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服部くんからの質問(5)

<質問>
これは先日受験した、駿台第2回京大入試実践模試の大問1の第2段落です。
The nature of consciousness remains one of the most perplexing of all scientific mysteries.  The human brain is a lump of material made of ordinary cells working on chemical and electrical principles.  From the point of view of fundamental biology and the laws of physics, it is a perfectly ordinary physical machine, although one of undeniable complexity.  But if the brain is merely physical stuff doing ordinary physical things, what is the seat of the seemingly spiritual entity that can perceive itself and say, “I”?  Are our emotions and sense of responsibility merely the consequences of the mechanical laws of physics when combined in a setting of sufficient complexity?  Or is there some mysterious extra ingredient in the brain’s workings, without which consciousness would be impossible?
 下線部に出てくるwhenについて次のような説明が「正解と解説」の中に出てきます。
when combinedの修飾関係については、Are S merely the consequences・・・?を修飾する副詞要素ととっては意味が通らない。(「物理学の機械的な法則が・・・組み合わされるとき、私たちの様々な感情や責任感は物理学の機械的な法則の結果にすぎないのか」では意味をなさない)ことより、ここではthe consequencesを修飾する形容詞要素と解して、「物理学の機械的な法則が、十分な複雑さをもった環境のなかで組み合わされる(ときの→)ときに生じる結果」というように訳すのがよい。関係副詞ではなく接続詞のwhenが形容詞節を導く例には次のようなものがある。
ex. You can imagine his embarrassment when he was asked this question.
「このような質問をされたときの彼の当惑が想像できるでしょう」
そして、次のような正解が載ってました。
私たちの感情や責任感は、物理学の機械的な法則が、十分な複雑さを持った環境の中で組み合わされたときに生じる結果にすぎないのかもしれない。
 僕にはwhen節が形容詞になることがよくわかりません。関係副詞でもないwhen節が名詞を修飾することがあるのでしょうか?僕は普通に「SがVするとき」と訳したのですが、これは誤りなのでしょうか?僕の答案はこうです。
私たちの感情や責任感というものは、とても複雑な環境の中で物理学の機械的な法則が組み合わさったときに、その様な法則の結果としてできあがったものなのだろうか。
 薮下先生の考えを聞かせてください。
 <回答>
服部くん!センター試験は十分に京都大学を狙える結果でしたね!その調子で頑張ってください。論説文を英語で要約する練習もやりましょうね。来週は車戸先輩が京都から帰ってきますから、良いアドバイスが聞けると思いますよ。
 さて、ご質問のwhenですが、これは君の言う通りで、whenには関係形容詞の用法はありませんし、接続詞whenが形容詞的に用いられることもないので、英文法上when節が形容詞になることはありません。では、駿台の先生が「接続詞のwhenが形容詞節を導く例」として挙げている英語を見てみましょう。
彼がこの質問をされたとき、彼は困惑した。君はそれがわかるだろう。
When he was asked this question, he got embarrassed.  You can imagine his embarrassment.
 このように2文に分けて考えると、whenはただの接続詞で副詞の用法しかないことがわかります。ここからhe got embarrassedを省略してできたのが駿台の先生が挙げている例文なわけです。言葉に省略は付きもので、その度にこのwhen節は副詞だの、あのwhen節は形容詞だのと言ってたらきりがありません。そんなことは全くのナンセンスですよね。
 ですから、駿台の先生が何点つけてくれるかわかりませんが、薮下は君の和訳に満点をあげます。
 さて、駿台の先生が作った「正解」に、薮下はちょっと違和感があります。先ず、薮下の和訳を下に書きます。
僕らの感情や責任感は、(脳という)十分に複雑な舞台装置の中で物理学の機械的な法則が複合的に働くとき、その法則から必然的に導かれる結果なのである。
 ま、大学入試の英語は翻訳じゃありませんから、「直訳」っぽい和訳も仕方がないと薮下は思っています。自分が英語が読めてることを採点官に伝えるためには、英文の構造をできるだけ変えたくありませんからね。でも、言いたいことが伝わらない和訳は「誤訳」です。例えばin a setting of sufficient complexityの駿台正解は「誤訳」です。
「十分な複雑さを持った環境の中で」⇔「脳という十分に複雑な舞台装置の中で」
 ほらね!全く違うでしょ?settingを「環境」と訳したのでは「脳」じゃない別のもののことを言ってる気がします。次にthe consequences of the mechanical laws of physicsの駿台正解も「誤訳」です。
「物理学の機械的な法則が組み合わされたとき生じる結果」⇔「物理学の機械的な法則から必然的に導かれる結果」
 感情や責任感は物理学の法則が組み合わされたときにわいてきますか?いいえ、そんなことにはなりません。ここでいいたいconsequencesは「物理法則から必然的に導かれる結果」という意味です。物理法則が感情を生じさせることはありません。ま、「この法則はさっぱりわからん!もううんざりだ」という感情は生まれるかもしれませんがね。
 大学入試や模試の問題を見ていて思うのですが、作問委員は自分が正確に訳出できないような英文を出題してはダメです。そんなもの生徒も理解できるわけないじゃないですか!もうちょと注意して問題を作ってくださいね。

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