが大切なわけです。選択肢を見比べるときに注意すべき点を書き加えておきます。
・
前期期末試験が今日で終了したので、ブログの連載講義を再開します。入試に向けて頑張りまっしょい!
林君からリクエストのあった 早稲田の英語攻略法について解説します。「逆マーカ抽出法」という解法で、「マーカ抽出法」の逆バージョンです。これは早稲田だけでなく他の難関大学でも使えます。簡単にまとめるとこうなります。
「マーカ抽出法」
設問の英語からその設問に独特の名詞を「マーカ」として抽出し、本文中にマーカを探して、正誤を判断する根拠文を見つける。
「逆マーカ抽出法」
本文の英語からテーマの名詞を「マーカ」として抽出して、そのテーマに関する著者の主張文を探す。次に、選択肢の中にテーマを探して、テーマが著者の主張通りに使われているかどうかを判断する。
この「逆マーカ抽出法」は、実は薮下が現代文の解法として使ってたやり方です。でも、このやり方が英語の内容一致問題にも有効なのですよ!ま、論より証拠で、実際に現代文の問題を「逆マーカ抽出法」を使って解いてみましょう。先ずは「テーマ」を見つけます。あ、テーマは前にこのようにまとめました。
①テーマとは、著者がその段落でそれについて言っているところの「それ」。
②テーマは「テーマ is 主張」の形で、段落冒頭の抽象文(主張文)の中に登場する。
③テーマは抽象的な名詞で与えられ、それがnamely、that is to say、 in other words、コンマ、コロン)を挟んで右側で説明され具体化される。
④テーマはその段落の中で繰り返し登場し、代名詞化される。
ネット上で教えを垂れる人たちは、時にある程度有名な方々は、他者に対して啓蒙的な態度を取るということに、一種の義務感を持ってらっしゃる場合もあるのだろうと思います。僕も啓蒙は必要だと思うのですが、(でも)どうも良くないと思うのは、ともするとネット上では、啓蒙のベクトルが、どんどん落ちていくことです。これはしばしば見られる現象です。例えば、掲示板やブログに「○○について教えてください」などという書き込みをしている「教えて君」みたいな人がよくいますが、そこには必ず「教えてあげる君」が現れる。自分で調べてもすぐにわかりそうなのに、どういうわけか他人に質問し、そして誰かが答える。そして両者が一緒になって、川が下流に流れ落ちるように、よりものを知らない人へ知らない人へと向かってしまうという現象があり、これはナンセンスではないかと思います。ツイッターでも、ちょっとしたつぶやきに対して、「これこれはご存じですか?」というリプライを飛ばしてくる人がいますが、つぶやいた人は「教えてあげる君」に教えられるまでもなく、それは知っていて、その上でつぶやいたのかもしれない。だから、僕は「教えて君」よりも「教えてあげる君」の方が、場合によっては問題だと思います。自分より知識や情報を持っていない方に向かうよりも、自分が知らないことを新たに知ることができる方向に向かっていった方がいいに決まっている。啓蒙するよりも啓蒙される側に回った方が、自分にとっては利があると思うのです。
(2015年度センター試験・大問1・問2)
「啓蒙」が繰り返し出てくるので、「テーマ」は「啓蒙」だとすぐに分かります。次に「啓蒙」についての著者の主張を探します。主張文は「しかし」や「でも」の対立の接続詞の次に出てきます。それがない場合には、前にもやった様に自分で補うと良いでしょう。また、「例えば」や「なぜなら」が出てきたら、その直前が主張文でしたね。そう考えて読んでゆくと主張文はすぐに見つかります。
主張文=「ネット上では啓蒙のベクトルが落ちてゆくので良くない」
今度は「例えば」の右で、この「主張文」がどのように具体化されたのかを見てきます。「現象」という言葉に着目すると簡単に見つかります。とにかく、繰り返し出てくる表現には注意をすることです。
主張文の具体化=「(教えて君と教えてあげる君の)両者が一緒になって、川が下流に流れ落ちるように、よりものを知らない人へ知らない人へと向かってゆく」
次に、選択肢の中に「テーマ」を探して、その「テーマ」が主張通りに使われているかどうかを判断するのですが、長くなったので次回にします。
・
今回はReadingDrill第10回の空所補充問題をやります。
( ) is a secret lost to history. But, whoever it was, the mastery of fire has shaped our lives more, perhaps, than any other discovery in human history.
Which of the following best fits in ( )?
(A) Who the first fire user was
(B) Exactly when fire was discovered
(C) Why humans first became interested in fire
(D) Where the first fire was lit
Butは左右の内容が対立していないといけない論理語です。だから、Butの左右をちゃんと観察しないといけません。
⊿( )は歴史の中に失われて分からなくなっている。
( ) is a secret lost to history.
⊿それが誰であったとしても、~
whoever it was, ~
It is lost to history.で「それは歴史の闇の中にある」の意味。a secret lost to historyはa book written in Englishと同じで、過去分詞が形容詞になったET型です。さて、「××は分からない。でも、それが誰であったとしても」だから、××のところには「誰だか分からない」が来るのが自然。
(A)誰が火を使ったのか
(B)いつ火が発見されたか
(C)なぜ人は火に興味を持ったのか
(D)どこで火が灯されたか
だから、答えは(A)。
これでReadingDrill第10回の解説は終わりです。来週から期末テストが始まりますから、しばらくブログはお休みします。成績処理が一段落したら早稲田大学の問題解法の連載を始めます。
PS
小学生でも知っている選択肢の判別法をここに貼り付けておきます。
間違った選択肢の特徴
・正しい部分と間違った部分とが同居する様な選択肢はダメ。
・間違った部分が少しでもあれば、いくら正しい部分があっても選択肢全体は当然誤り。
・特に正しい部分は本文と全く同じ表現を使って正解であるように見せかけているので注意が必要。
・具体的要素の多い選択肢に注意。具体性が高いと正解だと錯覚しやすい。ただし、具体的な内容の正否を問う問題は、選択肢全てがが具体的なのだからこれは当てはまらない。
・各選択肢に共通にあるものが欠けているものは誤り。逆に、各選択肢の共通性に注目し、他の選択肢と共通性を多く持つものは正しい。
・他の選択肢と比べてみて、内容が同じ選択肢は両方とも誤り。
正しい選択肢の特徴
・本文の表現をそのまま使うのではなく、それとほぼ同じ内容が別の表現で書かれている。言い換えられているのでちょっと惚(とぼ)けたような印象がある。
・内容が対立する選択肢はどちらかが正解。
・
今回はReadingDrill第10回の内容一致問題の解説をやります。
According the passage, the main purpose of King William’s curfew law was ( ).
これは「選択肢の中から本文の内容と一致するもの[ orしないもの]を選ぶタイプ」の問題ではありません。つまり、「Which of the following is NOT true [or TRUE] about+テーマ?」じゃないわけです。だから、設問文からマーカを抽出すればOKで、選択肢全部からマーカを抽出する必要はありません。
According the passage, the main purpose of King William’s curfew law was ( ).
設問文から抽出できるマーカはKing William’s curfew lawです。それを本文中に探してみると、the curfew lawの直前のthis lawは別にして、curfew lawは次の4カ所でヒットします。その中からmain purpose(主な目的)を探し出せば良いわけです。
History shows that although fire is incredibly useful, it can also be destructive, and there are stories from all parts of the ancient world of whole communities being destroyed by fire. Later, by the beginning of the Middle Ages, towns began to appear in Europe with large buildings constructed of wood. People at this time were worried about the danger of unattended fires, so many towns and villages adopted the practice of reminding its citizens to cover their fires at night. The English king, Alfred, was so worried about fire safety that he passed a law in 876 requiring all fires in the city of Oxford to be covered every day on the ringing of a church bell at 7 p.m. In 1068, King William extended this law, called the curfew law, to the whole of England, but he also prohibited people from gathering outside their homes after dark. This law was very unpopular because it was clearly intended to control people’s movements, rather than to prevent fires. The curfew law was repealed by King Henry in 1100, but the ringing of “curfew bells,” as they became known, continued in some churches for more than seven hundred years.
すると、not only A but also Bの変則表現が出てくるので、下線部が根拠分だと分かります。「英語のロジック」にもあるように、これは「主張提示の方法②」に出てくるお決まりのパターンです。だから、ここに大切なことが書いてあるんじゃないかと目算が立ちます。
⊿彼は日が暮れてから自分の家の外へ出て集まることも禁止した。
he also prohibited people from gathering outside their homes after dark
つまり彼は教会の鐘が鳴ったら火を消すことだけじゃなくて、日が暮れたら外に出て集会を開いてもいけないと命令したわけです。その次の文に、消灯令は火事を起こさないようにするよりも、人々の行動をコントロールするつもりだったとあるので、これがmain purposeだと分かります。そう考えて選択肢を見てみると、全く同じ表現が(B)に登場します。
(●) to prevent people from meeting together at night
(B) to require people to gather outside their homes
(C) to instruct people on how to put out fires safely
(D) to inform people where to go when a fire started
ですから、ここで(B)を選んだ子が多かったんじゃないでしょうかね。(B)の動詞を良く見てください。「require人to~」になってますよね。これでは「人に家の外に集まることを要求する」になってしまいます。一方、(A)は「prevent人to~」ですから「人に~させない」の意味で「夜に集会を開くことを禁止する」になって、これが正解だと分かります。
ここで大切なのは、本文中の根拠文と全く同じ語句が用いられている選択肢に注意することです。これ見よがしに同じ表現が使われていたら、これは「罠」じゃないかと疑ってみることです。gatherもmeet togetherも同じ意味ですから、(A)と(B)は動詞以外はほぼ同じ内容なので、(A)もちゃんと検証してみる必要があります。
・
今回はReadingDrill第10回の和訳問題の解説をやります。
The English king, Alfred, was so worried about fire safety that he passed a law in 876 requiring all fires in the city of Oxford to be covered every day on the ringing of a church bell at 7 p.m.
問題には「ただし、soを「程度」で訳出すること」という指示があります。つまり、so worried about fire safety thatを「とても心配していたので、その結果」じゃなくて、「~するくらい、その程度心配していた」と訳出することが求められているわけです。1学期の補習でやりましたね!覚えていますか?そして、もう1つ注意することは、lawを飾っているrequiring以下は訳さなくても良いことです。訳出のポイントをまとめておくと、こうなります。
1.so worried about fire safety that~を「~するくらい、火の安全のことを心配していた」と訳出してるか?
2.worryは「心配させる」の意味の「させる系」だから、人is worried about事は受け身だけれど「人が事を心配している」と状態進行形で訳出できているか?
3.The English king, Alfredのコンマを同格で訳出しているか?
4.passed a lawを「法律を制定した」、あるいは「法律を通過させる」と訳出しているか?
5.in 876を文末副詞として「876年に」と訳出しているか?
ポイントはこのくらいで、1が出来ていないと0点です。
【正解例】イギリスの王、アルフレッドは、876年に1つの法律を制定するくらいに、火の安全のことを心配していた。
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今回もReadingDrill第10回の「同意語句選択問題」の解説をやります。
This law was very unpopular because it was clearly intended to control people’s movements, rather than to prevent fires. The curfew law was (3)repealed by King Henry in 1100, but the ringing of “curfew bells,” as they became known, continued in some churches for more than seven hundred years.
今度の「同意語句選択問題」は文意系です。butが逆接の論理展開だから、butの左にあるrepealedとは正反対の意味の動詞が、butの右側にあるんじゃないかと目算を立てます。すると、butの右にはcontinuedという動詞が出てくるので、「存続する」とか「継続する」とは真逆の意味をrepealが持っていると推察できます。そう思って選択肢を見ると、(D)が正解だと分かります。
(A)実施された (B)更新された
(C) 修正された (D)取りやめられた
他の選択肢はどれも「継続する」と同類の「プラス」系ですが、「取りやめられる」だけが「マイナス」系の選択肢ですね。
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今日からReadingDrill第10回の解説をやります。今回は同意語句の選択問題を解説します。
History shows that although fire is incredibly useful, it can also be destructive, and there are stories from all parts of the ancient world of whole communities being destroyed by fire. Later, by the beginning of the Middle Ages, towns began to appear in Europe with Large buildings constructed of wood. People at this time were worried about the danger of unattended fires, so many towns and villages adopted the (1)practice of reminding its citizens to cover their fires at night. The English king, Alfred, was so worried about fire safety that he passed a law in 876 requiring all fires in the city of Oxford to be covered every day on the ringing of a church bell at 7 p.m. In 1068, King William extended this law, called the curfew law, to the whole of England, but he also prohibited people from gathering outside their homes after dark. This law was very unpopular because it was clearly intended to control people’s movements, rather than to prevent fires. The curfew law was repealed by King Henry in 1100, but the ringing of “curfew bells,” as they became known, continued in some churches for more than seven hundred years.
問題文の青い部分が「抽象文」、赤い部分が「具体文」です。ですから、「抽象文」で書かれている内容が、「具体文」でも言葉をかえて出てきます。当然、「抽象文」の中の下線部(1)practiceも、「具体文」の中では具体化されて出てくるはずです。
このpracticeは多義語で、意味は中学で習った「練習・訓練」だけじゃなくて、「実践・実行」、「慣習・習わし」、「営業・開業」、「手腕・熟練」、「患者・依頼人」などなど、盛りだくさんです。第7回のReading Drillでやったように、「同意語句選択問題」には文意系と多義語系の2種類があります。そして今回のpracticeは多義語系なわけですね。
さて、問題のpracticeは、具体文のどこで繰り返されているのでしょうか?それを探るには、practiceだけに目を向けるのではなくて、practiceを含む英文全体をよく観察することです。すると、直後のThe English king, Alfredから始まる文との相似性に気がつきます。
⊿当時の人々は人が見ていない放置された火の危険性を心配していた。そこで、たくさんの町や村では、住民に火を消すようにさせるという掟(おきて)しきたりを採用した。
People at this time were worried about the danger of unattended fires, so many towns and villages adopted the practice of reminding its citizens to cover their fires at night.
⊿イギリスの王、アルフレッドは、火の安全のことをとても心配していたので、彼は876年に、毎日7時に教会の鐘が鳴ったらすぐに火を全部消すことを求めた法律を制定した。
The English king, Alfred, was so worried about fire safety that he passed a law in 876 requiring all fires in the city of Oxford to be covered every day on the ringing of a church bell at 7 p.m.
もうほとんどそのまんまです。「当時の人々」が「イギリス王、アルフレッド」に、「たくさんの町や村」が「彼(アルフレッド)」に具体化されてます。問題のpracticeは、adopted the practiceがpassed a lawに具体化されています。つまり、「しきたりを採用する」が「法律を制定する」になってるわけです。すると、このpracticeはlawと具体化できる「社会の慣習」とか「しきたり」、「おきて」の意味だと分かります。ま、選択肢はそのまんまlawを選べばOKです。
(A) exercise・・・・・・ (B) law
(C) performance ・・・ (D)skill
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今回はReadingDrill第9回の内容一致問題をやります。
According to the passage, the earliest evidence of fire being used by humans comes from ( ).
(A) a Greek myth・・・・・・・・・(B) cave paintings in France
(C) items found in Africa ・・・・・(D) a story from India
今回の内容一致問題は、「次のうちから本文の内容と一致するもの(しないもの)を1つ選びなさい」のタイプではありません。だから、設問からマーカを抽出します。あ、英語だと大体こんな設問になります。
⊿テーマに関して、次の(選択肢の)うちどれが正しくないか?
Which of the following is NOT true aboutテーマ?
NOTが大文字で強調文字になっているのが特徴です。もちろん、逆の場合もあります。
⊿テーマに関して、次の(選択肢の)うちどれが正しいか?
Which of the following is true aboutテーマ?
このタイプの内容一致問題は、設問文からはマーカを抽出できないので、4つの選択肢全部からマーカを抽出します。でも、今回のは「Which of the following?」のタイプじゃないので、普通に設問からマーカを抽出します。
⊿問題の英文によると、人が火を使用した一番古い痕跡は( )に由来する。
According to the passage, the earliest evidence of fire being used by humans comes from ( ).
マーカは名詞がベストですから、ここではA of Bをザックリとマーカにします。どうしてかというと、「A of B」のAもBも、またAofB全体も、全部名詞だからです。あ、ここで注意する必要があるのは、A of Bingの「同格のof」です。the evidence of fire being used by humansは「火が人間によって使われたという証拠」が原義の同格表現です。ルール16の講義で、次の表現を勉強しましたね。覚えてますか?
⊿君が僕に愛されていること
for you to be loved by me
your being loved by me
that you are loved by me
これは「受け身のことシリーズ」でした。これと同じなのがこのマーカです。
⊿火が人間によって使われること
for fire to be used by humans
fire(‘s) being used by humans
that fire is used by humans
さて、あなたは何をマーカにしましたか?もしかするとthe earliest evidence of fireにしたんじゃない?あ、やっぱりそうでしたか?!ここで覚えておいて欲しいのは、「マーカをケチってはいけない」ということです。the earliest evidence of fireでも「火の最も古い痕跡」の意味の名詞だから、マーカとして成り立ちます。でも、長く大きくザックリと切り取れるのなら、そうした方が絶対に有利です。だから、マーカはthe earliest eveidence of fire being usedにしましょう。すると、次の所ででマーカがヒットします。
Of all the natural elements, fire seems to fascinate people like no other, and legends and myths about fire can be found in most cultures. For instance, a famous Greek myth from around ten thousand years ago tells of how fire was stolen from the gods in heaven and brought to earth. About one thousand years later, a similar story was told in India of how the sacred fire of the gods, called agni, was stolen and given to man. In fact, images painted about seventeen thousand years ago on cave walls in France show scenes of our ancestors using fire for various purposes. Going even further back in time, pieces of fire-hardened cooking pots and burnt bones have been found in East Africa that date back at least one hundred thousand years.
マーカは受け身のことシリーズですが、本文中にヒットしたのは能動態のことシリーズです。
⊿僕らの祖先が火を使う場面
scenes of our ancestors(‘) using fire
受動・能動の違いはありますが、マーカとほぼ同じ意味ですよね。だったら、これが根拠文で、フランスの壁画の壁画が出てくるから、答えは(B)とやった人!?
(A) a Greek myth・・・・・・(B) cave paintings in France
(C) items found in Africa ・・(D) a story from India
残念ながら不正解、「ブブ~!!」です。今回のポイントはここにあります。つまり、マーカがヒットした文がいつも根拠文になるとは限らないということです。 設問文から抽出したマーカをもう一度良く見てください。
⊿ 人が火を使用した一番古い痕跡
the earliest evidence of fire being used by humans
ということは、フランスの壁画が、人が火を使用した一番古い痕跡かどうかを確認する必要があるわけです。もう1つ先を読み進むと、こうあります。
⊿さらにもっと時間を遡ると
going even further back in time
ということは、マーカヒットした文の1つ先の文が根拠文だと分かります。
Of all the natural elements, fire seems to fascinate people like no other, and legends and myths about fire can be found in most cultures. For instance, a famous Greek myth from around ten thousand years ago tells of how fire was stolen from the gods in heaven and brought to earth. About one thousand years later, a similar story was told in India of how the sacred fire of the gods, called agni, was stolen and given to man. In fact, images painted about seventeen thousand years ago on cave walls in France show scenes of our ancestors using fire for various purposes. Going even further back in time, pieces of fire-hardened cooking pots and burnt bones have been found in East Africa that date back at least one hundred thousand years.
だから、答えは(C)だと分かります。
(A) a Greek myth・・・・・・・・・(B) cave paintings in France
(C) items found in Africa ・・。。。(D) a story from India
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今回はReadingDrill第9回の下線部訳の解説をやります。共通テストに和訳は出題されませんが、訳せないと正しい選択肢が選べないような設問を作ります。ですから、下線部訳をなめかかると痛い目に遭います。
Of all the natural elements, fire seems to fascinate people like no other, and legends and myths about fire can be found in most cultures. For instance, a famous Greek myth from around ten thousand years ago tells of how fire was stolen from the gods in heaven and brought to earth. About one thousand years later, a similar story was told in India of how the sacred fire of the gods, called agni, was stolen and given to man. In fact, images painted about seventeen thousand years ago on cave walls in France show scenes of our ancestors using fire for various purposes. Going even further back in time, pieces of fire-hardened cooking pots and burnt bones have been found in East Africa that date back at least one hundred thousand years.
この下線部中にあるpaintedは過去形の「描いた」ではなくて、過去分詞形の「描かれた」です。そして、painted以下の全てがimagesを飾る、2語以上の長い形容詞になってます。つまり、これと同じET型です。
⊿英語で書かれた本
a book written in English
⊿1万7千年前に描かれた絵
images painted seventeen thousand years ago
薮下がいつも言ってる「人はする、モノは人によってされる」を思い出してください。これが最重要文法事項でしたね!下線部の主語、imagesはモノです。だから「絵が描いた」じゃなくて「人によって描かれた絵」じゃないといけません。ま、painted by Picassoだったら「ピカソによって描かれた絵」だと分かったかも知れませんね。
この様に、いつも完全な文全部に下線が引かれているとは限りません。採点をするときには、「絵は~」になってたら即ペケになります。「~に描かれた絵」になってないと部分点がもらえないってことです。
さて、下線の次の部分に重要な名詞構文があって、本当はそこを訳出する問題にしたかったところです。
⊿その壁画には僕らの祖先が火を使う場面が描かれている。
images show scenes of our ancestors using fire.
先ず、物主語のimagesをそのまま主語にして「絵は祖先が火を使う場面を見せてくれる」とすると、変な日本語になります。だから、「その壁画を見ると」とか「その壁画には」のように、モノ主語を副詞化してやります。そして、「絵は場面を見せる」じゃなくて「絵を見れは、僕らは場面が描かれているのが分かる」としてやります。つまり、あくまでも「人」を主語にして訳し直すのです。
次に、scenes of our ancestors using fireの「A of Bing」です。このA of Bは「同格のof」で「BというA」の訳語が当てはまります。このA of Bingがちゃんと訳せるかどうかもポイントです。
⊿僕が寝る前に本を読む(という)習慣
the habit of my reading books before going to bed
⊿僕らの祖先が火を使う(という)場面
scenes of our ancestors(‘) using fire
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来週から英語演習の授業が始まります。共通テストの問題を今まで勉強してきたやり方で解いて行きますので、ここまでの復習をしておいてください。
今日はReadingDrill第9回の解説をやります。先ずは「テーマの見つけ方」です。これも第8回と同じで、段落の最初に「一般的意見・客観的事実」が来ないタイプで、段落の最初からいきなり「主張」が展開されています。それがハッキリするのがFor instanceです。ここから著者は「具体例」を述べ始めているので、ここまでのところで既に「主張」を述べてしまったということです。だから、下線の部分が「主張文」だと分かります。
Of all the natural elements, fire seems to fascinate people like no other, and legends and myths about fire can be found in most cultures. For instance, a famous Greek myth from around ten thousand years ago tells of how fire was stolen from the gods in heaven and brought to earth. About one thousand years later, a similar story was told in India of how the sacred fire of the gods, called agni, was stolen and given to man. In fact, images painted about seventeen thousand years ago on cave walls in France show scenes of our ancestors using fire for various purposes. Going even further back in time, pieces of fire-hardened cooking pots and burnt bones have been found in East Africa that date back at least one hundred thousand years.
「主張文」がfire seems to fascinate~となっていて、「テーマ」はその主語ですから、fireじゃないかと推察できます。あ、ここで簡単に「テーマはfire」と決めちゃってはダメです。ちゃんと先を読み進みながら、fireが何度も登場するかどうかを確かめましょう。
さて、今回はもう1つ覚えておいて欲しい論理語があります。それがin factです。これは「事実の追加」と覚えておいてください。英語は左に書いてあることを、右で説明しますね。in factも同じように、左に書いてある抽象的な内容を、in factの右側で具体化します。つまり、左に書いてあることについての事実・実例を右に追加するわけです。あ、in factにはもう1つの働きがあって、「内容の訂正」もできるのです。こんな具合です。
<事実の追加>
⊿彼はとても年を取っている。実際、彼は来年で84になる。
He is really getting along now, in fact he will be 87 next year.
<内容の訂正>
⊿彼は一見若そうに見えるが、実際はそうじゃない。
He looks young, but in fact he is not.
さて、第9回の本文にもin factが登場します。これは「事実の追加」の方ですね。つまり、最初は伝説や神話に出てくる火のことが書かれていて、次にIn fact以下で、火を使用した現存する痕跡を事実として追加しているわけです。これも、「左に書いてあることが右で説明される」という英語の特徴の1つですね。
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今回はReadingDrill第8回の2つ目の内容一致問題の解説をやります。設問の内容はこんな具合です。
⊿本文の英語によると、中国では平均して( )。
According to the passage, in China there is an average of ( ).
これは普通の内容一致問題です。つまり、「次の中から内容と一致する(しない)ものを選べ」の類とは違います。だから、いつもなら設問文からマーカを抽出して、選択肢には手を付けません。でも、この設問文から抽出できるマーカはChinaとaverageだけで、他には当てになりそうなものは何もなさそうです。こうなったら、仕方がないので選択肢に注目するしかありません。よく見ると、4つの選択肢に共通して登場する「数字」があります。そう!100です。果たして100 girlsなのか100 boysなのかは分かりませんが、100は共通してます。
(A)three to seven more boys born for every 100 girls
(B)three to seven more girls born for every 100 boys
(C)19 more boys born for every 100 girls
(D)19 more girls born for very 100 boys
ということは、これも1つの確定要素で、必ず本文中に100という数字は登場するはずです。こんな具合です。
However, population scholars aren’t so sure. [For example] Among them is Peng Xizhe, Dean of Social Development and Public Policy at Fudan University. “The major policymakers are only concerned about the total number of the population,” he says. “But now China’s population has become so complicated. On the one hand, the number is still growing. We have a very rapidly aging population. And we have the issue of people moving between the countryside and the cities. We also face the problem of a rather odd sex ratio at birth.” Current figures show 119 baby boys are born in China for every 100 girls―far above the normal human ratio of between 103 and 107 boys per 100 girls―because of the traditional favor for boys and the ability to get an abortion. This odd sex ratio means that little Lulu, along with as many as 40 million other young men, might not find a wife.
よく見ると、100が含まれる英文は2つあって、最初の方にはin Chinaと書いてあるので、これが根拠文になりそうです。さっきin Chinaはマーカとして役に立たないと言いましたが、数字の100を含む2文の中から根拠文を選択するのに少しは役に立ちましたね。
⊿中国では100人の女児ごとに、119人の男児が生まれる。
119 baby boys are born in China for every 100 girls
100が飾っているのはgirlsですから、(B)と(D)は切り捨てます。そして、残り2つの選択肢を良く見比べます。
(A)女児100人毎に、3から7人多い男児が生まれる。
(C)女児100毎に、19人多い男児が生まれる。
これは簡単な「引き算」で119-100=19ですから、100人の女児に対して19人多い男児が生まれているので答えは(C)だと分かります。103や107から100を引いてしまったら、normal human [sex] ratio(一般的な人間の男女比)になってしまいますから、注意してください。
今回のポイントは「確定要素を探し出せ」ということです。設問文や選択肢の中に「確定要素」が意外にたくさんあるものなのです。
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今回はReadingDrill第8回の内容一致問題の解説をやります。この回には2つの内容一致問題があるので、2回に分けて説明することにしましょう。設問の内容はこんな具合です。
⊿本文の英語によると、ペン・シージェは自国の人口のことを( )だとは述べてない。
According to the passage, Peng Xizhe does NOT describe his country’s population as ( ).
これは「次の中で本文の内容と一致しないものを1つ選びなさい」と同じ種類の問題ですから、全ての選択肢からマーカを抽出しなければなりません。こんな具合です。
(A) aging ・・・・・・ (B) declining
(C) moving around (D) having an unusual sex ratio
However, population scholars aren’t so sure. [For example] Among them is Peng Xizhe, Dean of Social Development and Public Policy at Fudan University. “The major policymakers are only concerned about the total number of the population,” he says. “But now China’s population has become so complicated. On the one hand, the number is still growing. We have a very rapidly aging population. And we have the issue of people moving between the countryside and the cities. We also face the problem of a rather odd sex ratio at birth.” Current figures show 119 baby boys are born in China for every 100 girls―far above the normal human ratio of between 103 and 107 boys per 100 girls―because of the traditional favor for boys and the ability to get an abortion. This odd sex ratio means that little Lulu, along with as many as 40 million other young men, might not find a wife.
(A)(C)(D)はマーカがそれぞれヒットしますが、(B)は見あたりません。マーカがヒットした根拠文を確認します。
(A)我々はとても急速に高齢化する人口を抱えている。
We have a very rapidly aging population
(C)我々は、田舎と都会との間を人が行き来するという問題を抱えている。
We have the issue of people moving between the countryside and the cities.
(D)我々は出産時のいびつな男女比の問題も抱えている。
We also face the problem of a rather odd sex ratio at birth.
(B)のdecliningを検証してみると、これが間違っていることが分かります。
⊿人口はいまだに増え続けている。
The number is still growing.
だから、正解は(B)だと分かります。もう一度確認しておくと、普段は設問文だけからマーカを抽出します。でも、「次の中から本文の内容と一致するものを1つ選らびなさい」とか「次の中から本文の内容と一致しないものを1つ選びなさい」のタイプは、設問文からではなくて、全ての選択肢からマーカを抽出します。その際も、名詞や数字を中心に抽出してください。そして、いつも同じ手続き・手順で問題を解いてゆくことです。それで上手く行かないときは、改良を加えてゆけば良いわけです。
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今回はReadingDrill第8回の同意文選択問題の解説をやります。いわゆる、下線部とほぼ同じ内容の英文を選ばせる問題です。ま、実際には「下線部の意味は、人口学者たちは中国の人口政策を( )している」の空所に入る動詞を選ばせるのですが、要するに「同意文選択問題」と同じです。
出題する大学や問題のレベルにもよるのですが、こういう問題は下線部の意味だけで解くんじゃなくて、同じ内容が別の箇所に具体的に書かれているのが普通です。あ、2流以下の大学は別ですがね。
主張文=人口学者は確信が持てない(抽象文)
・・↓
[For example]
・・↓
具体例=ペン=シーチェは、政策立案者が総人口にしか関心がないと言う(具体文)
主張文と具体例とは「同格」関係にあります。つまり、同じ内容が主張文では抽象的な表現で、具体例では当然具体的な表現で書かれているわけです。例えば、「人口学者」という抽象的な表現が、ペン=シーチェという具体的な固有名詞になってます。だったら、「はっきりと確信がもてない」という漠然とした表現も具体化されているはずです。それが「政策立案者たちは総人口にしか興味がない」という政府批判なわけです。それを根拠にして選択肢を選びます。
(A) question(問題があると思う) ・・・・(B) support(支持している)
(C) are wrong about(誤解している)・・ (D) have thought a lot about(熟考している)
前にも言ったように、プラス・イメージとマイナス・イメージとに色分けするのも効果的です。赤がマイナス・イメージ、青がプラス・イメージです。下線部の英語、not so sureはどう見てもマイナス・イメージです。だから、(A)か(C)かの選択になります。そして、「人is wrong about事」は「人は事を誤解している」の意味の慣用句ですから、ここではちょっと違います。あ、普通はwrongは物を飾ることが多いです。こんな具合です。
⊿間違った答えを教えちゃった。
I gave you a wrong answer.
The answer was wrong.
⊿方向を間違えた。
I went in a wrong direction.
The direction was wrong.
⊿電話番号を間違えてるよ。
You got the wrong number.
The number was wrong.
でも、「人is wrong」だけなら「あなたが間違っている」で良いのですが、「人is wrong about事」になると、「事について君は間違っている」とはならずに「事について君は思い違いをしている・誤解している」になる場合があります。注意してくださいね。
⊿そのことについて君は完全に間違っています。
You are completely wrong about that.
⊿僕は君を誤解していたよ(見損なっていたよ)。
I was wrong about you.
さて、中には(D)も正しいんじゃないかと思っている子もいるでしょうね。だって、人口学者が政府の政策について色々考えていることがここに書かれてんじゃん!って思ってませんか?確かに、そうなのですが、「本文中に書かれていない」ことは不正解なのですよ!!本文に書いてあることから自分で勝手に推測してはダメなのです!それはただの「君の考え」なのですよ!
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今回からReadingDrill第8回の解説をやります。先ずは「テーマの見つけ方」です。普通は、段落の最初に「一般的意見・客観的事実」が来て、それと対立するように「主張」が展開されるので、文頭にいきなりHoweverがでてくるのに納得できない子もいると思います。でも、第2文にはPeng XizheとかDean of Social Developmentなんちゃらとか、Fundai Universityなどの固有名詞が出てくるので、この第2文から「具体例」が始まったと考えられます。ということは、すでに著者は自分の主張を述べてしまっているわけです。つまり、population scholars aren’t so sure.というのが「主張文」なわけです。だから、Amongの直前に自分でFor exampleを補って読んでゆきます。いきなりHoweverになっているのは、前の段落の内容と対立していると推察できます。
この様に、いつも具体的例示の目印のfor exampleやfor instanceが親切に書いてある分けじゃないので、自分でそれをを補って読む必要があります。理由のbecauseやas、forやsinceもそうです。そのためには、今読んでる文が抽象的主張文か具体的事実・根拠文かをいつも考えながら読まないといけないということです。ただ漫然と読んでいちゃいけないってことです。
中には「え゛~!!そんなのが主張なの!?」、「人口学者たちは(中国の人口政策を)それほど信用しているわけではない」に主張なんてないじゃん!!って思ってる子がいるでしょ?!ま、大学入試の英語なんてそんな程度のものなのです。そんなに大したことは言ってはいないということです。
However, population scholars aren’t so sure. [For example] Among them is Peng Xizhe, Dean of Social Development and Public Policy at Fudan University. “The major policymakers are only concerned about the total number of the population,” he says. “But now China’s population has become so complicated. On the one hand, the number is still growing. We have a very rapidly aging population. And we have the issue of people moving between the countryside and the cities. We also face the problem of a rather odd sex ratio at birth.” Current figures show 119 baby boys are born in China for every 100 girls―far above the normal human ratio of between 103 and 107 boys per 100 girls―because of the traditional favor for boys and the ability to get an abortion. This odd sex ratio means that little Lulu, along with as many as 40 million other young men, might not find a wife.
主張文の中の名詞で、何度も繰り返し出てくるのはpopulationだと分かります。だから、テーマは「[China’s population」です。中にはpopulation scholarsをテーマにした子がいると思いますが、この段落は人口学者、ベン=シーチェの人生についてがテーマですか?違うよね!中国の人口(問題)がテーマだよね。
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今回はReadingDrill第7回の内容一致問題をやります。今回のは「次の中から本文の内容に一致するもの(一致しないもの)を1つ選べ」のタイプじゃありません。つまり、根拠文を1つだけ探せば良いタイプです。「次の中から本文の内容に一致するもの(しないもの)を選べ」の場合には、選択肢の数だけ根拠文があるので面倒ですが、今回は選択肢には手を付けず、設問文の中からマーカを抽出するだけで済みます。こんな具合です。
According to the passage, which of the following contributed the most to SoleRebels’ success?
そして、マーカのsuccessは同意語選択問題でやったようにtake offと同じ意味ですから、「success=to take off」を意識して本文を読み進みます。すると、最終文でマーカがヒットします。
When Alemu started SoleRebels, other Ethiopian shoe companies were struggling to compete with cheap imports from China. Alemu decided to concentrate instead on the export market, as she believed that customers would pay good money for uniquely designed products. She found a supplier who could deliver old truck tires and tire tubes, and hired local people to make the shoes, using skills passed down through generations. Again and again, Alemu sent e-mails and samples to U.S. stores and websites. Finally, shops such as Whole Foods and Urban Outfitters agreed to stock the shoes. As word spread, individual customers began buying directly from the SoleRebels website, with the shoes usually arriving from Ethiopia within a week, but business really took off when Amazon.com signed up as a customer.
すると、根拠文はbut以下です。そして、設問が「本文から、ソールレベルズの成功に大きく貢献したのは次の内のどれか?」だから、迷わず「アマゾン・コム」が出てくる(C)を選んでやります。
(A)ソールレベルズから米の店がサンプルを受け取ったとき
(B)顧客がソールレベルズから直接商品を買うようになったとき
(C)アマゾン・コムがソールレベルズから仕入れた靴を売り始めたとき
(D)ホールフーズがソールレベルズから仕入れた靴を店に置き始めたとき
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今回はReadingDrill第7回の同意語選択問題の解説をやります。ReadingDrill第6回の時は、「対比・対照法」で解きましたが、今回はチョット違います。「同意語選択問題」には、文意系と多義語系があります。文意系というのが、第6回でやった様に、主張文と具体例の間の同格性を利用して解くような種類です。一方、多義語系というのは、その多義語がどの様な意味で使われているのかを文脈から判断するような問題です。今回のがそれに当たります。
take offには大体次の様な意味があります。
・飛行機などが離陸する、鳥が飛び立つ(=leave the ground)
・仕事や話にとりかかる(=start、begin)
・計画が上手く行き始める・軌道に乗る、売り上げが急に上がる、人気が出始める(=succeed)
・場所から物を取り除く(=remove)
そして、設問の選択肢も大体これに準じています。
(A) started=仕事や話に取りかかる
(B) succeeded=商売が軌道に乗る
(C) removed=場所から物を取り除く
(D) left the ground=離陸する
そして、問題文の文脈では、「商売が××したのは、アマゾンが顧客として契約してからだ」なので、(B)のsucceedを選んでやるわけです。
『システム英単語』の第5章が多義語を扱っています。単語集の最終章ですから、なかなかそこまで手が回りません。でも、多義語の出題率はとても高いと思ってください。逆に、『システム英単語』の存在価値は、この最後の第5章にあるのですよ!ここだけやるのも1つの方法です。
一方、学校では『速読英単語』をやらせていますよね。単語は文章の中で使われている生きの良い状態で覚えるのが一番です。でも、『速単』は「英文を読む」、「構文を掴む」、「文法を把握する」という余計な手順が必要なので、1周するのに膨大な時間がかかります。結局は文章は読まず、見出し単語だけを覚えている受験生がほとんどです。参考書や問題集は「あれも、これも」扱っているものよりも「あれか、これか」に絞っているものがお薦めです。
同意語選択問題は他にも「総合⇔分析系」というのがあります。例えば「使い尽くす」という意味を表すのにexhaustのように1語で総合的に表現することも、use upのように2語以上の語句で分析的に表現することが可能です。このような知識を試すのが「総合⇔分析系」の同意語選択問題です。
同意語選択問題の「多義語系」と「分析⇔総合系」の書き換えは、「正しい選択肢の作り方」のところにも出てきましたね。だから、ここら辺で手を抜いてはいけません。あ、今「exhaust=use up」を覚えるための新しい連載を企画していますから、楽しみに待っていてくださいね。
・
今回からReadingDrill第7回の解説をやります。先ず今回は空所補充問題の解説をやりましょう。
Again and again, Alemu sent e-mails and samples to U.S. stores and websites. ( ), shops such as Whole Foods and Urban Outfitters agreed to stock the shoes.
設問3 Which of the following best fits in ( )?
(A) Finally ・・・・・・・・ ・(B) However
(C) On the contrary・・・・・ (D) Instead
4つの選択肢を見ると、全部「論理語」です。つまり、文の流れを左右する大切な副詞ばかりです。だから、普通は空所の前後の文脈を見て最適な選択肢を選びます。空所直前に「アレムはアメリカの店やサイトに何度もEメールやサンプルを送った」とあり、空所直後は「ホールフーズやアーバンアウトフィッターズがソールレベルズの靴を店に置くことにした」とあるので、これは「順接」です。だから、「ついに」とか「とうとう」とか「やっと」の意味の(A)Finallyを選んでやります。
あ、空所補充問題や同意語選択問題なんかで、とりあえずやってみると良いのは、「選択肢識別法」です。これは、選択肢をプラスイメージとマイナスイメージにズバッと色分けしてしまう方法です。こんな具合です。
(A)Finally(+)
(B)However(-)
(C)On the contrary(-)
(D)Instead(-)
4つの選択肢の中に1つだけ(A)が仲間はずれになってます。そして、他の選択肢は全て、「対立」の論理語です。「英語のロジック」の「対立の論理」のところを見てくれれば分かります。(A)Finally以外は全て「対立」ですからHoweverが入ればOn the contraryもInsteadも入ります。こんな具合です。
⊿君は「Yes」と言うが、でも僕は「No」だ。
You say “Yes.” However, I say “No.”
You say “Yes.” On the contrary, I say “No.”
You say “Yes.” Instead I say “No.”
insteadの後ろにはコンマは必要ありません。ね!「対立」だったら どれでもOKでしょ。この様に、4つの中から「仲間はずれ」を探してみるのも1つの方法です。
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今回はReadingDrill第6回の内容一致問題の解説をやります。今回も前にやったように「確定要素」をマーカにすることを考えます。設問はこんな英語です。
⊿問題文によると、( )のために、ハーバート=フーバーは1932年の選挙にほぼ負けそうだった。
According to the passage, Herbert Hoover most likely lost the 1932 election because ( ).
問われているのはフーバーが選挙に負けそうだった「理由」です。だからHerbert Hoover most likely lost the 1932 electionは確定要素です。せっかくですから、数字の1932をマーカに設定しても良いでしょう。その方が「確定要素」を探しやすくなります。すると、次の赤い部分が確定要素だと分かります。
There have been 44 presidents of the United States. Some are remembered as courageous heroes who led the nation through grave crisis. For instance, Abraham Lincoln, the 16th president, and Franklin Roosevelt, the 32nd, are revered today for guiding the country through the Civil War and World War Ⅱ, respectively. Others are remembered less fondly for the crisis they failed to resolve. Herbert Hoover, for example, who easily won the 1928 election, had the misfortune of becoming president just several months before the disastrous stock market crash of 1929. That crash triggered the Great Depression, a global economic crisis that saw banks take farmers’ land and people’s homes. Unfortunately, the president failed to resolve the economic problems facing the nation, which would continue until America entered World War Ⅱ twelve years later. Needless to say, Hoover lost the trust of the American people―and the next election in 1932.
これが最終文ですから、その直前に述べられているのがその「理由」だと推察できます。読んでみると「不幸にも、フーバー大統領は国が直面している経済問題を解決しそこなった」と書いてあります。そして、選択肢を見てみると、
(A)彼は株価の暴落を引き起こした。
(B)彼は大恐慌を終息させられなかった。
(C)彼は第2次世界大戦を回避できなかった。
(D)彼は農民から土地を取り上げた。
とありますから、Bの「大恐慌を終息させられなかった」を選んでやります。フーバーは株価大暴落のほんの数ヶ月前に大統領に就任しただけで、決して彼が株価の大暴落を引き起こしたわけではありません。だから、Aを選ぶ子はいないと思います。でも、下線部後半にこうあります。
⊿そして、その経済問題は12年後にアメリカが第2次世界大戦に参戦するまで続いた。
, which would continue until America entered World War Ⅱ twelve years later
じゃあCの「彼は第2次世界大戦を回避できなかった」も正解じゃないのか、と考える子がいます。つまり、経済問題を解決できなかったのはフーバー大統領で、歴史的に見ると、この世界恐慌が原因で第2次世界大戦が起こったのだから、Cも正解だというわけです。
確かに、第1次世界大戦での敗戦後、ドイツは膨大な賠償金を支払わなくてはなりませんでした。そして、世界大恐慌に追い打ちをかけられてドイツ経済は破綻し、賠償金の支払いもままならなくなります。そんなときに、ベルサイユ条約なんて守って賠償金を支払う必要はないと言い出したのがナチスで、彼らの台頭が第2次世界大戦につながってゆきます。だから、歴史的な常識から考えると、ニューヨーク証券取引所での株価の暴落に端を発する世界大恐慌を解決できなかったフーバーのせいで第2次世界大戦に突入したと言っても過言ではないわけです(いや、ちょっと過言ですが・・)。でも、そんなこと、本文に書いてましたか?ここがとても重要なポイントで、自分勝手な常識を持ち出して選択肢を判断してはダメということです。この様な「勝手なストーリの展開」は誤った選択肢の1つのパターンです。
選択肢の正誤の基準は、本文に書いてあるかどうかです。本文には「経済問題はアメリカが第2次世界大戦に参戦する12年後まで続いた」と書いてあるだけです。フーバーが第2次世界大戦を回避できなかったとはどこにも書いてないということです。
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今回はReadingDrill第6回の同意語選択問題の解説をやります。つまり、下線部とほぼ同じ意味を表すものを選ばせる問題です。これは私立大学では頻出の出題形式です。
下線が引かれているrevere(これは「レベレ」ではなくて「リビーア」と発音します)は、受験用単語集には載ってない様な動詞です。だから、こんな単語を初めから知っている子はまずいないでしょう。これはいわゆる「目くらまし」問題で、知らない単語を問題化して君たちを混乱させ、動揺させようとしているわけです。
じゃあ、どうやって解けばよいのかというと、「対比・対照法」と「代入法」です。つまり、先ずreveredの意味を文脈から推察します。次にその意味と同じ選択肢を選び、実際にreveredのところに代入して検算します。じゃあ、先ず「対比・対照法」です。ここで使われている論理は、「主張文→For instance→具体例」ですから、主張文と具体例の間には共通点があるはずです。つまり、こういうことです。
(抽象的主張文)Some are remembered as courageous heroes who led the nation through grave crisis.
・↓For instance
(具体的例示文)Lincoln and Roosevelt are revered today for guiding the country through the wars.
上の抽象文(主張文)と下の具体文(例示文)とを比べてみてください。全く同じ構造でをしていて、上の抽象的な記述が下で具体化されています。つまり、someが具体化してLincoln and Rooseveltになったり、ledがguidingに、through nationがthrough the country、 grave crisisがthe warsになって具体化されてます。すると、reveredに当たる部分がremembered as courageous heroesです。つまり、reveredは「勇敢なヒーローとして人々に記憶されてる」と同じ意味だと分かります。そして、次にそれとほぼ同じ意味だと思う選択肢を代入してみます。すると、(D) admired(賞賛される、高く評価される)が正解だと分かります。ま、admireの意味が分からなければどうしようもありませんがね。でも、これは音単の337の見出し単語として載っている基本単語ですから、知ってるはずです。
同意語選択問題は、空所補充問題と同じで、ただの知識問題じゃないということを覚えておいてください。前後の関係(論理構造)から、ヒントとなる部分がちゃんと用意されています。2流以下の大学のことは知りませんが、1.5流以上の大学は、こんな風に問題を作ります。、薮下が河合塾にいた頃に大学から作問を委託されたときは、こんな風にして問題を作ってました。あ、同意語選択問題は、多義語の知識を試すこともありますから、高1の生徒は音単の語呂合わせで薮下が解説している「多義語」は覚えておく必要があります。
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明日、午前中は学校にいます。もし質問があれば職員室に来てください。
今回はReadingDrill第6回の下線部訳の解説をやります。この下線部訳のポイントは、「時代・出来事+see+O+C」を上手く訳出できるかどうかです。普通に「人+see+O+C」なら、「人はOがCするのを見る」で良いのですが、「時代や出来事はOがCするのを見る」では変な日本語です。
モノが主語になるのは、英語の大きな特徴の1つです。でもそのまま日本語にして、「台風が僕の出発を妨げた」とか「彼の歌があたしを幸せにする」とやると変な日本語になってしまいます。そんなときは、人を主語にして「台風のお陰で僕は出発できなかった」とか「彼の歌を聴くとあたしは幸せな気分になる」とするとよかったですね。忘れた人はここを参照しておいてください。
同じように「時代や出来事はOがCするのを見る」を訳出するときも工夫が必要です。
⊿世界的な経済危機は銀行が農民の土地や市民の家を取り上げるのを見た(?)。
A global economic crisis saw banks take farmers’ land and people’s homes.
時代や出来事が主語のseeは「その時代にOがCすることが起こった」とか「その出来事の中でOがCする経験をした」とやってやると上手く日本語になります。もっと簡単に「その時、OはCした」でもOKです。つまり、こうしてやるわけです。
「世界的な経済危機時に、銀行は農民の土地や市民の家を取り上げた」
あとは、the Great Depressionとa global economic crisisとが同格であることに注意して訳出します。こんな具合です。
「その大暴落が大恐慌、すなわち世界的な経済危機の引き金を引いた」
そして、that以下は「訳し下ろし」た方がキレイにつながります。こんな具合です。
「その大暴落が大恐慌、すなわち世界的な経済危機の引き金を引いた。その際に、銀行は農民の土地や市民の家を取り上げたのである」
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今回からReadingDrill第6回の解説をやります。先ず「テーマの見つけ方」です。ついでに「主張文の見つけ方」も一緒にやってしまいます。主張文がハッキリしている場合には、その中にテーマとなる名詞が必ず含まれています。だから、先ず主張文を見つけるのがテーマを探す早道です。今回の英文は for instance や for example ここに注目すれば、簡単に主張文が見つけられます。
There have been 44 presidents of the United States. Some are remembered as courageous heroes who led the nation through grave crisis. For instance, Abraham Lincoln, the 16th president, and Franklin Roosevelt, the 32nd, are revered today for guiding the country through the Civil War and World War Ⅱ, respectively. Others are remembered less fondly for the crisis they failed to resolve. Herbert Hoover, for example, who easily won the 1928 election, had the misfortune of becoming president just several months before the disastrous stock market crash of 1929.
「客観的事実」や「一般的な意見」と対立する様に次で「主張」が述べられ、さらに次でそれを裏付けるための「理由」や「具体例」が述べられるのが、英語の一般的なロジック(論理展開)でした。忘れた子はここを参照しておいてくださいね。すると、「今までに44人の合衆国大統領がいた」という客観的事実に続いて、「重大な危機の中をアメリカを導いた勇敢なヒーローとして記憶される大統領も中にはいる」という主張が展開されます。そして、For instanceに導かれて、第16代大統領のアブラハム=リンカーンと第32代大統領のルランク林=ルーズベルトの具体例が始まります。
ということは、Some are remembered as courageous heroes who led the nation through grave crisis.が主張文です。主張は「AはBだ」や「AがBした」で展開され、その中の「A」がテーマです。ですから、Some(presidents of the United States)がテーマだと分かります。そして、もうちょっと読み進むとまたfor exampleが出てきます。ということはその直前に主張文があるはずです。つまり、Others are remembered less fondly for the crisis they failed to resolve.も主張文ってことです。だったら、Others(=other presidents of the United States)もテーマだと分かります。
すると、今回の英文には2つの主張文が出てきて、その中のpresidents of the United Statesがテーマだということになります。このsome⇔othersの対立はとても重要です。someが出てきたら、othersを探して本文を読み進むことです。
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今回はReadingDrill第5回の内容一致問題を解説します。今回も「次の中から本文の内容と一致しないものを1つ選べ」のタイプです。つまり「次のうちどれがベルカントの歌い方の特徴と違うか」ですから、選択肢全部からマーカを抽出しなくてはなりません。こんな具合です。
According to the passage, which of the following is NOT a feature of bel canto singing?
(A) Singing in a light, pretty style.
(B) Singing in a very grand and dramatic style.
(C) Singing low and high notes in the same style.
(D) Singing many different notes rapidly.
各選択肢に共通する語句は、その選択肢独特ではないので、マーカにはなりません。つまり、singing ~styleは3つに登場する名詞ですから、マーカとしては不適切です。歌い方の特徴を比較するのですから、副詞・形容詞に注目します。
1.その設問や選択肢に独特の「名詞」をマーカとして抽出する。
2.特に、「固有名詞」や「数字」は理想的なマーカになる。
3.他の設問にも登場する「名詞」はマーカにならない。
4.1語の「名詞」が抽出できなければ、名詞相当語句(不定詞、動名詞、A of Bなど)をザックリとマーカにする。
5.それでもダメなら確定的な要素(時、場所、条件)をザックリとマーカにする。
6.設問によっては副詞や形容詞をマーカにする。でも動詞はマーカにしない。
マーカを抽出して、それを本文中に探すとこうなります。
Sutherland became famous for singing a particular type of opera called bel canto, which means “beautiful singing” in Italian. Bel canto operas had been very popular in Europe in the eighteenth and nineteenth centuries, but had become largely (ignored) in the twentieth century because the grand, dramatic German operas by Richard Wagner had come to dominate the opera world. In contrast, the main feature of bel canto is singing in a beautiful, light style. It requires being able to sing with the same light quality from the bottom to the top of the vocal range, and the ability to sing very fast over many notes. With intensive training, Sutherland’s voice came to perfectly suit the bel canto style, and she helped bring many almost forgotten bel canto operas back into opera houses around the world.
テーマであるbel canto operasとGerman operasが対比・対照されていることに注意するのが大切です。だって、書いてあるのはbel canto operasの特徴とGerman operasの特徴だからです。特に、「それとは対照的に」の意味のin contrastに注目します。ここで視点がGerman operasからbel canto operasに切りかえられます。
(A)のlightとprettyは、本文中でlightがヒットします。そして、prettyはbeautifulの言い換えだと気がつきます。マーカから左に目をやると「the main feature of bel canto is singing in a beautiful, light style」と書いてますから、(A)はベルカントです。一方(B)のgrandとdramaticは、本文中ではそのままの「the grand, dramatic German operas~」がヒットします。だから(B)はGerman operasです。ということは、(B)がbel cantoの特徴じゃないと分かります。簡単でしょ!ついでに(C)や(D)も確かめておくと「It requires being able to sing with the same light quality from the bottom to the top of the vocal range, and the ability to sing very fast over many notes」のItはbel cantoですから、2つともbel cantoの特徴だと分かります。あ、設問中のthe sameは本文中に必ず出てきます。だから、the sameはとても便利なマーカとして使えます。
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今回はReadingDrill第5回の空所補充問題を解説します。空所補充には「文意問題」、「文法問題」、「語彙問題」の3つがあります。つまり、文脈で決まる場合と、空所の前後の文法的な構造で決まる場合と、慣用的な表現の知識を試す場合の3つです。3つのどれかを考えるには、先ず選択肢の形に注目してください。
アignored・・・イlacked
ウmissed・・・エremoved
全部「過去分詞形」で、「モノ主語had become過去分詞」は「モノは~されるようになった」ですから、これは「文法問題」ではなくて「文意問題」です。あ、それにイlackは状態動詞ですから他動詞でも受け身には使えません。こんな具合です。
ア[相手にされない]・・イ[×不足する]
ウ[見落とされる]・・・エ[取り除かれる]
そして「文意問題」ならば、論理展開が大切です。「対立」の論理語、butが空所の近くにあることに注意が必要です。
Bel canto operas had been very popular in Europe in the eighteenth and nineteenth centuries
BUT
[Bel canto operas] had become (???) in the twentieth century
ね!butを挟んでキレイな左右対称形をしています。ということは、空所に入る語はvery popularと対立する意味じゃないといけないと分かります。つまり、「18、19世紀はとても人気があったが、しかし20世紀は×××になった」というわけです。じゃあ、「人気がなくなった」の意味の選択肢を選びます。除外されたり見落とされたりするのは変なので、「相手にされない」のアignoredを選びます。こういう問題は良問ですね。知識だけじゃなくて論理構造からも推察させてるわけですか、頭を使えば解けます。
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今日、学校へ行く予定でしたが、仕事で多治見の不動産屋へゆかねばならなくなりました。飯地の水源が欲しいという中国の友人がいます。その仲介を多治見の葵テックさんにお願いしようと思っています。学校へは多治見の帰りに立ち寄るか、日をあらためようと思います。添削答案はそのまま置いておいてください。
今回はReadingDrill第5回の解説をやりましょう。先ず「テーマの見つけ方」です。第1回でやったテーマの見つけ方を思い出してください。英語は先ず簡潔に抽象的な言葉で言いたいことを言っておいて、次にそれを具体化します。つまり「抽象=具体」でテーマが繰り返されるわけです。これを「同格」と言いました。前にはこの「イコール」の所にコロン( : )が来てました。こんな具合です。
・・・a new phenomenon : the department store
でも、今回はcalledが来ます。これは「~と呼ばれている」の意味の過去分詞ですが、「a(n)+名詞 called 具体的名詞」となっていれば、やっぱり「抽象=具体」と同じ同格の役割を果たします。他の同格記号と一緒にcalledも覚えておいてくださいね。
・・・「つまり」「すなわち」「言い換えれば」
・・・namely、in other words、that is [to say]、called、i.e.、コロン(:)、セミコロン(;)
すると、今回のテーマはbel cantoじゃないかと見当を付けます。そして、それが何度も繰り返し登場するのを確認すればOKです。こんな具合です。
Sutherland became famous for singing a particular type of opera called bel canto, which means “beautiful singing” in Italian. Bel canto operas had been very popular in Europe in the eighteenth and nineteenth centuries, but had become largely ignored in the twentieth century because the grand, dramatic German operas by Richard Wagner had come to dominate the opera world. In contrast, the main feature of bel canto is singing in a beautiful, light style. It requires being able to sing with the same light quality from the bottom to the top of the vocal range, and the ability to sing very fast over many notes. With intensive training, Sutherland’s voice came to perfectly suit the bel canto style, and she helped bring many almost forgotten bel canto operas back into opera houses around the world.
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今回はReadingDrill第4回の内容一致問題を解説します。設問文に「ソールレベルズが( )したとは、その段落は言ってない」とあるので、その段落に書かれていないことを1つ選ぶ問題です。このように「次の中から本文の内容と一致するものを1つ選べ」とか「次の中から本文の内容と一致しないものを1つ選べ」などタイプの問題は、全ての選択肢からマーカを抽出します。そして、そのマーカを本文中に探して、各選択肢の正誤を判断します。こんな具合です。
The paragraph does NOT state that SoleRebels ( ).
(A) has grown rapidly
(B) produces shoes in a large workshop
(C) gets its shoes to the U.S. within a week
(D) produces shoes primarily for Amazon.com
ここでも大切なのは「確定要素」の確認です。(A)の選択肢では、多分会社が急速にどうかなったのでしょう。会社が成長したかどうかを判断しなくてはいけません。ここでは「副詞」をマーカにしました。普通は、形容詞や副詞をマーカにすることはありませんが、ここでは仕方がありません。「動詞」をマーカにすると裏切られることが多いので止めた方が良いでしょう。
(B)は名詞workshop、(C)も名詞のthe U.S.、(D)も名詞のAmazon.comをマーカにしました。次に、本文中にマーカを探します。時間がないときは、エンピツを左右に動かしてマーカだけを探して、本文は読みません。すると、次のようにマーカがヒットします。
Before Christmas, workers at a company workshop―actually, a small house―were busy cutting, sewing, and gluing to make shoes for customers as far as Canada and Australia. A box of shoes was about to be sent to Amazon.com, the company’s main customer, which receives the shoes in the U.S. three to five days after making its order. The company’s name is SoleRebels. “We are sitting in Addis Ababa here in Ethiopia, but acting like an American company,” said Alemu, a 30-year-old former accountant who is excited by her company’s rapid growth. Just five years after start-up, SoleRebels employs 45 full-time staff who can produce up to 500 pairs of shoes a day. The company’s sales targets are ambitious, and Alemu’s ultimate goal more so: to become “the Timberland of Skechers of Africa.”
まずworkshopがヒットします。これは(B)のマーカです。(B)にはa large workshopと書いてあるのに、本文にはa small houseとあるので、(B)は本文の内容と一致しないことが分かります。だから、正解は(B)!
ついでに他のマーカも見ておきましょう。Amazon.comは(D)のマーカです。(D)にはproduces shoes primarily for Amazon.com(主にアマゾンのために靴を作る)と書いてあって、本文にもmain customer(主要取引先)とあるので、(D)は本文の内容と一致します。the U.S.は(C)のマーカです。(C)にはwithin a week(一週間以内に)と書いてあって、本文にも[within] three to five daysとあるので、(C)も本文の内容と一致します。最後にrapidは(A)のマーカです。has grown rapidlyは動詞表現で、それを名詞化したのがrapid growthだから、やっぱり(A)も本文の内容と一致します。
次回も同じような「本文の内容と一致しないものを1つ選べ」の問題です。楽しみにしておいてくださいね。これでReading Drill第4回の解説はお仕舞いです。
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台風通過後の17日(木曜日)に学校に行く予定です。添削して欲しい答案があれば職員室の僕の机の上に置いておいてください。
共通テストの英語の大問2と3は、著者の主張とそれを裏付ける具体的事実を区別できるかどうかが成否の分かれ目です。このリーディングドリルの目的の1つが「主張と具体的事実の区別」ですから、それを意識して勉強してくださいね。
今回はReadingDrill第4回の下線部訳を解説します。
A box of shoes was about to be sent to Amazon.com, the company’s main customer, which receives the shoes in the U.S. three to five days after making its order.
下線部訳には普通、それが訳出できなければ0点になってしまう、とても重要な構文が隠れています。いや、むき出しになっています。文全体に関わる構文なので、その訳出に失敗すると、大体変な日本語になってしまいます。
この下線部では, whichがそれに当たります。「コンマ+関係代名詞」、いわゆる関係代名詞の非制限用法の訳出方法が分かっているかどうかを試しています。色んな訳出方法があるのですが、次のような手順で訳出してください。
①コンマのところで文を「。」で終わらせる。
②and、but、becauseで文をつなげる。
③先行詞を主語にして、2つ目の文を始める。
これに従って訳出すると、先ず「①箱に入った靴がアマゾン・コムに今まさに発送されようとしていた」で文を終わらせます。あ、ここで注意すべきなのは、Amazon.comの直後のコンマ(,)です。これは「同格のコンマ」ですから、「BというA」「BであるA」でAmazon.comを説明してやる必要があります。ですから「箱に入った靴が、その会社の主要取引先であるアマゾン・コムに今まさに発送されようとしていた」としてやります。
次に、2つ目の文とのつながりを考えて、②「そして(and)」か「しかし(but)」か「なぜなら(because)」でつなげるのですが、2つ目の文は発送された靴の入った箱を受け取る話ですから「そして(and)」が適当です。
さて、「③先行詞を主語」にするのですが、先行詞はwhichの直前の名詞、customerではありません。the company’s main customerはAmazon.comの同格の説明でしたね。ですから、先行詞はAmazon.comです。だから「そして、アマゾンコムは発注してから3日から5日で、アメリカでその靴の入った箱を受け取る」としてやります。
aboutは「話題の中心の周り」ぐるりを指しています。その中心が100なら、about 100は99や101だったりします。その中心に君がいて、今まさに行動を開始して、自分の周りぐるりに身体を動かそうとしているのがbe about toという助動詞です。あ、「be~to」は助動詞の型でしたね。
「前置詞+名詞」をセットにして英文を読んでゆくのですが、, whichの後半はちょっと変則です。
which receives the shoes / in the U.S. / [within] three to five days / after making its order
in the U.S.までは「前置詞+名詞」のセットを簡単に区切って読み進めるのですが、次のthree to five daysの前にwithinが省略されているのでリズムが崩れそうになるのをグッとこらえるのがポイントです。
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今回からReadingDrill第4回の解説をやります。先ず「テーマの見つけ方」です。テーマは先ずa(n)+名詞で投げ出され、次にそれがthe+名詞になります。そしてテーマは代名詞化されることがよくあります。例えばテーマが「サクラ」とか「ネコ」ならこれで良いのですが、いつも「a+名詞」→「the+名詞」→「代名詞」になるとは限りません。
Before Christmas, workers at a company workshop―actually, a small house―were busy cutting, sewing, and glueing to make shoes for customers as far as Canada and Australia. A box of shoes was about to be sent to Amazon.com, the company‘s main customer, which receives the shoes in the U.S. three to five days after making its order. The company‘s name is SoleRebels.
今回のテーマは、「a company」→「the company」→「SoleRebels」の様に最後には固有名詞化されます。その場合は、テーマは固有名詞のSoleRebelsです。つまり、この英文はSoleRebelsについて書いているわけです。でも、固有名詞が出てきたからと言って、いつもその固有名詞がテーマだとは限りません。ReadingDrill第6回にはこんな英文が出てきます。
There have been 44 presidents of the United States. Some are remembered as courageous heroes who led the nation through grave crisis. For instance, Abraham Lincoln, the 16th president, and Franklin Roosevelt, the 32nd, are revered today for guiding the country through the Civil War and World War Ⅱ, respectively.
この英文にはアブラハム=リンカーンとフランクリン=ルーズベルトという固有名詞が出てきます。だから、この英文のテーマはこの2人だと考えるのは誤りです。なぜなら、この2人は具体例文中に登場するからです。つまり、For instanceから始まる英文は具体例ですから、もう既に著者は自分の主張を言ってしまってるわけです。その主張文の中にすでにテーマは出ていると考えられます。この様に、具体例文中の固有名詞はテーマにならないということを覚えておいてください。
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1週間、リンダが名古屋あら遊びに来ていたので更新が滞りました。ごめんなさい。今日から更新を再開します。頑張ってゆきましょい!(四国の方言です)
今回は内容一致問題を解説します。前から「確定要素をザックリとマーカにする」のを勉強しています。
⊿問題文によると、( )だった理由でザラは2人の子供を持つことができた。
According to the passage, Zara was able to have two children because ( ).
問われているのは、ザラが2人の子供を持つことができた理由ですから、「ザラが2人の子供を持つことが出来た」のは確定要素です。つまり、赤い部分は問題文中に必ず出てくる内容なわけです。そして、ついでに2つのマーカも別に抽出しておきます。
⊿問題文によると、( )だった理由でザラは2人の子供を持つことができた。
According to the passage, Zara was able to have two children because ( ).
Zaraは固有名詞だし、two childrenは数字ですから、とても有効なマーカになるはずです。そう考えて本文を読み進みます。
As two-year-old Maomao and her ten-month-old brother Lulu play in a Shanghai park, little do they realize that they are a change from three decades of strict family planning. Although many rural Chinese have two children, China still limits most urban families to just one child. Because Maomao and Lulu’s parents are both only-children themselves, they are among the fortunate few city couples allowed to have two children. “I was lonely as a child,” says their mother Zara. “I was jealous of friends who had brothers and sisters. Now my friends are jealous of my two children.” Statistics support this: a recent survey showed that 69 percent of Chinese would support a proposal to end the one-child policy. But Zara and her 81-year-old mother-in-law both support China’s efforts to control its population. “Our leaders have thought a lot about the country’s policies,” the mother-in-law says. “Whatever they say is right.”
すると、赤い部分が確定要素なので、これを全部マーカにします。あ、Zaraがちょっと離れていますが、Maomao and Lulu’s parentsがtheyになって、そのお母さんの名前がZaraなのだから、結局theyに含まれます。そして、設問が尋ねているのが「ザラが2人の子供を持つことができた」理由ですから、Becauseから始まってマーカまで続く下線部が根拠文だと分かります。えっ!?理由だからBecauseが出てくるの?!そうなんです。大学入試の内容一致問題なんてそんなレベルです。名古屋大学の2次試験でもチャンと出てきます。
もうお分かりだと思いますが、問題文は先ず設問から先に目を通します。それぞれの設問に独特のマーカを抽出しておいてから、本文に取りかかります。設問を先に読んでしまうと、変な先入観を持ってしまって書かれている内容を取り間違えることがあるという先生もいますが、そんな頭の悪い子は大学は受験しませんよ!それとは逆で、設問を先に読むことで、本文の内容に当たりを付けることができます。大体どんなことが書かれているか分かった上で、本文に取りかかることができるわけです。
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今回は下線部訳を解説します。
As two-year-old Maomao and her ten-month-old brother Lulu play in a Shanghai park, little do they realize that they are a change from three decades of strict family planning.
この下線部訳のポイントは前にもやった「否定語を強調のために文頭に出すと、疑問文型の倒置が起こる」に気がつくかどうかです。
⊿彼女に2度と会えないなんて夢にも思わなかった。
I little dreamt that I should never see her again.
→Little did I dream that I should never see her again.
これと同じことが下線部でも起こってます。こんな具合です。
⊿30年に渡る厳しい産児制限の時とは自分たちが違うということを、彼らはほとんど気づいていない。
They little realize that they are a change from three decades of strict family planning.
→Little do they realize that they are a change from three decades of strict family planning.
訳出するときには、Littleを出しても出さなくても同じ訳でかまいません!実際にはlittleがrealizeの思考・認識系の動詞と一緒になって「ほとんど気がついていないんよ!」が強調されるのですが、それを訳に反映させる必要はありません。また、they are a change from Aをそのまま名詞的に訳すと「彼らはAからの変化である」になってしまい、何を言ってるのかわかりません。そんなときは、名詞を動詞表現に変えると日本語らしくなります。
名詞表現=自分たちは30年に渡る厳しい産児制限からの変化であること。
動詞表現=自分たちが30年に渡る厳しい産児制限の時とは変わってしまったこと。
これは、英語が名詞が中心の言葉であるのに対して、日本語は動詞中心の言葉だからです。変な日本語だなあと思ったら、名詞を動詞化してみると上手く行くことがあります!
明日からちょっと更新をお休みします。
・
今回からReadingDrill3の解説を始めます。先ずは「テーマの見つけ方」からです。最初の段落が抽象的な内容で、2つ目の段落が具体的な内容になっています。これは「抽象→具体」の英語のいつもの論理展開です。だから、テーマと主張文は最初の段落の中から探します。前に使った「テーマの見つけ方」にちょっと手を加えましょう。赤い部分が追加部分です。
テーマは初出のときはa(n)+名詞。でも、テーマが「数えられない名詞」の場合にはa(n)は付かない。
↓
テーマは既出のときはthe+名詞
↓
テーマは代名詞化される。
ということは、テーマを探すときには「a(n)+名詞」よりも「the+名詞」や「代名詞」の方が当てになると言うことです。では、実際にやってみましょう。
It has been three decades since China’s one-child policy was introduced as a temporary measure to slow the country’s population growth. But there is rising opposition to the policy because it is creating another population crisis. The trends are best seen in the city of Shanghai, which has the lowest birth rate and the highest proportion of senior citizens in China.
China’s one-child policyは中国にしかない政策ですから数えられません。だからa(n)はついていません。でも、次にthe+名詞になって、最後に代名詞化されていますね。
さて、今回は主張文を抜き出さないといけません。「主張」というのは、人と違う考えを持っている人が行うことができる行為です。逆に、人と同じ考えしか持っていない場合には「主張」する必要はありません。だから、普通は「一般的な考え」や「客観的な事実」と対立する形で「主張」を展開します。例えばこんな具合です。
(一般的意見)「小学校で英語を教えるのは良いことだ」⇔(主張)「小学校では母語である日本語を先ず教えるべきだ」
(客観的事実)「大学入試にTOEFLの導入を政府は検討している」⇔(主張)「TOEFLで点を取るための解法が英語産業でもてはやされるだけだ」
もし自分も小学校での外国語活動が良いと考えているのなら、「主張」ではなくて「同意」をすれば良いだけです。もし自分も退学入試にTOEFLを導入すべきだと考えているのなら、沈黙していれば良いわけです。「主張」はいつも客観的な事実や一般的な意見と対立するかたちで展開されることを覚えておいてくださいね。
対立を表現するときには、おきまりの表現が使われます。それが「対立の論理」です。
「しかし、しかしながら、ところが、だが、けれども」=but、however、yet、nevertheless
一般的な意見や客観的な事実を言うときも、決まった表現が使われます。こんな具合です。
「~とよく言われているが」=It is often said that+「一般的意見」
「もちろん~だが」=of course+「客観的事実」
「確かに~だが」=indeed、certainly、surely+「客観的事実」
こういう表現が出てくると、もうすぐbutやhoweverが出てくるゾ!と考えて良いわけです。では、問題文を見てみましょう。
It has been three decades since China’s one-child policy was introduced as a temporary measure to slow the country’s population growth. But there is rising opposition to the policy because it is creating another population crisis. The trends are best seen in the city of Shanghai, which has the lowest birth rate and the highest proportion of senior citizens in China.
「中国の人口抑制のための場当たり的なやり方として一人っ子政策が導入されて30年が経った」という「客観的な事実」が先ず述べられています。そして、それと対立するようにButが出てきて主張が展開されます。それが青い部分です。さて、次回は和訳のポイントを説明します。
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さて、今回は設問4の内容一致問題を解説します。
マーカの抽出の仕方のポイントは次の6つです。
1.その設問に独特の「名詞」をマーカとして抽出する。
2.特に、「固有名詞」や「数字」は理想的なマーカになる。
3.他の設問にも登場する「名詞」はマーカにならない。
4.1語の「名詞」が抽出できなければ、名詞相当語句(不定詞、動名詞、A of Bなど)をザックリとマーカにする。
5.それでもダメなら確定的な要素(時、場所、条件)をザックリとマーカにする。
6.やむを得ず副詞や形容詞をマーカにしても、動詞はマーカにしない。
今やっているドリルは、内容一致問題がこの1題しかないので、1は無視してください。でも、他の設問にも同じ名詞が出てくる場合は、その名詞はマーカとして不適切であることは言うまでもありません。そして、今までに2を勉強しました。今日は5を使って解いてみましょう。「それでもダメなら」と書いてますが、確定要素をマーカにするのもとても有効なやり方です。「確定要素」というのは、絶対に本文中に出てくる内容のことです。つまり、その内容が正しいことが確定的なわけです。では、設問文から「確定要素」を抜き出してみましょう。
⊿本文から、( )を目的として、ダン=オースティンは88バイクスを設立した。
According to the passage, Dan Austin established 88Bikes in order to ( ).
空所は、88バイクスの設立目的を尋ねているので、「ダン=オースティンが88バイクスを設立したこと」は確定要素です。つまり、必ず本文中にそのことが書いてあるはずです。探してみるとこうなります。
Writer, filmmaker, and bicycle touring enthusiast Dan Austin is saving the world, one bicycle at a time. In 2006, Austin, along with his brother Jared and their friend Nick Arauz, started an organization called 88Bikes, based in the USA. It is a non-profit group that buys new bicycles for kids in need around the globe. In less than four years, the group has given away nearly 800 bicycles in seven different countries. And they’re not done yet. In fact, they’re just getting started.
青い部分が「確定要素」です。じゃあ、その目的はどこに書いてあるのかと言えば、その次の文の赤い部分です。これが根拠文になります。だから正解はAだと分かります。ね、「確定要素」をマーカにすると、根拠文が見つけやすいでしょ!
According to the passage, Dan Austin established 88Bikes in order to ( ).
(A) provide bicycles to needy children
(B) promote bicycle tourism around the world
(C) collect and repair used bicycles for charity
(D) recycle old bicycles not needed by his friends
根拠文と選択肢の英語とは「1.同じ意味の単語どうしの置き換え」です。つまり、buy=provide、in need=needyというわけです。ここから、19日に配布した「同意語ファイル」がとても重要だと言うことが分かります。今やってる単語集の勉強も大切ですが、出る単語を覚えないと合格はできません!
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さて、今回は下線部訳のポイントについて解説します。
In 2006, Austin, along with his brother Jared and their friend Nick Arauz, started an organization called 88Bikes, based in the USA.
この英文が読みにくいのは、「-ed」が3つも出てくるので、3つとも動詞に見えてしまうところです。それに、コンマ-コンマの挿入も面倒です。では、先ずいつものように「前置詞+名詞」を切り出して、他の部分から区別しましょう。「前置詞+名詞」は「形容詞」か「副詞」にしかなれません。つまり、文の主要構成要素である「名詞」や「動詞」になれないので、消してしまっても文の大事なフレームは残ります。
In 2006, Austin, along with his brother Jared and their friend Nick Arauz, started an organization called 88Bikes, based in the USA.
すると、Austin started an organizationという「主語+どうした+何を」が浮き立ってきますね。ということは、それ以外は全部飾りということです。あ、along withはwithと同じ意味の前置詞です。予備校によっては群前置詞という人もいますが、「along with A=with A=Aと一緒に」です。次に、and、but、orが出てきたら、直後に注目して、直前に同じ形を探してみましょう。
his brother = Jared
and
their friend = Nick Arauz
キレイな対照形をしているのが分かりますか?英語はこの美しさが分かるようになるともう一人前です。ではもう一度「-ed」を見てみましょう。startedは動詞でした。じゃあ、残りのcalledとbasedは動詞じゃないのだから、過去分詞の可能性しかありません。ということはETの法則の③「過去分詞から始まる形容詞」、a book written in Englishと同じなわけです。
⊿英語で書かれた本
a book written in English
これとまったく同じで、2語以上の長い飾りが前の名詞を飾っているわけです。
⊿88バイクスと呼ばれている組織
an organization called 88Bikes
⊿アメリカに拠点を置く組織
an organization based in the USA
そして、これがポイントなのですが、英語は左のことを右で説明します。ここでも、左にあるan organizationをcalled 88Bikesやbased in the USAが説明しているのです。ETの法則に出てくる表現は5つともそうですね。また、形式主語や形式目的語も、左でitと言っておいて、次にそれを右で説明しているわけです。
⊿1日でこの本を読んでしまうのは難しい。
It is difficult to read this book in a day.
⊿僕は1日でこの本を読んでしまうことが難しいと思う。
I think it difficult to read this book in a day.
この「英語は左のことを右で説明する」というのを良く覚えていてください。さて、次回は内容一致問題について解説します。
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今回からReadingDrill2の解説を始めます。先ずは「テーマの見つけ方」からです。前にもここでも使った英文ですが、もう一度登場させましょう。
⊿冬に暖を取るために毛皮のコートを着る人がいるが、毛皮自体が決して暖かいわけではないということはあまり知られていない。実際、毛皮は周囲の環境と同じ温度なのである。
Some people wear a fur coat for warmth in winter, but few realize that the fur in itself is not really warm at all. In fact, it has the same temperature as its environment.
「テーマ」は何度も繰り返し登場する名詞なのですが、その登場の仕方にクセがあります。最初にテーマが登場するときは「a(n)+名詞」、一度出てきたテーマは次に「the+名詞」になり、最後には「代名詞」化されることがよくあります。ま、これはちょっとインチキで、aはfurだけじゃなくてfur coatにかかってますがね。じゃあ、これならどうでしょうか。
⊿家はネコを飼っている。色は白で、とても人なつっこい。
We have a cat. The cat is white. It likes people.
こういうのを「初出のテーマはa(n)+名詞」、「既出のテーマはthe+名詞」、最後に「テーマの代名詞化」と覚えてください。このa、anには「1つの」の意味以外にも、「初めて話題にするもので、皆に共通の認識がないし、誰のモノかも分からない」という意味も持ってます。だから、テーマは最初にa(n)+名詞、次にそれがthe+名詞、最後に代名詞化することがよくあります。代名詞に下線が引いてあって、具体的に何?と尋ねている設問は、大体はテーマが答えです。
ここでも、先ず「an organization called 88Bikes」と言っておいて、次に代名詞化されてIt になってます。
Writer, filmmaker, and bicycle touring enthusiast Dan Austin is saving the world, one bicycle at a time. In 2006, Austin, along with his brother Jared and their friend Nick Arauz, started an organization called 88Bikes, based in the USA. It is a non-profit group that buys new bicycles for kids in need around the globe.
だから、テーマはan organizationです。もちろん飾りも一緒にan organization called 88Bikesとしても、飾りを全部つけてan organization called 88Bikes, based in the USAとしてもOKです。でも、a non-profit groupはテーマの説明ですから、テーマではありません。さて、次回は下線部訳について解説します。
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さて、今回は設問4、5の内容一致問題について説明します。内容一致問題、内容真偽問題の解き方は「マーカ抽出法」です。これは薮研の開講科目の1つですから、興味のある子は自分で勉強しておいてください。
内容一致問題を解く鍵は、必ず本文中にあります。文章全体の流れとか漠然とした雰囲気で内容一致問題を解くことはありません。本文中の「そこ」にこう書いてあるから、正解は「ア」と言う具合に解きます。だから、ともかく本文中の「そこ」を見つけることに専念しなくてはなりません。
本文中の「そこ」のことを、正誤判別のための「根拠文」と言い、「根拠文」見つけるための手がかりとなる言葉を「マーカ」と呼んでいます。教科書に出てくる重要なところをマーカで色を付けますよね。だからマーカというのは、目立たせるための目印です。じゃあ、何がマーカになるのかというと、設問文の中に出てくる名詞です。先ず設問文の中からマーカを選び出しておいて、次に本文中にそのマーカを探します。
According to the passage, Alexander Stewart ( ) in 1846.
(A) arrived in New York
(B) bought a palace
(C) discovered a new product
(D) started a new business
固有名詞のAlexander Stewartはとても有効なマーカになります。名詞はウソをつきません。言い方を換えると、ちびまる子の話にサザエは登場しないわけです。設問中にある名詞は、必ず本文中に登場しますからね。また、数詞の1846も必ず本文中に出てきます。今回はこの2つをマーカに設定しましょう。次にこのマーカが出てくるまで本文を読み進みます。するとバカみたいに簡単にマーカがヒットします。
In 1846, an Irish immigrant in New York named Alexander Stewart opened a business on Broadway called the Marble Dry-Goods Palace, ~
例外もありますが、マーカが出てくる(ヒットする)英文がだいたい「根拠文」です。そして、設問の空所に注意を払うと、「Alexander Stewartが1846年に( )した」が問われている内容ですから、根拠文の動詞に注目しなくてはなりません。すると、次の動詞が目に付きます。設問の(D)と比較すると正解てあることが一目瞭然です。
In 1846, an Irish immigrant in New York named Alexander Stewart opened a business on Broadway called the Marble Dry-Goods Palace, ~
Alexander Stewart opened a business
Alexander Stewart started a new business
この様に、正解の選択肢は、ほぼ同じ内容を表現する別の単語や構文で作られます。同じ内容を表現する方法は次の7つです。英語演習の授業でもやりましたね。でも、難関私大は別にして、君たちが受験する共通テストの問6以外はほとんど1と2です。
1.同じ意味の単語どうしの置き換え
2.同じ意味の構文どうしの書き換え
3.分析的表現⇔総合的表現の置き換え
4.具体的内容⇔抽象的内容の置き換え
5.比喩的表現⇔直接的表現の置き換え
6.仮定法⇔直説法の置き換え
7.能動態⇔受動態の置き換え
openもstartも「始める」の意味があります。まとめると、マーカ抽出法では、
1.その設問に独特の「名詞」をマーカとして抽出する。
2.特に、「固有名詞」や「数字」は理想的なマーカになる。
3.他の設問にも登場する「名詞」はマーカにならない。
4.1語の「名詞」が抽出できなければ、名詞相当語句(不定詞、動名詞、A of Bなど)をザックリとマーカにする。
5.それでもダメなら確定的な要素(時、場所、条件)をザックリとマーカにする。
6.やむを得ず副詞や形容詞をマーカにしても、動詞はマーカにしない。
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さて、今回は設問3の和訳に出てくる「倒置構文」について説明します。倒置全体について知りたい子はここを参照してください。
第1回で用いられているのは「否定語を強調の為に文頭に出すと、疑問文型の倒置が起こる」です。
⊿僕はそんなにすばらしショーを今まで1度も見た事がない。
I have never seen such a wonderful show.
→Never have I seen such a wonderful show.
否定語neverを文頭に出したので、疑問文の語順「have I~」になってます。中学の時に習った「北海道に行ったことがありますか?」のHave you ever been to Hokkaido?と同じです。でも、疑問文になったわけではないので、クエスチョンマークは要りません。英語は語順が命でしたね。だから語順を狂わせることで、言いたいことが強調されるのです。
neverはパット見からして否定語なので分かりやすいのですが、こんなのも否定語です。
⊿日が暮れてしか僕は家を出られなかった。
I left the house only at sunset.
→Only at sunset did I leave the house.
訳語をみても分かるように、onlyは「~しか・・・ない」の否定語です。そして、onlyとセットになっているat sunsetも一緒に文頭に出します。onlyは「だけ」の意味しかないので、それだけでは「何だけ?」なのか分かりませんからね。
⊿彼女に2度と会えないなんて夢にも思わなかった。
I little dreamt that I should never see her again.
→Little did I dream that I should never see her again.
littleも「少しも~ない」の意味の否定語です。knowやthinkなどの思考・認識系の動詞と一緒になって「少しも思わなかった」とか「ちっとも知らなかった」などの意味を表します。shouldは「びっくりshould」で、彼女と2度と会えないことに驚いてます。あ、びっくりshouldはここを参照してください。
⊿雨が降り出すよりも、僕が家を出た方がほんのちょっとだけ前のことだった。
=僕が家を出るとすぐに雨が降り出した。
I had no sooner left home than it began to rain.
→No sooner had I left home than it began to rain.
soonは「そのうちに」とか「しばらく経って」、「やがて」が原義です。それをnoが否定すると、「そんなに時間は経ってない、ほんのちょっとだけ前」くらいの意味になって、それがthanと一緒になって「BよりもAの方がほんのちょっと前のこと」→「AするとすぐにBした」の意味になったのです。Aの方が古い出来事なので「過去より古いhad+過去分詞」が使われていますね。これは補習でやりました。
さて、第1回の下線部の倒置を見てみましょう。
⊿1つ屋根の下にこれほど広範囲に渡る商品を揃え集めようとした企業はいままで1つもなかった。
A single enterprise had never before tried to bring together such a range of merchandise under one roof.
→Never before had a single enterprise tried to bring together such a range of merchandise under one roof.
neverだけを前に出しても良いのですが、never beforeを2つ一緒にして「今までにない」の意味の否定語扱いしています。倒置が起こったからと言って、特に倒置する前と訳を変える必要はありません。次回は設問4の内容一致問題を解説します。
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「Reading Drills」をスタートします。英語演習の授業では1学期間「英語の読み方」に終始しました。今では見取図が随分読めるようになったと思います。夏休みは「英語の解き方」にとりかかろうと思います。薮下の授業を受けている高1生も勉強できるようにします。単語や構文がちょっと難しいかも知れませんが、問題の解き方が分かります。問題解法は今読んで分からなければ2年後も分かりませんからね。英語の問題を解くのに必要な頭の使い方ですから、気楽に読み流してください。模試で点数がとれるようになります。
先ず、設問1の「テーマ」の見つけ方から考えましょう。「テーマ」というのは、その段落で著者が取り上げている事柄、著者がそれについて述べているというところの「それ」です。だから「テーマ」は普通、本文中の名詞で指摘できます。そして、1つの段落の中で何度も繰り返し出てきます。だから、「テーマ」を見つけるのは比較的簡単です。
でも、どうやって繰り返し出てくるか覚えておくと、確実に「テーマ」をとらえることができます。この第1回では「抽象=具体」の繰り返しです。
In 1846, an Irish immigrant in New York named Alexander Stewart opened a business on Broadway called the Marble Dry-Goods Palace, and in so doing gave the world a new phenomenon: the department store.
これは英語の基本的な論理展開(ロジック)なのですが、先ず簡潔に抽象的な言葉で言いたいこと言っておいて、次にそれを具体化します。ここでもアレクサンタ-=スチュアートは「新しい現象」をもたらしたと簡単に言っておいて、次にそれを「デパート」と具体化ています。言いたいことを別の言葉で繰り返しているのですから、大切な名詞に違いありません。
そして、ここで注意して欲しいのは、繰り返しの記号の「コロン(:)」です。これは「イコール(=)」の棒が左右からギュッと圧縮されて点になったと覚えてください。だから、「コロン」は「イコール」なのです。
・・・a new phenomenon=the department store
「抽象=具体」でテーマが2度繰り返される論理を「同格」と言います。「同(同じ)」ことを別の言葉で繰り返すので同格です。ここで「英語のロジック」を見てください。2つ目に「同格の論理」というのがあって、そこに「テーマを繰り返して具体化する」というのがあります。もうちょっと下を見ると、こうあります。
・・・「つまり」「すなわち」「言い換えれば」
・・・namely、in other words、that is [to say]、i.e.、コロン(:)、セミコロン(;)
あ、セミコロンはnamelyやthat is to sayの左側に置いて使います。こんな具合です。
⊿僕はビッグアップル、つまりニューヨークに行った。
I went to The Big Apple; namely [that is to say] New York City.
これが出てきたら、言い換えられている右の方が「テーマ」だと考えてください。i.e.はラテン語のid estの省略形で、理系の論文に良く出てきます。この5つは絶対に覚えておいてくださいね。
さて、今回は著者の主張はないので、設問2は飛ばします。あ、普通は「テーマ = 意見」で著者は主張を展開します。つまり、主張は大体「AはBだ!」の形で表現できます。そしてAが「テーマ」、Bが「意見」です。でも、第1回はただのデパートの歴史を説明しているだけなので、Bの「意見」はありません。
設問3の和訳は「解説・全訳例1」を参照しておいてください。下線部訳には、必ず核となる構文が隠れています。その構文が分からないと、英語の構造は分からないし、和訳もできないことになります。ここでは「倒置構文」が試されているのですが、それは次回にしましょう。
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