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東進衛生予備校で大丈夫か?(再掲示)

<質問>
僕は東進ハイスクールで英語を勉強している高校3年生です。東進ハイスクールのサービス・システムの中に「過去問演習講座」というのがあって、過去問を自分で解いてその答案を「本部」に送ると、PDFファイル形式で採点結果が帰ってきます。○×だけではなくて、丁寧に赤ペンで解説が書いてあって、どこがいけなかったのかが分かるようになってます。
僕はこのシステムを利用して、志望大学の名古屋大学と慶応大学の答案を採点、添削してもらいました。帰ってきた結果は7割を超えていて、予想外の好成績でした。
でも、先日先生が「東進の模試は、直前に受講した講義の内容がそのまま問題になっていて、真面目に聴いていたら誰でも好成績が取れるようになっている。過去問演習講座の採点基準も甘々で、本来なら×の答案にも△がついていて、あり得ないくらい高い部分点が与えられている。これに馴れてしまうと、本番で合格答案が作れなくなってしまう。実際に、名古屋のトップクラスの公立高校で東進を受講していた子たちがほぼ全滅で、次の年から向陽高校では東進受講禁止命令が出たほど。東進には下位層を中位層まで引き上げるコースウェアはあっても、中位層を上位まで伸ばすノウハウはない。一部人気講師の間では東大へのこだわりはあるのだけど、上位層の子たちはどこで何をしていても合格する」と言うのを聞いて、ちょっと気になってます。
ここに「過去問演習講座」のPDFファイルを添付します。お時間のあるときで結構ですから、一度見ていただければうれしいです。やっぱり、僕の答案の採点も「甘々」なのでしょうか?これからどうすれば合格答案がつくれるようになるのでしょうか?
<回答>
匿名希望くん!東進ハイスクールに通っているとのこと。「受験サプリ」もそうですが、「東進」も中位から上位への対応に難があります。薮下が耳にする「東進」の評判はあまり芳しくありません。前に一度、ある子から「過去問演習講座」の答案を見せてもらったことがあるのですが、全体的にかなり甘くて、また採点者によって同じ答案の採点結果が全く違ってました。ま、統一模試と違って、採点官は日本中の大学の過去問の答案を採点するのですから、統一した採点基準なんて作れるはずがありません。必然、同じ答案の採点結果も採点をする人によって変わってきます。これも東進がかかえるシステム上の限界なのでしょう。
さて、今回見せてもらった採点結果も「大甘」でした。気になる部分をいくつか選んでここで解説しようと思います。
2015年度・名古屋大学・大問1、問1
Misra found that in conversations where someone pulled out a smartphone while talking, the participants rated their conversation as less fulfilling and felt less connected to their partner than in conversations where no one pulled out a smartphone.  According to Misra and her research team, “Mobile phones hold symbolic meaning in advanced technological societies.”  Their paper published on July 1 in the journal Environment and Behavior concluded, “In the presence of smartphones, people have the constant urge to seek out information, check for communication and direct their thoughts to other people and worlds.”
<匿名希望くんの答案>
誰1人として携帯を取り出さない会話の場に比べ、被験者たちは会話に満足できず、相手とのつながりをあまり感じなかった。
<採点結果>
9/10点
<採点基準とアドバイス>
feltとratedの並列ですから、ここは「~と評価し、・・・と感じた」などとしよう。(-1)
この下線部訳は全体が3つの部分から成っています。それぞれのパートのポイントは赤と青の部分です。
the participants rated their conversation as less fulfilling
and felt less connected to their parent
than [they did] in conversations where no one pulled out a smartphone
下線部にasが絡んでいる場合は、配分比率が高くなります。ここでは「rate A as B」のasですから「様態のas」です。そしてlessを「あまり~ない」とか「そんなに~ない」の否定文にできるかどうかも試されています。2つ目は「A is connected to B」の表現が中心で、be動詞がfeelに置き換わっているのがミソです。lessは1つ目とセットの配点になります。3つ目はthey didが省略されていることくらいしかポイントがありません。それにthey didの省略に気がつかなくても押し切れます。だから、それぞれの得点配分は「5点-5点-0点」、あるいは「5点-4点-1点」くらいが適当です。
さて、匿名希望くんの答案ですが、「rate A as B」を「AをBだと評価する」と訳出できていません。つまり「自分たちの会話をあまり充実していなかったと評価した」とハッキり書かないといけません。「評価する」が出てこなくても「思う」「見なす」「考える」でもOKです。ただし「何をどの様に思う、見なす、考える」の文構造が必須です。言い換えると、asが「様態のas」だと分かるように訳出しないとダメです。「会話に満足できなかった」は「和訳」ではなくて「要約」になってしまってます。だから、ここの得点はゼロになってしまいます。ですから、匿名希望君の得点は厳しい目だと「4点」になります。絶対に1点減点の9点にはなりません!
ま、模試の採点基準と得点配分は大体こんなものですが、入試の採点となるともう少しシビアです。普通は「地雷」ポイントが設定されていて、それを踏んでしまうと他の部分がどんなに出来ていても0点!「地雷」をクリアして初めて部分点が獲得できる土俵に登れます。この下線部だと「as」が「地雷」になってる可能性が高く、そうなると得点は「0点」になります。
そして、おそらく匿名希望くんは「rated their conversation as less fulfilling」と「felt less connected」とを結ぶandの作る対称形には気がついていたと思われます。ただrate A as Bが上手く訳せなかっただけです。だから「feltとratedの並列関係をちゃんと訳出なさい」というアドバイスは的がハズレています。

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