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【講義ノート86】「慣用的な分詞構文」って何それ?

■率直に言って、この仕事は退屈だと思う。
Frankly speaking, I think this work is boring.
▼もし僕が率直に言うことができるのならば、この仕事は退屈だと思う。
If I can speak frankly, I think this work is boring.

 

「習慣的な分詞構文」なんて、覚えてしまえば終わりなのですが、「習慣的な分詞構文」という言い方が論理的に矛盾しているんだよ!という話をちょっとだけさせてください。
分詞構文は一種の「省略表現」です。そして、省略表現が成り立つのは、省略が習慣的に行われているからです。だから文が安定するのですよ。普段やらないような省略を勝手にやると、文が不安定になって何が書いてあるのかサッパリ分からなくなります。そのわけで、分詞構文は全て習慣的なものじゃないといけません!なのに、「習慣的な分詞構文」なんて言ってしまうと、まるで「習慣的じゃない分詞構文」があるように聞こえます。だから、「習慣的な分詞構文」という言い方は本当はダメなのですよ!
分詞構文は「省略しても元の形が分かる」くらい文が安定している必要がありました。そして「省略しても、元の形が分かる」とは次の2つの条件を満たしていなければなりません。
・前にも後にも同じモノがあるので、2つなくても分かる。
・皆んながいつも使うので、なくても分かる。
 例えば、分詞構文の第2手順を思い出してください。「主語な同じなら消す」だったよね。ほら!同じ主語が主節と副詞節とに2つあるから省略できるんだよね!じゃあ、第1手順「接続詞を消す」ことができるのはどうしてかというと、「AするときB」「AなのでB」の2つが皆がいつも使う論理表現だからです。言い換えると、たった2つだけなのだから、どっちが省略されても直ぐに分かるわけですね。最後に、第3手順「動詞を現在分詞に換える」はどうしてかというと、これは省略したゾ!という目印です。ま、わんこのマーキングみたいなものですね。「ここは僕の縄張りだぞ!」てな具合です。
じゃあ、今日の例文を見てください。接続詞は If です!「もしならばB」は「皆んなが使う論理表現」などではなくて、とても不安定なので本当は If なんか消してはいけないのです!じゃあ、なぜ If を省略してしまうのかというと、「AするときB」や「AなのでB」ほどは安定感はないけれど、それでも皆んながよく使う表現だからです。この種類の分詞構文を、英文法では「独立分詞構文」と言って、「AするときB」や「AなのでB」とは区別します。で、最初に戻るのですが、この種の分詞構文は「覚えてしまえば終わり」なのですが、こう考えてみると、結構面白く覚えられそうですよね。
慣用的な「独立分詞構文」を並べてみると分かるのですが、ほとんどが If がらみです。
・厳密に言って(strictly speaking) → もし厳密にいうのであれば
・一般的に言って(generally speaking) → もし一般的に言うのであれば
・~から判断すれば(judging from~) → もし~から判断するのであれば
・~を考慮に入れると(taking ~into consideration → もし~を考慮にいれるとすれば
仮に~だとしても(supposing~) ← これはモロ条件文ですよね!
ね!「慣用的」なのは、ほとんどが条件文を分詞構文化したものだと分かるでしょ!
【第20章 分詞(2)】例文173

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