森田君の挑戦(38)
<問題>
2007年度・京都大学・Ⅲ(1)
教育とは何かを考えるときに、私が決まって思い出すのが小学校の恩師の顔である。先生は、私たち生徒に、物事に真剣に取り組むことを教えてくださった。その教えは、これまでの私の人生の指針となっている。今から考えると、先生の教えが私の心に響いたのは、先生の尊敬できる誠実な人柄によるところが大きかったように思う。教育において考慮すべきことは、教える内容だけではなく、教える側の人間性でもあるのだ。
<答案>
When I consider what education is like, I never fail to remember my good teacher at my elementary school. The teacher taught students to deal with things seriously. I follow the direction those lessons lead me to in my life. In retrospect, I think his lessons moved me a lot mainly because of his admirable sincere character. In light of this, it is not only what teachers teach but also what their characters are like that we should consider.
<読者への挑戦>
赤い部分の英語が間違っています。さて、どうしてそれが間違っているのか、またどうすれば正しい表現になるのかを考えてみてください。
<添削>
森田君!君は「教育において考慮すべきことは、教える内容だけではなく、教える側の人間性でもあるのだ」の件(くだり)を強調構文を使って上手に英語にしましたね!それに、in light of this(このことを踏まえて考えると)とかin retrospect(振り返ってみると)なんて表現をよく知ってましたね!全体的にも、文法・語法上のミスはなくキレイにまとまっています。さて、今日は「教育とは何か」と「先生の人柄がどの様であるか」の表現を勉強しましょう。
①what A is とwhat A is like
「A is B」と「A is like B」とは全く別の表現です。先ず「A is B」は定義文で、こんな風に使います。
⊿学校教育とは、良いところに就職するための手段に過ぎない。
School education is only a step to getting a good job.
だから、「教育とはなにかということ」はonly a step to getting a good jobを疑問詞 what に換えて、間接疑問文化するとこうなります。
⊿教育とは何かということ
what education is
一方、「A is like B」は比喩表現で、こんな風に使います。
⊿彼女は天使のような人だ。
She is like an angel.
だから、「彼女がどういう人かということ」、あるいは「彼女の人柄」は an angel を疑問詞 what に換えて、間接疑問文化するとこうなります。
⊿彼女の人柄
what she is like
だから、「教育とは何か」の方を、what education is likeからwhat education isにしてやります。ま、本当ならwhat kind of character they haveとやる方がキレイなのですがね。
あ、そう言えば赤本の答えがまた間違ってましたよ!次の赤い部分です。
今から考えると、先生の教えが私の心に響いたのは、先生の尊敬できる誠実な人柄によるところが大きかったように思う。
<別解②>
When I look back, I think it was mainly because of his respectability sincerity that his teachings affected me so much.
このままでは名詞が2つ連なっているだけですから意味をなしません。ひょっとして「尊敬できる誠実さ」と書きたかったのでしょうかね?つまり、respectable sincerityの誤植なのかもしれませんが、respectable sincerityなんていう英語はありませんよ!あるいは、接続詞 and が抜けてしまったのだとしても、his respectability and sincerityでは、「彼の品行方正さと誠実さ」の意味になってしまって、問題文の日本語とはずいぶんかけ離れたものになります。いずれにしても、赤本のこの別解は全然ダメです!ちょっとミスが多すぎやしませんか?赤本さん!
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