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森田君の挑戦(27)

<問題>2012/2013阪大入試実戦模試・外国語学部用 
人生には何の保証もない。(1)日々の精進が明るい未来を保証するわけではない。大きな災難が突如襲いかかり、あなたを奈落の底へと突き落とし、ただ悲観に暮れる日々を送るだけになってしまうかもしれない。(2)しかし、その不幸な出来事が思わぬ可能性の扉を開くこともあるのだ。かのシェークスピアも「この世は舞台、人はみな役者」と述べているが、私は真摯な役者でありたいと思っている。(3)自分がこの世でなそうとしていることに嘘偽りはなく、そこに微塵の迷いもないと言い切れる自分でありたいと思う。

<答案>

(1)Everyday(-2) striving doesn’t always ensure the(-1) happy future.  Suddenly you may face the(-1) big disaster and it may make you feel something like death(-3), and may make you a person who leads a life which is full of sadness.
(2)However, that unfortunate incidents(-2) may provide us with an expectable(-2) possibility which can be a chance to lead a happy life.
(3)I wish I were a man who can declare what he wants to do in his life and who doesn’t hesitate to say it.
<読者への挑戦>
赤い部分の英語が間違っています。さて、どうしてそれが間違っているのか、またどうすれば正しい表現になるのかを考えてみてください。
<添削>
これは駿台予備校の「阪大入試実戦模試」で出題された英作文の問題です。森田君もこの模試を受験したのですが、彼は駿台の採点に不満があるらしく、答案を薮下の所に持ってきました。面白そうなので、薮下も採点してみることにしました。
①Everyday striving
「毎日一生懸命努力すること」の表現ですが、striving everydayにしなくてはなりません。確かに、「everyday+名詞」の言い方もあります。こんな具合です。
日常体験
everyday experience
でも、動名詞の前にeverydayは付けません。なぜかというと、動名詞にする前がstrive everydayなのだから、その語順のまま動名詞化してstriving everydayにするのが普通だからです。森田君の答案のようにeverydayを文頭に置くと、文修飾になってしまい「毎日保証するわけではない」の意味になります。
②the happy future、the big disaster
文脈から判断すると、特定できる具体的な「明るい未来」や「大きな災害」のことを言ってるわけではないので、theではなくてaにしてやります。
③something like death
something like Aは「Aの様な物」の意味だから、feel something like deathだと「死のようなものを感じる」ことになってしまい、「奈落の底へ突き落とされた感じ」にはなりません。これは「ものすごくガッカリする」の意味だから、make you feel despairとかfeel deeply disappointedとしてやります。
④that unfortunate incidents
このincidentは前の文の「大きな災難(a big disaster)」を指しているのだから単数扱いじゃないといけません。森田君もそれに気がついていたので指示代名詞をthoseじゃなくてthatにしています。ならば、ちゃんとつじつまを合わせてthat unfortunate incidentにしてやらなきゃなりません。これはcareless mistakeですね。
⑤an expectable possibility
expectableは「予想される」の意味で、可能性とは当然「予想される」ものなので、expectable possibilityだと「頭痛が痛い」と同じです。そして「予想される」ということは「起こって当然の」ことなわけですから、可能性は100%ということになります。逆に「思わぬ可能性」はunexpectable possibilityかというと、こんな英語もありません。なぜなら、予想できないものの可能性なんてゼロに決まっているからです。言い換えると、[un]expectableとpossibilityとは普通一緒には使わないのです。そもそも、このexpectableという単語はexpectとableをくっつけて作った造語で、普通はあんまり使いませんよ!
じゃあ、「思わぬ可能性」をどう表現するかというと、薮下がいつも言っている英文法の中で一番大切なルールを思い出してください。「人はする、物は人によってされる」でしたよね。つまり、「可能性」は人によって期待されるのですからunexpected possibilityとしてやります。
さて、駿台予備校の採点はこんな具合でした。
(1)Everyday striving doesn’t always ensure the happy future.  Suddenly you may face(-3) the big disaster and it may make you feel something like death(-3), and may make you a person who leads a life which is full of sadness.
(2)However, that unfortunate incidents(-2) may provide us with an expectable(-2) possibility which can be a chance to lead a happy life.
(3)I wish I were a man who can declare what he wants to do in his life ヌケ(-3)and who doesn’t hesitate to say it(-3).
(1)では、訂正箇所が薮下のと違うのがちょっと気になりますね。Everydayや冠詞のtheは減点せずに、faceを-3にしちゃってますが、faceは正しい表現ですよ!(2)に関しては薮下と全く同じ採点結果です。最後の(3)ですが、薮下には減点すべき箇所が見あたりませんでした。でも、駿台予備校は「嘘偽りはなく」に当たる英訳がないと判断して-3点、who doesn’t hesitate to say itも3点を減点しています。でも、これは「自分が人生でやりたいことはこれだと本当に心から言える人間、そしてそれを少しの迷いもなく言えるような人間でいたい」と具体化できて、declareの中に「嘘偽りなく=本当に心から」は含まれますよ!だって、declareはstate emphatically and authoritativelyの意味なのですからね。それに、who doesn’t hesitate to say itのどこが間違っているのか薮下にはさっぱり分かりません。おそらく、採点結果の公平性を保つために、正答例以外の表現は減点し、誤答例に載ってない表現は減点しないのでしょうが、「正しい英語」から6点も減点するのはどうかと思いますよ!  ま、これが受験英語クイズの限界なのでしょうがね。

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