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上田君からの質問

<質問>
藪下先生,初めて投稿します。 先生のこのサイトはすごいですね。 今まで知らなかったことが一杯書いてあります。質問をしても良いとどっかに書いてあったと思うので、質問させて下さい。
1) 英文和訳道場 第2回の文章の最後の行の英文ですが、「in social or economic functionと言う点においてher existence はhas lackedした」と訳されていると思いますが、her existence has lacked inとして、「彼女の存在は社会的或いは経済的役割に欠乏してきた」とは訳せないでしょうか? この様に読めないならば,何がそうさせないのか教えて頂けませんか?
2) 先生のサイトには本当に幅広く英語学習のコーナがあるのですが、藪下英語を勉強して行くには入門はどの部分から読み始めるのが良いでしょうか?「これだけ語句整序50」でしょうか、「ルール16 前置詞等」でしょうか? 宜しくご教示お願いします。

<回答>
上田君!初投稿を歓迎しますよ。まず、最初のご質問ですが、lackは「不足」や「欠乏」を表す他動詞で、今必要としている具体的なモノが後ろに来ます。あ、「具体的」とは、お金とか食料や水などの目に見えるモノと考えてください。これは、形容詞shortを使って書き換えられます。
■僕らにはお金が不足している。
We lack money.
We are short of money.
一方、目に見えない抽象的なモノが不足している時には自動詞化して、「人is lacking in 抽象的なモノ」の形でよく使います。こんな具合です。
■彼女には誠実さが欠けている。
She is lacking in sincerity.
つまり、「lack A」も「lack in A」も両方とも「Aが不足している」「Aがない」の意味なのですが、Aが具体的なら「lack A」を、Aが抽象的なら「lack in A」を使うわけです。どうしてかというと、具体的で目に見えるものなら「Aがない」と言えるのですが、抽象的で目に見えないモノをなかなか目的語にはできないので、「Aという点で不足がある」と誤魔化すわけです。あ、このinは「視点・観点のin」ですよ。でも、日本語の訳語はどっちを使っても別にかまいませんよ!つまり、「彼女は誠実さと言う点で欠乏がみられる」でも「彼女には誠実さがない」でもどっちでもOKです。
さて、英文和訳道場の件(くだん)の英文は「lacking in social or economic function」で、「社会的経済的役割」はとても抽象的だからlack in Aを使ってますが、訳語は「彼女の存在には社会的な役割、あるいは経済的な役割という点で欠乏がある」でも「彼女の存在には社会的な役割や経済的な役割がない」でもどちらでもOKです。
一番厄介なのは、この抽象的表現を読みながらそれを具体化してゆくことですね。「妻の社会的役割や経済的役割」って何か分かりますか?前のところで「親類達と疎遠になる」とか「家の外からの助力を得られない」とあるでしょ。これが「社会的役割」なわけです。つまり、人間関係がだんだん希薄になってゆくことを「社会的役割の欠乏」と格好をつけて言っている訳です。「経済的役割の欠乏」は当然、自分でお金を稼いでいないことでしょうね。あ、「妻の存在には社会的な役割がない」では何のことだか意味がよく分からないので、「社会的役割という点で妻の存在感がなくなった」と薮下は意訳(翻訳)しました。これはちょっとやり過ぎでした。入試ではここまでは要求されませんよ。
では2つ目のご質問ですが、英語の勉強には「単語・語彙」「文法・語法」「構文」「英作」「長文」など、やらなくちゃならないことがたくさんありますよね。基本的には、英語の部品である「単語・語彙」から始めて、その部品の組み合わせ方や並べ方である「文法・語法」に進んで、それを使って文を読んだり書いたりする「長文」や「英作」に至るのが理想的でしょう。でも、他にもやらなくちゃならないことがあって英語ばっかりやってられないし、英語が勝負科目にはならない場合が多いので、短時間の内に全部一度にやらなくてはならなくなります。ですから、どっから手を付けてもOKですよ!ただし、分からないことを分からないままで放っておかないことです。あ、薮研には「検索窓」があるので、それを大いに利用してくださいね。上田君の健闘を祈ってますよ。

2 Comments

  1. TK wrote:

    県大の先輩に教材について質問したいです。このコメントの場所でいいですか?

    木曜日, 8月 9, 2012 at 10:02 PM | Permalink
  2. yabu wrote:

    はい。ここでかまいませんよ。「諸戸(もろと)先輩」と言います。薮下がコメント欄から投稿欄へ移しておきます。

    金曜日, 8月 10, 2012 at 5:53 AM | Permalink

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