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森田君の挑戦(9)

<問題>
2000年度・京都大学

あるとき私は幼児期を過ごした町を通る機会に恵まれた。記憶の中の光景をたぐりよせながら、なんとかそれらしい場所まで来たが、自信がない。周囲の町並みは完全に変わってしまっていた。そこに建っていた家はいかにも新しく、30年前からそこにあったものとはとても思えなかった。

<答案>

One day, I have a chance to go to the town in which I lived when I was a child.  I managed to reach the place where there was a spectacle that I remembered, but I couldn’t have a confidenceThe spectacle around me had changed completely.  I felt that the house standing there was new and I couldn’t think that it had been there for thirty years.
読者への挑戦>
赤い部分の英語が間違っています。さて、どうしてそれが間違っているのか、またどうすれば正しい表現になるのかを考えてみてください。
<添削>
森田君!「それらしい場所」をどうやって具体化するのかがこの英作文の一番の急所なのですが、君が「自分が見覚えのある景色が存在する場所」とやってるところなんてなかなかですよ!でも、この「景色、光景」はspectacleじゃなくてsceneryを使わなくちゃなりません。今日は、その「①光景」、「②自信がない」、「③思う」の3つを勉強しましょう。
①spectacle
「光景」に当たる英語はたくさんあります。確かにspectacleにも「光景」の意味はあるのですが、この文脈では使えません。よい機会ですから、ここでちょっと「光景」をまとめておくことにしましょう。
・view=ある場所から目に入る一般的な光景=眺め・見晴らし
・sight=目で見えるそのままの光景=見えるもの・見かけるもの
・sights=sightが集まった人の注目を引く光景=名所・見所
・scene=特定の場所から見える限られた範囲の光景=場面・風景
・scenery=sceneが集まった光景、ある地域の自然の光景=景色・景観
・spectacle=際だって印象的な光景=壮観、見もの
問題文の「光景」は「自分に見覚えのある昔いた町の光景」ですから、spectacleやsights以外の「光景」はどれでもOKです。ですからa spectacleをa viewかa sightかa sceneかsceneryにしてやります。sceneは数えられますが、sceneryはsceneの集合体ですから数えられませんよ!赤本にはsightやviewよりsceneやsceneryと書いてありますが、そんなことはありません!あ、そう言えば赤本は「幼児期」をone’s infancyだと書いてますが、これはウソでinfancyとすると自分の力では歩けない「乳児期」に限定されてしまうので、この文脈では使えません。
②couldn’t have a confidence
「自信がない」ですが、森田君の使っているhave confidenceにも「自信がある」の意味があるのですが、I have confidence in Aの形で「私はAを信頼している、Aに自信がある」の様に使います。でも、この文脈ではI am confident that文の形の「私はAを確信している、Aに自信がある」じゃないといけません。なぜなら、完全な文にするとこうなるからです。
私はそれが同じ場所であることに確信が持てなかった。
I was not confident that it was the same place.
ですからI couldn’t have a confidenceをI was not confidentにしてやります。あ、confidenceは数えられないのでaは不要です。
③I couldn’t’ think that~
「思う」をthinkにすると、thinkは「事実に基づいて論理的に考えること」が原義なので、この文脈からはずれてしまいます。せっかくですから「思う」もまとめておきましょう。
・think=事実に基づいて論理的に考える
・believe=感覚的に信じること
・imagine=ある事柄を頭の中で想像すること
問題文は「30年前からそこにあったなんて想像できない」か「30年前からそこにあったなんて信じられない」のどちらかですからthinkじゃなくてbelieveかimagineにしてやります。

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