Skip to content

【講義ノート85】「Aして、そしてBする」の2つのタイプ

■鞄から鍵を取り出して、そして彼はその箱を開けた。
Taking out a key from his bag, he opened the box.
去年福島県で大きな地震が起こり、そして原子力発電所に大きなダメージを与えた。
A major earthquake occurred in Fukushima Prefecture last year, causing severe damage to the nuclear power plant.
この2つの例文はどちらも「Aして、そしてB」の意味の「連続」を表しています。【講義ノート81】で勉強したように、主節と副詞節とが「同時」か「連続」の関係にある場合、文は「安定」しましたね。でも、よく見てみると、同じ「連続」でも、上の方は前半部分が分詞しているのに対して、下の方は後半部分が分詞しています。
じゃあ、同じ「連続」なのだから、前後をひっくり返しても良いのでしょうか。つまり、こんな具合です。
■鞄から鍵を取り出して、彼はその箱を開けた。
He took out a key from his bag, opening the box.(×)
去年福島県で大きな地震が起こり、原子力発電所に大きなダメージを与えた。
Occuring in Fukushima Prefecture last year, a major earthquake caused severe damage to the  nuclear power plant.(×)
この様に、同じ「連続」なのに、分詞する部分を前後ひっくり返しても文は成り立ちません!どうしてかというと、「連続」には「動作の連続」と「因果の連続」とがあります。上の例の「鍵を取り出して、箱を開ける」は一連の動作が連続して行われていますね。一方、下の例は「地震の発生」が原因となり、その結果「原発に甚大な被害」を引き起こしています。つまり、「原因→結果」の連続性が述べられているわけです。まとめるとこうなります。
・2つの出来事が「連続」す動作である場合には、前半部分を分詞化する。
・2つの出来事が「連続」する原因と結果である場合には、後半部分を分詞化する。
理由は簡単で、分詞される部分が「どうでもよい」部分だからです。例えば、連続する2つの動作を考えると「朝起きて、そして歯を磨いた」とか「靴を履いて、そして家を出て行った」や「手を挙げて、そして発言した」などの「Aして、そしてBした」のAもBも重要性の上でほとんど差はないようにも思うのですが、逆にあまり差がないから今に近いBの方に力点が置かれるのですね
一方、連続する原因と結果の場合は、「原因」に力点が置かれます。つまり、なぜそんな結果が引き起こされたのかが大切なわけですね。同じ「連続」でも、動作の「連続」と因果の「連続」では分詞構文される部分が違うことがこれで分かりましたか。「何だかとっても面倒くさいな!」と思っている子がいたらご安心を。動作の「連続」は物語文に、因果の「連続」は論説文にしか出てきませんよ!
あ、動作の「連続」でも「往来発着」動詞のarriveやleaveを使う場合には、後ろの方が分詞されます。どうしてかというと、「往来発着」の場合、連続する動作に偶然性がほとんどなく必然性に満ちているからだと考えてください。つまり、連続する動作に偶然性が高い場合は今に近い後ろに、必然性が高い場合は開始動作である前に力点が置かれるというわけです。
この列車は東京を9時に出発して、大阪に12時に到着します。
This train leaves Tokyo at nine, arriving in Osaka at twelve.
【第20章 分詞(2)】例文167

2 Comments

  1. C510Y wrote:

    受験勉強について
    エンジン全開で勉強するとき、
    してはいけないこと、
    どういう状態にはなっていけないかということ、
    そして、
    趣味の時間は最小限といっても
    どれくらいに抑えればいいか
    経験から教えてください
    お願いします

    日曜日, 1月 8, 2012 at 8:34 AM | Permalink
  2. yabu wrote:

    C510Y君!本気で受験勉強に取り組もうという君の意気込みを感じますね。先ず、「してはいけないこと」は、途中で止めないことです。受験勉強は重たい石を持ち上げるのに似ています。頑張って持ち上げても、途中で手を離してしまうと石は決して宙に浮かんでいてはくれません。下までストンと落ちてしまいます。一生懸命積み上げた勉強も、途中で止めてしまうと頭の中からキレイさっぱり無くなってしまうと思っていてください。次に「趣味」についてですが、これは優先順位の問題です。前に薮下は、君が名大農学部に挑戦するのを「とてもやりがいのある仕事」と書いたのを覚えてますか。受験勉強で一番肝心なのは、それを「趣味」にするのではなく「仕事」にすることです。「趣味」というのは、好きなときに好きなだけできるのですが、目標がハッキリせず終着点がありません。ですから、何年経っても趣味でやっていては名大農学部には入学できないと言うことになります。「仕事」とは、生活のために必ずやらねばならないことですから、好きなときに好きなだけとはゆきません。そして、当然途中で止めることはできません。さらに「期限」があります。薮下が授業の合間に良くこう言うのを覚えてますか?仕事の計画に必要なのは、「いつまでに」「何を使って」「どの様なやり方で」やるのかを判然とさせることですよ!それさえハッキリしていたら、その合間に趣味に没頭しようが、彼女とデートしようがかまいませんよ!そして、一番肝心なのはやり始めることです。人間、何が一番難しいかって、何事も取りかかるのが難しい。なかなか始まらないのですよ!「よし!やるぞ!」と思っても、部屋の掃除をしたり、本棚を整理したりしてませんか?ですから、仕事の計画が立ったら、先ずは気楽に始めることです。一度、仕事に手が着くと、興味が湧いてくるし、何が必要で、何が不要かが見えてきます。地図を眺めているだけじゃなくて、地図を頼りに目的地に向かって伸びる道に一歩を踏み出さないといけません。ま、今から始めましょう!地図はいくらでも用意がありますよ!

    日曜日, 1月 8, 2012 at 3:25 PM | Permalink

Post a Comment

Your email is never published nor shared. Required fields are marked *
*
*