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AKB47君からの質問

<質問>
以下は、2007年度の京都大学の下線部訳と赤本の解答です。
  Consider the relationship between technology and science, which I fear is often misconceived.  While many take the former merely for a product of the latter, the reverse is no less true.  Throughout the history of science, new technologies are known to have made possible eye-opening discoveries.  Without the aid of sophisticated optical instruments, the earth-centered view of the universe would not have been disproved, nor could the cell have been established as the basis of life.
 科学技術と科学の関係を考察してみよう。この関係は、しばしば誤解されていると私は懸念している。前者を単なる後者の産物と考える人は多いが、逆もまた同様に正しい。科学史全体を通して、新技術のおかげでもを見張るような発見が可能になったことが知られている。精密な光化学機器の助けがなかったら、地球を中心とした宇宙観が誤りだと示されることはなかっただろうし、細胞が生命の基礎であると認められることもあり得なかっただろう。
このno lessですが、薮下先生が以前「少なくない=多い=強調」と言ってたのを思い出して、「多くの人が科学技術を単に科学の副産物だと思っているが、その逆ももちろん正しい。科学史のいたるところで、新しい科学技術は目を見張るような発見を可能にしてきたことが知られている。高度な光化学機器の助けがなかったら、地球を中心とする宇宙観の間違いが正されることもなかっただろうし、細胞が生命の基本単位として確立されることもなかっただろう」と訳しました。赤本はこれを「同様に」と訳しているのですが、どちらが正しい訳なのでしょうか。明快な説明をお願いします。
<回答>
AKB47君!君ってブリブリすごい子ですね!あ、「ブリブリ」は「とても」とか「大変」などの意味の博多弁です。the cell have been established as the basis of lifeを君は「細胞が生命の基本単位として確立されたこと」と訳出してますよね!これはまったくその通りで、basisには「①基礎・土台」、「②原理・原則」、「③主成分・基礎原料」の3つの意味があります。そして、このbasis of lifeは君が推察した通りで「命を形成する基本単位」の意味です。だって、赤本がやってるように「細胞が命の基礎」じゃあ、何のことだかさっぱり分からないよね!?「集合論は数学の基礎」だとは言いますが「細胞が命の基礎」だなんて絶対に言いませんからね!その意味で、君は赤本を凌駕していますよ!ま、本当ならA is established as Bを「AはBとして認められる」とか「AはBとして立証される」と訳出して欲しかったのですがね。でも、たかが大学入試ですから、「細胞は生命の基礎」でも「細胞は生命の基本単位」でも減点なんかされることはありませんよ。そこまで高度な訳出を大学は要求してはいません!!ご安心を。
さて、ご質問のno lessですが、ご指摘の通りで「①少なくない=多い=強調」と「②少なくない=同じくらい」の2つの意味があります。②については、前にここでも説明したのですが、no less(少なくない)も no more(多くない)も両方とも「まったく同じ」の意味を持っているということです。
このカップにはあれよりもたくさんの量の水が入っているわけではない
This cup has no more water than that one.
このカップにはあれよりも少ない量の水が入っているわけではない
This cup has no less water than that one.
これを見比べると分かるように、「このカップ」と「あのカップ」に入っている水の量は2つとも全く同じなわけです。君はこのno lessを①の強調の意味だと考えたようですが、その場合は普通はコンマで区切って文から切り離して使います。こんな具合です。
彼は僕に100ドルくれた。もちろん現金でね。
He gave me $100. And in cash, no less.
一方、②の「同じくらい」の意味では、「同じくらい正しい」とか「同じくらい良い」の様に形容詞や副詞とセットになっていないといけません。こんな具合です。
それも同じくらい良いことです。
It’s no less good.
ですから、下線部のno lessは②の「同じくらい」の方です。あ!?ちょっとガッカリしてませんか?!そんなに悲しい顔をしないでくださいよ!この下線部の1番のハードルは、nor could the cell have been established as the basis of lifeの「疑問文型の倒置」が見抜けるかどうかです。君はちゃんとこのハードルを跳び越えているじゃないですか!その上、君はthe basis of lifeを「生命の基本単位」とキッチリ訳出できています。薮下が採点官なら、絶対に丸をあげてますよ!

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