Skip to content

森田君の挑戦(11)

<問題>
1999年度・京都大学

早起きは苦手という人が多いようだ。私も夜ふかしは平気だが、早起きはとてもつらい。ただ、所用で早く起きる日は気分が一新する。ほほを打つ朝の大気は優しく快い。一日がことさら長く、充実した時間を過ごした実感がある。よし、明日からはと心に決めるのだが、翌朝になるとその決心はにぶってしまう。

<答案>

A lot of people feel that getting up early is difficult.  I also feel this though I can easily stay up until midnight.  But I can be refreshed when I get up early because of some reason.  The air atmosphere in the morning is grace and makes me feel good.  I feel that the day is especially long and that I can spend satisfactory time.  So I decide to get up early everyday including the next day, but I cannot keep this decision / until the next morning.
<読者への挑戦>
赤い部分の英語が間違っています。さて、どうしてそれが間違っているのか、またどうすれば正しい表現になるのかを考えてみてください。
<添削>
森田君!「所用で」とか「明日からは」など、苦心の跡が見られますね。「所用で」や「用事があって」などは「仕事で(on business)」とは少し違っていて、「ちょっと用があって」くらいの意味ですから、because I have something to doとかfor some reasonとやるのが良いと思います。そして、君のbecause of some reasonでもちゃんと意味は通じますよ。「明日から」は普通は「starting tomorrow」と言うのですが、君のeveryday including the next dayでもOKです。 さて、今日は「大気が優しい」、「充実した時間を過ごす」、「決心が鈍る」、そして「翌朝になると」の4つの表現を勉強しましょう。
①The air atmosphere in the morning is grace.
僕ら日本人は、この「優しい」という言葉が大好きで、「理想の女の子」から「大気」に至るまで、何にでも「優しい」をつけたがります。でも、英語では朝の大気が「優しい」とは言いません。英語では空気が「気持ちがよい」とか「心地よい」の意味でthe air in the morning is pleasantとかthe air in the morning feels goodと言います。ですから、gentleとかtenderはもちろんのこと、graceなんて表現を「空気」には使わないのですよ。あ、graceは「優雅」とか「上品」の意味の名詞ですから、A is graceの形では使いませんよ!だから、ここではThe air in the morning is pleasant and refreshingとしてやります。
それにしても、「大気が優しい」なんて日本語もヘンですよね。こんな日本語を薮下は聞いたことがありません。それに、英語には「優しい空気」という発想がないことを分かった上で京都大学がこの英作文を出題したのなら、京都大学はとっても意地悪ですね。
②spend satisfactory time
森田君は「充実した時間」を「満足のいく時間」と読み替えてsatisfactory timeと英訳しました。確かにsatisfactoryを辞書で引くと「満足のいく」という訳語がついているのですが、これはどちらかというと「まあまあの」くらいの意味なのです。何かの成績やスコアをいくつかの段階に分けたときなどに「上、中、下」とか「優、良、可、不可」なんて言いますよね。その「中」とか「可」に当たるのがsatisfactoryです。だから、satisfactoryが使えるのは、成績やスコアのように、結果をグレードに分けることのできるものだけです。問題文の「時間」は等級分けすることなどありませんからsatisfactoryという形容詞は使えません。どうしてもsatisfyを使いたければ、副詞化してspend time satisfactorilyとすればOKです。「充実した時間を過ごす」なら、普通はspend quality timeとかhave a good timeと言います。
③I cannot keep this decision
受験用の熟語集には、「決心する」のmake a decisionやmake a resolveは載っていても「決心が鈍る」なんて載ってませんよね。森田君のやった「決心を維持することはできない」という読み替えはとっても面白いのですが、残念ながらこんな英語はありません。「決心が鈍る」とか「決心が揺らぐ」はone’s resolve is weakenedとかlose one’s resolveと表現します。だからここではmy resolve is weakenedとしてやります。是非、この機会に「make one’s resolve」と「lose one’s resolve」の表現をセットで覚えておいてくださいね。
④until the next morning
next morningだと今を基準にして「明日の朝」ですが、「次の日の朝」としたければtheを付けてthe next morningとしなければなりません。森田君はちゃんとこのことを分かっていたみたいですね。なかなか感心です。でもuntilを付けちゃダメですよ!だってuntilは、「それまでずっとある動作や状態が続く」場合に使いますから、明日の朝までずっと決心が鈍り続けることになってしまいます。「そのときまでならいつでも良い by」ならOKです。だから、ここではby the next morningとしてやります。あ、それに前置詞なしのthe next morningだけでもOKですよ。byは省略が可能だからです。

Post a Comment

Your email is never published nor shared. Required fields are marked *
*
*