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英語を読むためのルール16・その16

2000年度の名古屋大学の英語を使ってA of Bの用法を勉強しています。今回は、下線部からは外れていますが、the trickle of retired 50-year-oldsのA of Bを考えます。あ、その前に宿題がありましたね。受け身には「~される」の訳語がつくはずなのに、「引退した50歳の人達」にはどうして受け身の訳語がつかないのでしょうか?先ず、そこら辺から考えて行きましょう。
We have to plan for it.  Financial institutions must deal with the question of how your 25-year working life can support a pension period lasting just as long and possibly longer.  How will the pensions system cope when the trickle of retired 50-year-olds turns into a flood?  We have to readjust our vision of work and what it means to us.
われわれはそれに備えて計画を立てなければならない。25年間の勤務年数で、それとちょうど同じか、ひょっとしたらそれよりも長く続く年金生活をどうやったら支えることができるのかという問題に、金融機関は取り組まねばならない。50歳の退職者の細流が洪水に変わるとき、年金制度はどのように対処するのだろうか。われわれは、労働の未来図と、労働の持つ意味を再調整しなければならない。
過去分詞の表す意味には2つあって、1つが「完了」、もう1つが「受け身」です。学校では、「完了」はhave+過去分詞で、「受け身」はbe+過去分詞で表すと習いますが、実際には過去分詞自体に「完了」や「受け身」の意味がすでに含まれていて、haveやbe動詞はあんまり関係がありません。
彼はもう会社を退職しました。
He has already retired from his company.
現在完了のhaveや hasはあくまでも「今、持っている」です。ですから、「役所をすでに引退た状態を今持っている」が原義です。ですから、「もう役所を退職した」の完了の意味はretired自体が持っていて、haveとは無関係なわけです。同じ事が受け身にも言えます。
彼は会社を首にされました。
He was fired from his company.
fireには他動詞で「首にする」の意味があります。それを過去分詞にすると「首にされる」の受け身の意味になります。逆に、「首にされる」の意味はfired自体が持っていて、wasとは関係がありません。be動詞は元来「イコール動詞」で、左辺と右辺とをイコールで結ぶ働きしかありません。
だから、動詞由来の形容詞が名詞を飾っていて、それが過去分詞だったら、「~してしまった」の完了なのか、「~される・された」の受け身なのかを考えることです。ま、可能性は2つなのだから、おかしいなと思ったら、もう一方を当てはめてみれば良いので簡単です。
あ、「have+過去分詞」をhaveと、過去分詞の「完了」用法の2つに分けることにまだ抵抗がありますか?中学の時、have+過去分詞の間にneverやalreadyが割り込んだのを覚えてますか?これはどうしてかというと、haveと過去分詞の間には元から大きな隙間が空いていて、neverやalreadyは直ぐ後ろの過去分詞を飾っているだけだということです。え?まだ確信が持てませんか?では、次の例文を見てください。
僕は彼にラジオを直してもらった。
I had him repair my radio.
I had my radio repaired by him.
使役動詞haveを「する・させる」と習いますが、使役だというので便宜上そんな訳語を当てているだけで、haveの原義は「持つ」であることに変わりはありません。上は「彼がラジオを直す状況を僕は持つ」、下は「ラジオが彼によって直される状況を僕は持つ」がもともとの意味なのですよ!あ、ここでもOとCが「人はする、モノは人によってされる」の関係にあることを確認しておいてください。
言葉なんてそんなに複雑にできているはずがなくて、頭を使わなくちゃいけないのは、せいぜい「具体-抽象」、「原因-結果」くらいのものです。このhaveにしても、「具体的なモノ」を持つのか、「抽象的な状況」を持つのかの単純な違いを、「抽象的な状況」の方だけ「現在完了」という面倒な名前を付けるから、英語が嫌いになってしまうのですよ!
これでやっと、the trickle of retired 50-year-oldsのA of Bを考えられますね。このtrickleという名詞は、中世英語のstrikelenから派生したもので、涙などが止めどなく流れ出る様子を表します。それが名詞化して「しずく」とか「したたり」の意味を表します。そして「a trickle of A」で「少しのA」という量を表現します。これは「a great amount of A」とか「a large number of A」と同じ数量をいうので、このA of Bは「単位・数量・種類のof」だと分かります。だから、A of Bを「AのB」と訳出できるので、「引退した少数の50歳の人達」くらいの訳語になります。trickleには「滴るしずく鳥来る」の記憶術があります。
学年末考査も今日が最終日ですよね。今日くらいは開放感に浸ってください。だから、宿題はナシにします。

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