野々垣君からの質問(4)
前から慶應義塾大・総合政策の大問Ⅱ、第2段落の赤本の訳語を検証しています。今回は第3文を見てみます。
¶2
(3) This position suggests that things are true because they are held to be true by the socially powerful and influential, because they are true on television, and because they are true in our minds.
<赤本の訳>
こうした立場は、事物が真なのは、社会的に権力のあるものや影響力のあるものがそれを真だと考えているからであり、テレビ上は真だから、私たちの心の中では真だからだと、示唆している。
<薮下の訳>
この様な立場に立つと、物事が正しいのは、社会的な権力や影響力のある者がそれを正しいと考えるからであり、テレビで正しいと言っているからであり、僕らが自分の頭で正しいと考えているからだということになる。
<解説>
they are true in our mindsは第1段落の冒頭文の内容を言い換えているだけです。つまり、「環境は僕らの主観的な想像が生み出したものだ」が「正しいことは(客観的に僕らとは別に存在するのではなくて)主観的に僕らが頭で正しいと考えているだけだ」になっているだけです。
赤本の「心の中では真だ」が変な感じがするのは、人は頭で考えるけど、心では感じるものだからです。それにレトリックとして「心の中では」を使うときに、「心の中ではAだと分かっていても、口に出してAだとは言えない」みたいな表現を期待します。ま、ここは良しとしましょう。
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