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森田君の挑戦(13)

<問題>
1998年度・京都大学

野球は、アメリカの国民的スポーツの1つである。多くのアメリカ人は、子供の頃、近所の野原で野球をして大きくなる。泥まみれになり、隣の誰それさんは自分より上手になったとか、ならないとか言いながら、他人と共同生活を送っていくすべを身につけていく。あるいは他人に打ち負かされるという屈辱を受け入れる訓練を重ねていく。

<答案>

Baseball is one of the national sports in the US.  Many children in the US grow up with playing baseball in the nearest park to their houses.  As they get muddy together and say that their friends come to play well or that they can play better than their friends, they learn how to associate with other people.  And they learn how to accept humiliation of being defeated by other people.
<読者への挑戦>
赤い部分の英語が間違っています。さて、どうしてそれが間違っているのか、またどうすれば正しい表現になるのかを考えてみてください。
<添削>
いいですね!シンプルな英文を単純な論理で上手に組み立てています!あ、「アメリカ」をthe U.S.とせずに、省略符を取ってしまってthe USとしているのは、なかなか新しいですね。前はよく「the U.S.A.」の様に省略を意味するピリオドを付けてましたが、今はそれを省略します。あ、あ、知ってると思いますが、Baseball is one of the national sports in the U.S.A..なんてピリオドを2つ付けちゃだめですよ!さて、今日は「野球をしながら大きくなる」、「友達の方が自分達よりも上手になる」、そして「人に敗れる屈辱」の3つの表現を勉強しましょう。
①grow up with playing baseball
多分、このwithは「付帯状況のwith」のつもりなんでしょうが、それなら「with O+C」になってないといけないのと、「O=C」の関係が成り立っていないといけません。こんな具合です。
腕を組んで、彼女は椅子に座っていた。
She was sitting on the chair with her arms folded.
これを見ると、O=her arms、C=foldedで、Her arms were folded(彼女の腕=組まれていた)の「O=C」関係が成り立っていますね。一方、森田君の英語には「O+C」の形がありません。だから、ここでは「付帯状況分詞構文」にしてやるのが簡単です。つまり、withを取ってしまってMany children in the U.S. grow up(,) playing baseball in the nearest park to their housesとしてやります。ちなみに、nearには「近所の」の意味があるので、the near parkとかthe near fieldだけでもOKです。また、nearbyという単語は形容詞にも副詞にも使えるので便利です。だから、the nearby parkでも良いしthe park nearbyでも良いわけですね。
ちょっと難しい話をすると、付帯状況の「withO+C」を使う時に注意して欲しいのは、文の主語とOとは別人じゃないといけないと言うことです。つまり、「withO+C」はあくまでも「付帯状況」、つまりオマケなのですから、文の主語とは別のことを言ってないとオマケにはならないわけです。
彼らが大きな声で話をしていて、僕は自分の言いたいことを伝えられなかった。
I couldn’t make myself heard with them talking loud.
これを見ると、文の主語は「私」、オマケの状況のOは「彼ら」になっていますね。だから、ちゃんとオマケの状況が成立しているのです。だからもし、問題文を次のように書くと、themはmany childrenとは別の人間を指すわけです。ここではさしずめプロの野球選手くらいの意味になります。
多くのアメリカの子供達は、彼らが野球をしているところを見ながら大きくなる。
Many children in the US grow up with them playing baseball.
あ、そう言えば「野球をして大きくなる」を赤本はgrow older playing baseballとやってますが、これは全然ダメです。grow olderって言うのは、「あ゛~!わしゃ、年をとってしまって目が利かん」なんて時の「年を取る」です。grow olderは決して子供には使いませんよ!本当にもう、しっかりしてよね!
②their friends come to play well
森田君の使ったcome toは「結果として~になる」とか「最後には~するようになる」の意味です。つまり、come toは、いろんな経緯があったのだけれど、結局そうなったり、そうしたりする場合に使います。こんな具合です。
あんな男と結婚すれば、後悔することになるわよ。
If you marry him, you will come to regret it.
問題文の「人が自分よりも上手になる」は「結果」じゃなくて「変化」の過程ですよね。だから、becomeやgetを使います。
彼らは自分達よりも(野球が)上手になって来ている。
Their friends are getting [becoming] to be better players than they are.
そして、薮下には不思議で仕方がないのは、orの後半のthey can play better than their friendsはとてもきれいな英語なのに、なぜ前半はそれをひっくり返してtheir friends can play better than they canとしなかったのでしょうかね?!とってももったいないミスです。
③humiliation of being defeated by others
これはケアレスミスです。humiliationの後ろに、同格のofから始まる飾りが付いているのだから、「飾り予告のthe」が必要ですね。だから、the humiliation of being defeated by othersとしてやります。

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