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乾君の挑戦・その13

次の問題は2008年度、大阪大学外国語学部の英作文です。
(1)私は程なく穏やかな眠りに落ちました。然し突然私の名を呼ぶ声で目を覚ましました。見ると、間の襖が二尺ばかり開いていて、某所にKの黒い影が経っています。そうして彼の室には宵の通りまだ燈火が点いているのです。(2)急に世界の変わった私は、少しの間口を利くことも出来ずに、ぼうっとして、その光景を眺めていました。
その時Kはもう寝たのかと聞きました。Kは何時でも遅くまで起きている男でした。(3)私は黒い影法師のようなKに向かって、何か用かと聞き返しました。Kは大した用でもない、ただもう寝たか、まだ起きているかと思って,便所へ行った序でに聞いてみただけだと答えました。 (4)Kは洋燈n灯を背中に受けているので、彼の顔色や目つきは、全く私には分かりませんでした。けれども彼の声は不断よりも却って落ち付いていた位でした。
(1)I fell asleep peacefully after a while.  But I was awaken because my name was suddenly called.
(2)The world around me suddenly changed, so I chouldn’t speak to him and I looked at the scene vacantly.
(3)I asked K who was like a black shadow whether he wanted something.  I said that he had just asked me whether I still awake or not when he went to the restroom.
(4)K was in front of a lamp, so I couldn’t see the appearance of his face.  But his voice was calmer than usual.
<読者への挑戦>
赤い部分の英語が間違っています。さて、どうしてそれが間違っているのか、またどうすれば正しい表現になるのかを考えてみてください。
<添削>
乾くん!あ、本当は脇坂くんなのですが、夏目漱石の「こころ」なんて難しい日本語を上手に英訳していますよ。それにしても大阪大学も鬼畜ですね。こんなの出しちゃダメですね。大体高校生に夏目漱石が英訳できるはずないでしょ!一体何考えているのでしょうかね。
そういえば、教育改革だか何だか知りませんが、小中高をガチャガチャに引っかき回したくせに、大学は何もするつもりはないのですね。一番変わらないといけないのは小中高じゃなくて大学でしょ!ま、日本は教育にはお金を出そうとしない国なので、教育改革をほったらかしてマグロを育てなくちゃならなくなるのですよ。
さて、添削のポイントは「目が覚める」です。これが結構厄介です。「目が覚める」の自動詞にも、「目覚めさせる」お他動詞でも、どちらにも使える動詞が4つもあります。しかも形がソックリなんです。こんな具合です。
wake – woke – woken -waking
waken- – wakened – wakened -wakening
awake – awoke – awaken – awakening
awaken – awakened – awakened – awakening
どう考えてもこの4つに同じ意味があるなんて無駄だし、使ってる内に混同したに決まってます。研究社のライトハウスなどには「wakeとwakenは文字どおり睡眠の状態からさめる[さます]という意味に多く用いられるのに対して、awakeとawakenは比喩的に[目ざめさせる]、奮起する[奮起させる]という意味に用いられることが多い」なんて無責任なことを書いてます。大修館のジニアスに至っては、比喩的な意味ではawakeよりもawakenがよく使われると書いてます。でも、4つとも使い方が混ざってしまって、「目ざめさせる」にも「呼び起こす」にも使うわけですから、ここは頻度がポイントじゃありません。
特に英作文ではwakenやawakenの-enで終わる単語は使わないことです。どうしてかというと、wakenやawakenは格式語といって、とっても堅い表現なので普段はあまり使いません。あ、動詞のawakeもやっぱり文語的な堅い表現をつくります。awakeは動詞じゃなくて形容詞でよく使います。だから、動詞はwakeを使い、awakeは形容詞だけに使うのです。こんな具合です。
その物音で昼寝をしていた私は目が覚めた。
The noise woke me [up] from my nap.
I woke up from my nap because of the noise.
僕はは早く布団に入ったが、長い時間寝ないで起きていた。
I went to bed early but was awake for quite a long time.
そして、覚えておいて欲しいのは、他動詞wakeは受け身になりません。これって辞書や参考書に書いてないのが不思議ですね。一番大切なことなのに。
その物音で昼寝をしていた私は目が覚めた。
I was woken from my nap by the noise.(×
ちなみに、-enで終わるwakenとawakenは受け身になります。こんな具合です。
その物音で、昼寝をしていた私は目が覚めた。
I was awakened [wakened] from my nap by the noise.
だから、「しかし突然私の名を呼ぶ声で目を覚ました」は、I was awakenではいけません。-enで終わってるのでなんとなくawakenが過去分詞のような気がするのですが、awakenが原形です。I was awakenedにすればOKです。でも、-en系は使わずにwakeを使って書くのが無難です。
突然私の名を呼ぶ声で目を覚ました。
I woke up because my name was suddenly called.
そして「まだ起きているかどうか」は形容詞awakeを使っているので、人is awakeにしてやります。
私がまだ起きているかどうか
whether I was still awake or not
<添削結果>
(1)I fell asleep peacefully after a while.  But I was awakened because my name was suddenly called.
(3)I asked K who was like a black shadow whether he wanted something.  I said that he had just asked me whether I was still awake or not when he went to the restroom.

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