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岩間君の挑戦(7)

<質問>
赤本の解答例がよく間違っていることは「薮研」の「何それ?!」を見てると分かります。慶応経済の自由英作文の解答例はどうでしょうか?僕は15年分の自由英作文の解答例を覚えるように予備校の先生に言われました。でも、せっかく覚えるのなら正しい英語を覚えたいと思います。もし、慶応経済の解答例で変なところがあったら教えてください。
<回答>
赤本の解答例を1年分暗記してもあまり意味がありませんが、15年分となると違ってきます。1年分だと、せいぜい段落構成くらいしか使えません。でも、15年分となると、主張を裏付ける根拠文のパターンが15×2=30個手に入りますからね。
例えば2013年度のテーマは「動物園を廃止すべきかどうか」です。解答例はこうなってます。
「動物園は廃止すべきではない。なぜなら絶滅危惧種の保護は私たちにとって緊急かつ不可避の課題であり、動物園はその課題の解決策として重大な役割を担っているからだ。たしかに野生の動物を囚われの状態で飼うのは反道徳的な行為かもしれないが、生物多様性を失うことの方がもっと反道徳的だ」
ここで使えるのが「Aは僕らにとって緊急かつ不可避の課題であり、テーマはその課題の解決策として重大な役割を担っている」「テーマは反道徳的行為かもしれないが、Aを失うことの方がもっと反道徳的だ」という論理パターンです。あ、ちょっと乱暴ですが、「絶滅危惧種の保護」=「生物多様性(の維持)」で括ってしまいました。さらに、テーマをAという視点から論じていて、このAが別のテーマでも使えるのがポイントです。正解パタンの暗記はTOEFLでもよく使うやり方です。
今の慶応経済は(A)、(B)2つのテーマを提示して1つを選んで論じさせます。だから、赤本の正解例は(A)、(B)2つあるわけです。それが15年分ですから、主張を裏付ける根拠文の論理パターンが全部で30(以上)手に入ります。あ、今のように直前の長文のテーマと自由英作文とがセットになったのが2012年度入試からですが、それ以前も長文とは無関係なテーマが複数個設定されているので結局同じことです。
さて、赤本がいつもやる”~”. 以外は、2016年度から2014年度の解答例の中に正しくない英語は見つかりませんでした。それにしてもなぜ赤本は”~.“の様に正しくピリオドが打てないのでしょうかね?
でも残念ながら2013年度のsolutionの使い方が間違ってます。こんな具合です。
動物園はその課題の解決策として重要な役割を担っている。
Zoos are playing an important role as a solution of it.(×)
→Zoos are playing an important role as a solution to it.(〇)
何度も言うように、英作で名詞構文のA of Bは使わないようにしなさい。絶対に間違えますからね。ここでも「その課題の解決策」だから「a solution of it」でも良さそうな気がします。でも、solutionは動詞solveから派生した名詞です。Aが動詞派生の名詞の場合、A of Bは「Bする」か「Bする」かのどちらかになります。この場合は「それ解決すること」の目的格です。一方、「それに対する解決策」にしたければ、「それ」をtoで指ささないといけません。だからa solution to itになるわけです。
その問題に対する解決策はもう見つかったよ。
I have found a solution to the problem.
難問を解決することはとてもやり甲斐がある。
The solution of difficult problems is very satisfying.
赤本は「難問に対する解決策はとてもやり甲斐がある」と言ってるわけですから、そのバカ本さ加減は相変わらずですね。2012年度以降はこうご期待です。

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