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早稲田大の内容一致問題(4)

今日は選択肢dを考えてみましょう。こんな具合です。
Some people protest against the demolition of certain monuments because they feel conflicted between taking responsibility for the past and honoring the past.
過去対する責任を感じる一方で、過去を褒めたたえたいという対立する感情があるので、くだんの記念碑を取り壊すことに抗議する人もいる。
これは次の本文の具体的内容を抽象化した物であることがお分かりだろうか?
The outcry about the removal of the statue shows that some people in Britain are uncomfortable with any critique of Britain’s past.  But they want it both ways: to be free of guilt for historical sins, but to be proud of what they see as historical achievements.
英国人が立像の撤去に抗議することから次の様なことが分かる。彼らの一部は英国の過去に対するいかなる批判をも不愉快に思っている。しかし、歴史的悪行の罪悪感から解放されたいと同時に、自分たちが歴史的偉業だと思っているものを誇りたいという2つのことを彼らは望んでる。
protest(抗議)がoutcry(激しい抗議)と言い換えられていること、そしてdemolition of certain monumentsがremoval of the statueだと分かれば簡単ですね。「歴史的悪行の罪悪感から解放されたいと同時に、自分たちが歴史的偉業だと思っているものを誇りたいという2つのこと」という具体的な本文が抽象化されて「過去対する責任を感じる一方で、過去を褒めたたえたいという対立する感情」という選択肢になっています。
具体的に詳説されている本文の内容が、選択肢ではその具体性が捨象され抽象化されて「毛を刈られた羊」のようになっている、これが早稲田の正解の選択肢の特徴です。

早稲田大の内容一致問題(3)

今回は正解の選択肢の性質を考えましょう。言い換えると、早稲田の作問委員の先生は正解の選択肢をどうやって作るかを熟思するのです。これが分かっていないと早稲田に合格はできません。
入試問題は霊感や山勘で解いてはいけません。ましてや、本文で使われているのと同じ単語や表現が使われているからという理由で選んではいけませんよ!
選択肢bとdが正解なのですが、前回に抽出した著者の主張と比較してみましょう。先ず、bから考えます。
b. Some people object to the idea of coming across certain kinds of historical memorials since they feel they are too horrendous.
一部の人々は、歴史的な記念碑(=立像)を偶然見かけるなんて考えたくもない。なぜなら、その立像は極めておぞましいと感じるからだ。
object to the ideaは「考えに反対する」よりも「考えるのを嫌う」とか「考えたくない」が良いでしょう。赤本の日本語訳はちょっと壊れてますね。
では、本文で展開されている著者の主張はどうなっているのでしょうか?
But the men whose statues are being pulled down are not abolitionists but enslavers: owning up to their crimes is much more difficult for many British people than simply walking past them in the street.  And for other British people, having  to see these statues every day, sitting in lecture theatres and concert halls named after these men, is a daily act of violence that has become unbearable.
しかし撤去されている像のモデルは奴隷制度廃止論者ではなく奴隷所有者だ。彼らの犯した犯罪を認めることは、多くのイギリス人にとって、単にその前を通り過ぎるよりもはるかに難しいことだ。そして他の一般のイギリス人にとってこれらの像を毎日見なければならないこと、これらの人々にちなんだ講堂やコンサートホールに座ることは、耐えがたい日常的な暴力行為となってきてる。
選択肢bが下線部の記述と一致していることが分かりますか?よく見比べると、本文の主張の方はとても具体的で詳細な記述ですね。
「これらの立像を毎日見なければならないこと、こういう人たちの名前にちなんだ講堂やコンサートホールに座ることは耐えがたい日常的な暴力になってきている」
これが選択肢bになると具体性が切り捨てられ、抽象化されてヌルッ!ツルッとした惚けた文になっています。
一部の人々は、歴史的な記念碑(=立像)を偶然見かけるなんて考えたくもない。なぜなら、その立像は極めておぞましいと感じるからだ。

早稲田大の内容一致問題(2)

早大教育大問Ⅰの内容一致問題は、設問の内容から著者の主張が2つかることが分かります。とても親切な問題ですね!
Which of the following statements best describes the author’s ideas in this paragraph?  Choose the TWO best statements.
ならば、先ずは当該段落の2つの主張を特定しましょう。そのためには、英語のロジックが分かっていないといけません。授業でやったのを忘れた人はここの「英語のロジック」をもう一度見直してください。ついでに、著者が主張を展開する構文もついでに見ておいてください。
  The outcry about the removal of the statue shows that some people in Britain are uncomfortable with any critique of Britain’s past. But they want it both ways: to be free of guilt for historical sins, but to be proud of what they see as historical achievements.  The most obvious example of this is the way that the British are comfortable talking about the slave trade only through Britain’s are comfortable talking about the slave trade only through Britain’s much-lauded part in ending the slave trade.  But the men whose statues are being pulled down are not abolitionists but enslavers: owning up to their crimes is much more difficult for many British people than simply walking past them in the street.  And for other British people, having  to see these statues every day, sitting in lecture theatres and concert halls named after these men, is a daily act of violence that has become unbearable.
像の撤去に強く抗議するのを見れば、イギリス人の一部が自分たちの過去に対するあらゆる批判に対して不快感を抱いていることは分かる。しかしながら、彼らがそれならどうして欲しいのかという、それには2つの方向がある。すなわち、歴史的な罪悪感から解放されたいと同時に、彼らが歴史的な業績と見なすものを誇りたくもあるということだ。最も顕著な例は、イギリスが奴隷貿易について話す際、奴隷貿易を終結させるためにイギリスが果たした誇るべき役割をうれしそうに話すその話し方だ。しかし、撤去されている像のモデルは奴隷制度廃止論者ではなく奴隷所有者だ。彼らの犯した犯罪を認めることは、多くのイギリス人にとって、単にその前を通り過ぎるよりもはるかに難しいことだ。そして他のイギリス人にとって、これらの像を毎日見なければならないこと、これらの人々にちなんだ講堂やコンサートホールに座ることは、耐えがたい日常的な暴力行為となっており、これは耐え難くなってきてる
「英語のロジック」のパターンと同じですね!授業でやったフワちゃんの話を思い出してください。全く同じ論理展開であることを確認してください。「一般的な意見」と対立する形で「著者の意見」が展開され、それを裏付けるための「理由・根拠」と「具体例」が示されています。
「みんなフワちゃんのことをブスだ、ブスだというけれども僕は彼女が美人だと思うなぜならフワちゃんのお母さんも美人だし、魅力的なところを具体的に挙げると、あの「大きな目」や「形の良い唇」はステキだよね。
これで著者の主張が判然としましたね!次回は選択肢を考えてみましょう。

聖賢の書を空しく読むのみならば、譬えば人の剣術を傍観するも同じ

これは西郷さんが書いた『南州翁遺訓』の36番目の訓戒です。聖人や賢人が書いたものを単なる知識として読むことは、人が剣術をするのを傍観しているのと同じで何も身につかないと言っています。聖人や賢人の行いの底にある知恵を感得することで初めてその言葉が身につくと言ってます。
これと同じで、単語や熟語、文法や構文を知識として暗記しただけでは、著者の言いたいことを把握できません。ま、知識も必要なのですが、レトリックが分かっていなければ著者の主張は掴めず、入試問題も解けません。確認テストや定期テストの勉強をいくらやっても難関大学に合格できないのはそういうわけです。センターテストから共通テストに移行する際に、大学入試センターの作問委員が考えたのが「事実と意見の区別」、昨年から代わった早大の作問委員が考えたのが「具体的記述の抽象化」です。ま、早大の設問を使ってゆっくり説明してあげます。

早稲田大の内容一致問題(1)

体調が思わしくなく、なかなか学校に行けません。動けるようになるまでちょっと待っててください。あ、前回の2023年度早稲田大学教育の「文頭のto不定詞」の投稿を待ってますよ!暗記しているだけでは英検は合格できても入試問題は解けません。ちゃんと自分の頭で考えましょう。
今日は、同じ早大教育大問Ⅰの内容一致問題を考えましょう。この問題の解き方が分かれば早慶上智の内容一致問題の特徴が分かります。
  The outcry about the removal of the statue shows that some people in Britain are uncomfortable with any critique of Britain’s past. But they want it both ways: to be free of guilt for historical sins, but to be proud of what they see as historical achievements.  The most obvious example of this is the way that the British are comfortable talking about the slave trade only through Britain’s are comfortable talking about the slave trade only through Britain’s much-lauded part in ending the slave trade.  But the men whose statues are being pulled down are not abolitionists but enslavers: owning up to their crimes is much more difficult for many British people than simply walking past them in the street.  And for other British people, having  to see these statues every day, sitting in lecture theatres and concert halls named after these men, is a daily act of violence that has become unbearable.
Which of the following statements best describes the author’s ideas in this paragraph?  Choose the TWO best statements.

a. Some people believe that walking past statues of historic figures would lead to the redemption of their historical sins and the restoration of Britain’s achievements.
b. Some people object to the idea of coming across certain kinds of historical memorials since they feel they are too horrendous.
c. Some people claim that historical statues should not be publicly exhibited, and that they should be preserved somewhere unrelated to the former British colonies.
d. Some people protest against the demolition of certain monuments because they feel conflicted between taking responsibility for the past and honoring the past.
e. Some people insist that monuments of former slave owners are important because they help people reflect on their historical background.
単語集には載っていない単語がたくさん出てきますね!辞書を引きながら頑張って解いてみてください。あ、知らない単語が出てきても解き方が分かっていれば正解にたどり着けます。ちょっと時間をあげましょう。

文頭のto不定詞

次の英文は去年の早稲田大学ー教育(文科系)大問Ⅰに出てきます。不定詞は今週授業で勉強しましたね!「ことシリーズで名詞」か「ETで形容詞」か「はみ出しtoで副詞」かを考えてみてください。この英文が設問6の根拠文になっています。この不定詞が分かれば早稲田に合格します。
For the British to be ashamed of their imperial history, they would have to know about it and to understand both the worst excesses of imperial violence and the simple daily injustice of imperia rule.
ヒントをあげます。for me to goが「私が行くこと」なら、for the British to be ashamedは「英国人が恥ずかしがること」です。あ、「ことシリーズで名詞」なら「こと」になりますが、この早大の英語は「こと」でしょうかね?考えてみてください。
wouldは「もしかすると」「やろうと思えば」「できることなら」でしたね。ここでは「できることなら」がピッタリです。赤本はwouldが訳出できていません。この和訳では京大には合格できません(笑)。
andが作る対称形をちゃんと考えると、1つ目はhave to knowと[have] to understandが結ばれていること、2つ目はA of Bが結ばれていることが分かりますね。
the worst excesses of imperial violenceのA of Bは「大英帝国の暴力が引き起こした最悪の過ち」、the simple daily injustice of imperia ruleのA of Bは「大英帝国支配下で行われていた日常的な不正義」くらいの意味です。「Bの持つA」「Bに所属するA」の意味の「所有格のof」ですが、意訳するとこうなります。あ、赤本の和訳がまた間違っています(笑)。愚かにもsimpleを「単純な」と訳出していますね。相変わらず赤本の解説者はレベルが低いです。
文頭のtoですから、飾られる名詞がないので「ETで形容詞」の可能性はありません。だから「ことシリーズで名詞」か「はみ出しtoで副詞」かのどちらかです。分かった人は投稿してください。

「It – for – to」と「It – of – to」

昨日、論理表現の授業でやった「It – for – to」と仲の良い形容詞、「It – of – to」と仲の良い形容詞について説明してあるブログへのリンクを掲載します。これを見たら分かるのですが、薮下が授業で話す内容はこの「薮研」に全部掲載されています。ですから、自分で勉強しようと思ったらいくらでもできますよ。
「It ~ of ~ to」と仲の良い形容詞、「It~for~to」と仲の良い形容詞

語句整序は「つなぎ語+1=動詞」で解く(2)

早大教育2021年度の大問Ⅳにも語句整序問題が出題されています。こんな具合です。
  Altogether, research reveals that the positivity bias [ as / present / years / is / of / early / as / 3 / age], peaks in middle childhood, and weakens only in late childhood.
つなぎ語は接続詞のas1語、動詞もis1語ですから動詞が1つ省略されています。isの主語になる名詞the positivity biasは既に与えられています。 isの補語(形容詞)候補はpresentとearlyです。
the positivity bias is present
the positivity bias is early
「同じくらい」の意味の副詞asと結びつくのはearlyしかありませんから「同じくらい早くから」のas earlyにすると次の様になります。
■同じくらい早くからポジティブバイアスが存在する。
the positivity bias is present as early.
何と比べて「同じくらい早いのか」を「つなぎ語as」が表現しますね。あ、as early asの2つのasの働きが区別できないといけません!前のasは「同じくらい」の意味の副詞、2つ目のasは「~と比べると」の意味の接続詞です!このことは中学の時に習得しておかないといけません。さて、ここで考えられるのは次の英文です。
彼らが2才であるのと比べると、それを同じくらい早くからポジティブバイアスが存在する。
the positivity bias is present as early as [they are] 3 years of age.
the positivity bias is present as early as [they are] 3 years old.
知識としては「3 years old」が「3 years of age」と同じ意味だと分かるがどうかです。そして省略されていた動詞が areだと分かります。

語句整序は「つなぎ語+1=動詞」で解く

2021年度早稲田大・教育の大問1(1)は語句整序問題です。ほとんどの生徒が語句整序を知識問題だと思っています。先生のなかにもそう教える人がいますが、知識で解けるのはFランク大学の入試問題だけです。
語句整序問題は次の手順で解きます。
①つなぎ語は四角で囲む
②名詞は< >で挟む
③動詞にはアンダーラインを引いて個数を示す数字を書き込む
④動詞が取りうる文の構造パターン(文型)を考える。
⑤つなぎ語が生み出す文の多重構造に考慮する。
⑥名詞には<主語><動詞の目的語><前置詞の目的語>の機能を割り当てる。
⑦冠詞や副詞・形容詞は後回しにする
⑧文意・文脈から攻めず、理詰めで行く。
③の手続きで使うのが「つなぎ語+1=動詞」の法則です。次の英文のつなぎ語と動詞に注目してください。
I know a lot of people who live in Japan.
つなぎ語は関係代名詞のwho、動詞がknowとliveですから「1+1=2」の等式が成り立ちますね。つまり、つなぎ語が1つなら動詞の数は2つ必要だと言うわけです。関係代名詞や縦続接続詞のthatは省略されることがあるので気をつける必要があります。これは代々木ゼミナールの富田一彦が提唱した法則です。では実際に早大の語句整序問題を8つの手続きを踏みながら解いてみましょう。
After weeks of lecturing in Japan to students with a good command of English, Hazel wondered why the students did not say anything―no questions, no comments.  She assumed [ in / ideas / she / that / from / were / interested / different / was / hers / students ], so why was there no response?
動詞はassured, were, wasの3つですから、つなぎ語が2つ必要です。つなぎ語候補はthat1つしかないので、もう1つは省略されていることに気がつきます。では次に主語候補の名詞を拾い出しましょう。
・ideas
・she
・students
すると、she was interested inは確定です。群動詞was interested inの目的語はideasかstudentsです。 hersだと「彼女は彼女の物に興味があった」と脈絡不明の文になります。もう1つの動詞wereの主語はideasで、 ideas were different from hersだと辻褄が合います。すると、次の2文が確定します。
She was interested in ideas.
Ideas were different from hers.
ここから、つなぎ語thatは関係代名詞が確定し、2文をthatでつなぎます。
She was interested in ideas that were different from hers
彼女は自分のとは異なっているアイデアに興味があった。
次にassuredが導く文型を考えると「assure+何を(that文)」が思い付くので・・・
She assured [that] she was interested in ideas that were different from hers.
となり、省略されている「つなぎ語」が従属接続詞のthatだと分かります。さて、studentsが余りましたが、「assure+誰に+何を」の第4文型に思い至れば正解にたどり着けます。
[解] She assured students [that] she was interested in ideas that were different from hers.
どうでしたか?この語句整序問題のキモは「assure+誰に+何を」を思い付くかどうかだということです。このように、序列問題は理詰めで解きます。特に、「つなぎ語+1=動詞」が重要でしたね。このお陰でthatの省略をあぶり出すことができました。

早大英語と等位接続詞が作る対称構造

高1のコミュニケーション英語のために薮下が作ってる教材には「英語の読み方」が8つ書いてありますね。こんな具合です。
1.前置詞+名詞は他の部分から切り分けて形容詞か副詞かを考える。
2.and、but、orが出てきたら直後に注目し、直前に同じ形を探す。
3.a、an、theが出てきたら名詞を探す。
4.助動詞の後ろには動詞がある。be~toや~toを助動詞考えれば簡単に動詞が見つかる。
5.文中副詞の後ろには(一般)動詞がある。文中副詞のほとんどが「-ly」の形をしている。
6.文異常だと思ったら、倒置・省略・挿入を疑う。文頭に前置詞+名詞があり、直後に動詞があれば倒置。
7.A of Bが出てきたら「BがAする」「BをAする」「Bの持つA」「BというA」「AのB」を特定する。
8.that、-ing、to-が出てきたら「名詞」「形容詞」「副詞」を特定する。, -ingのコンマ(,)の省略に注意。
この2番目のルールを使って2021年度早大教育学部の大問1(3)を解いてみましょう。空所補充問題は等位接続詞が作る対称構造を考えると簡単に解ける場合があります。
Shinobu was curious (  3  ) American students shouldn’t just listen to a lecture and why they felt the need to be constantly interrupting each other and talking over each other and the professor.
①about what
②about why
③as to
④as for
andの直後に注目して、直前にも同じ構造を探します。andの直後は「why+文」ですから、直前にも同じ構造があるはずだと考えて②を選びます。ね、簡単でしょ!
念のために検算をしてみましょう。空所の直後にはAmerican students shouldn’t just listen to a lectureという文が来ているので、前置詞のtoやforが文の直前には来れません。前置詞は「名詞の前に置く詞(ことば)」で、文の前に置く詞ではありませんからね。だから③④はあり得ません。そして関係代名詞what(あるいは間接疑問文)が来るのなら、直後は不完全文になるはずですが、American students shouldn’t just listen to a lectureは完全文ですから①もありえません。やっぱり②が正しかったことが分かります。そして、授業でやってる「英語の読み方」がとても重要であることが分かりますね。普段から対称構造を意識して英語を読まないといけません。この対称構造に言及していない赤本の解説は全然ダメです。
ちなみに、2つ目のandはinterruptingとtalkingの動名詞を結んでいるのが分かりますか?明日は同じ早大の「語句整序問題」を解いてみましょう。語句整序問題の解き方が分かります。