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AKB47君からの質問

<質問>
以下は、1986年度の京都大学の下線部訳と赤本の解答です。
The result will be that robots and human beings will continue to advance along parallel paths, with each doing in ever better fashion that which each is fitted to do.  With our widely different talents, there will always be room for both human beings and robots.  As cooperating allies rather than as competing foes, we can achieve an ever greater understanding of the behavior of the universe and of the wise use if its laws, and do far more together than either could possibly manage alone.
その結果、ロボットと人間とは、それぞれに適したことをますます上手に行いながら、平行した道をたどって進歩し続けるだろう。それぞれの才能が大いに異なっているので、人間とロボットのいずれにも活動の余地は常に存在するだろう。競争し合う敵というよりもむしろ協力し合う同盟者として、人間とロボットは、宇宙の現象とその法則の賢明な利用方法をますますよく理解することができるし、ともに力を合わせれば、どちらか単独ではとてもできないほど大きな働きを果たすことができるのである。
advance along parallel paths(並行して走る道に沿って発展する)とは、お互いがたどる発展の道は交わることがないということなので、「独自の進歩を続けるだろう」と訳しました。赤本の解答には「平行した道をたどって」とあるのですが、僕の答案はダメでしょうか?
また、there will always be more room for both human beings and robotsのroomを「空間的な余地」と考えて、「人間とロボットとの間にはいつも隔たりがある」と僕は訳しました。でも、赤本の解答には「人間とロボットのいずれにも活動の余地は常に存在するだろう」となってます。赤本は、このroomを「活動の余地」くらいにしないと日本語にならないと言っているのですが、「人間の活動の余地」とか「ロボットの活動の余地」って今イチよく分かりません。僕のroomの解釈は間違っているのでしょうか?明快な説明をお願いします。
<回答>
AKB47君!もしかして君は赤本に挑戦しようとしているのでしょうかね?!何だかワクワクしますね。薮下はそんな君の挑戦的な態度が大好きです。それでは、君と赤本との勝負をしかと見届けさせてもらいましょう!
まず、advance along parallel pathsの君の解釈ですが、薮下も全くその通りだと思います。この「平行した道をたどって」は比喩的な表現なので、それをそのまま訳出しても意味がさっぱり分かりません。だから、君がやったように「独自の進歩を続けるだろう」とか「それぞれ別々の進歩を遂げるのだろう」などと具体化してやる必要があります。だから、最初の勝負はAKB47君の勝ちです。やりますね!
次に、there will always be room for both human beings and robotsですが、君の言うようにroomには「空間的な余地」の意味と、「活動できる余地」の2つの意味があります。問題文は、人間やロボットが部屋の中を歩き回る話ではないので、「空間的な余地」ではなくて「活動の余地」の方だと推察できます。その意味で、赤本が「roomを活動の余地くらいにしないと日本語にならない」と言っているのは正しいわけです。そして、君のやったように「人間とロボットの間にはいつも隔たりがある」とすると英文とはかけ離れた内容になってしまいます。かといって、赤本がやっているようにそのまま「活動の余地は常に存在する」とやると何だか変ですよね。なぜなら「ロボットの活動」とか「人間の活動」なんて日本語は普段そんなに使いません。そこで「活動」を「活躍」にしてやるとずいぶん分かりやすくなります。つまり、「それぞれの才能が大きく異なっているのだから、人間にもロボットにも(それぞれの分野で)これから活躍できるチャンスはいくらでもあるのです」となるわけです。だから、この勝負は引き分けというところでしょう
でも、前にも書きましたが、大学入試の英文和訳は翻訳とは違います。だから、君たちはそんなに高度な和訳の技術を要求されてはいないのですよ。確かに君の言うとおり、赤本の解答はなめらかさのない、多少ざらついた日本語なのですが、大学入試の英文和訳の答案としては、これで上等なわけです。一番大切なことは、「僕は英文の構造をちゃんと見抜いてるんだゾ!」ということを採点官に分かってもらうことなのですよ。逆に、なめらか過ぎる流ちょうな日本語なんて、英文の持つ構造をある程度無視しないと出てきません。だから、そんな日本語はとっても採点しづらいし、場合によっては減点されることもあるのです。

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