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林君からの質問(4)

河合出版の『やっておきたい英語長文700』とZ会の『リンガメタリカ』に共通して出てくる英文。
The nation has begun to have a decreasing importance as individuals and communities, gaining access to globally shared knowledge and culture, are affected by economic realities that come and go over the boundaries of the state.
河合出版の訳語
個人や地域社会が、世界規模で共有されている知識や文化を利用できるようになり、国境を越えて行き来する経済の実態に影響を受けているため、国家は重要性を低下させるようになった。
河合出版の解説
S, doing~, Vは「Sは~、Vする」と訳せばよい。
My mother, speaking with the man, remembered that she had met him before.
母は、その男とはなしていて、以前会ったことがあることを思い出した。
日本語の接続助詞「し」、「て」、「して」には次のような働きがあります。
1.「同時」
あのラーメン屋は安くおいしい
彼女は可愛い、頭もよい。
ひろしはカバンを手にも、学校へ走っていった。
2.「連続」
夏が過ぎ、秋になった。
ひろしはコンビニに行、サンドイッチを買った。
その車はしばらく直進、3つ目の角を右折、停止した。
3.「理由・原因」
ちょっと風邪気味だ、今日は家にいます。
ひろしは風邪をひい学校を休んだ。
ひろしはケガをして学校を休んだ。
4.「時」
本を読んでい、ミスプリントをみつけた。
窓を開け、雨が降っているのに気が付いた。
もう気が付いたと思うのですが、「し」や「て」、「して」の訳語は、分詞構文のすべての用法をカバーしているのです。「理由」の訳語は本来なら「~なので」が適当です。でも、直接的理由というわけではなくて、軽い付加的理由の場合には「て」や「し」で間に合います。
ひろしは風邪をひいたので、学校を休んだ。(直接的理由)
ひろしは風邪をひい学校を休んだ。(付加的理由)
分詞構文という省略技法は、この「て」と同じくらいいい加減で軽い表現なのです。ここまで読めば「S, doing~, VはSは~、Vすると訳せばよい」の意味が分かったのではないでしょうかね。
でも、それなら河合出版の訳語はこうでないといけません。
個人や地域社会が、世界規模で共有されている知識や文化を利用できるようになって、国境を越えて行き来する経済の実態に影響を受けているため、国家は重要性を低下させるようになった。
それに「」よりも「」の使用頻度が高いので、薮下なら「Sは~して、Vする」と定義するけどね。これで林君の質問に対する回答は全巻の終了です。次回は「鈴村君の質問」に答えます。

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