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英語という教科

僕らが何をやって良いか分からないのは、なにも家電製品のデザインだけではありません。中学からずっと勉強しているのに全く実用的に役に立たない英語という教科も同じです。中学じゃ遅いんじゃないかと言うので、小学校から始めるようにしたのですが、英語で遊んでいるだけなのであんまり変わり映えしません。高校でも2013年度から学習指導要領が変わり、生徒が英語を使って考えて、判断し、自分の意見を英語で表明できるようにしろと文科省は言います。ま、それも理念としては正しいのですが、そのための道具である教科書の英語が変です。例えば三省堂の『CROWN English CommunicationⅠ』にあるこんな英語です。
Umi-no-Mori will help to do just that.  Tokyo and Tadao Ando hope it will be a success. And many of us hope that success will grow and spread around the world.(Lesson2・A Forest in the Sea)
「東京都と安藤忠雄はこのプロジェクトは成功すると期待している。そして私たちの多くが、その成功が発展して世界中に広がるだろうことを願っている」(Teacher’s Manual)
日本語訳を見ても、「成功が発展して」には違和感がありますよね。英語でも、successとgrowは結びつきません。つまり、successがgrowすることなんかないのです。一体誰がこんな英語を書いたのでしょうかね?多分「この成功が何かの発展に結びつく」とかいう日本語の発想から出てきたのでしょうが、こんな変な英語では「日本語的思考」はできても、「英語的思考」はとっても無理です。
『CROWN English ExpressionⅠ』にもたくさん変な英語が出てきます。例えばこんなやつです。
Kunieda Shingo can hit a very fast service.(Lesson3・金メダルを目指して)
「国枝慎吾はとても速いサーブを打つことができる」
「速いサーブを打つ」は普通hit a fast serveとは言ってもhit a fast serviceとは言いません。native speakers が fast service と聞いて思い浮かべるのは「迅速なサービス」の方。テニスでserviceを使う場合はゲームを指していて、「サービスゲームをキープする= keep one’s service」とか「サービスゲームを落とす= lose one’s service」の様に使い、「サービスを打つ」なんて言いません。三省堂はこれで全く信用がなくなりました。
薮下はいつも思うのですが、なぜnative English speakersと一緒に考えて作らないのでしょうかね?多分、どこかの大学で教えていらっしゃるとっても権威のあるお爺さんかお婆さんがやっておられるのでしょうが、これじゃあ全くダメです。

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