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【講義ノート76】分詞は動的な形容詞・その2

■大きな花瓶
a big vase
■壊れた花瓶
a broken vase
前回と同じように、先ず「限定用法」から見てみましょう。big も broken も名詞 vase にピッタリひっついて vase を飾っていますから「限定用法」だと分かります。そして、big が花瓶の静的な属性であるのに対して、broken は人が花瓶に与えた動的な行為の結果です。つまり、「壊れた」とか「壊された」という状態が動的なのではなくて、「壊れた」のは意志を持つ者の動作がもたらした状態なわけです。現在分詞が「人が何かしている」状態であるのに対して、過去分詞は「モノが人によってされた」状態なのです。両方とも人の行為が原因だという共通点があって、その意味で両方とも動的なわけです。あ、ここにもまた「人はする、モノは人によってされる」が出てきましたね!
■この花瓶は大きい。
This vase is big.
■この花瓶は壊れている。
This vase is broken.
今度のは「名詞 is 形容詞」の関係を使って名詞を飾っている「叙述用法」だと分かります。そして、big が形容詞であるのなら、それと同じ使い方をして、限定・叙述の2つの用法がある broken も形容詞だと分かります。これで過去分詞が形容詞であることが証明されました。ここでもやっぱ言わせてもらうと、中学で受け身が出てきたとき「be+過去分詞」が「~される」と教わりましたね。これもやっぱり真っ赤なウソで、過去分詞そのものに「~される・された」の意味があるのであって、be動詞は全く関係ないのですよ!
■大きな花瓶
a big vase
■この花を生けるには大きすぎる花瓶
a vase too big for the flowers.
ETの法則」を覚えていますか。忘れた子はここを参照してください。限定用法の形容詞もこの「ETの法則」に従います。だから、1語だけの短い形容詞bigはvaseの前に付いてますが、2語以上の長い形容詞 too big for the flower は vase の後ろに回ってますね。
■壊れた花瓶
a broken vase
■トムが壊した花瓶
a vase broken by Tom
過去分詞も形容詞ですから、やっぱり「ETの法則」に従います。broken1語だけだと軽いのでvaseの前に置けますが、broken by Tomになると重たくなってしまうのでvaseの後ろに回さないと文が安定しません。
■彼女はとても魅力的な女性だ。
She is a very charming girl.
■僕はずっと歩いたのでとても疲れたよ。
I am very tired after a long walk.
他動詞charmには「うっとりさせる」、他動詞tireには「疲れさせる」の意味があります。薮下はこの種の他動詞を「させる系」と呼んで他の他動詞と区別しています。あ、「させる系」を忘れた子はここを参照してくださいね。この「させる系」が現在分詞や過去分詞になると、「うっとりさせている」とか「疲れさせられる」という動詞臭いの意味、言い換えると動的な意味が消えてしまい、「魅力的な」とか「疲れている」という静的な状態の意味が際立ってきます。このように、動的な意味を失った現在分詞や過去分詞のことを「分詞形容詞」と呼んでいます。このことからも、「分詞は形容詞だ!」と言うことが分かりますね。
【第19章 分詞(1)】 例文155・156

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