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三木翔くんからの質問(赤本=バカ本)・その2

やっぱり思った通りで、第4段落にスゴイ誤訳がありました。
The separation of presence from communication offers us more control over our social worlds yet simultaneously subjects us to new forms of control, surveillance, and constraint.  Naomi Baron* argues that new media offer us “volume control” to regulate our social environment and manage our encounters.  We can create new opportunities to converse.  We can avoid interactions, talking into a mobile phone (or pretending to) to avoid a co-present acquaintance or letting calls go to voice mail.  We can manipulate our interactions, doing things like forwarding nasty emails or putting people on speakerphone.  We can use nonverbally limited media such as text messages or emails to shelter us from anxiety-inducing encounters(中略).
[2015年度・同志社大学・経済学部]
赤本の訳はこうです。
その場に存在することとコミュニケーションが分離することにより、私たちは社会生活をより制御できるようになるが、同時に新しい形態の制御、監視、制約に服するようになる。新しいメディアは、私たちの社会環境を制御し、私たちの出会いの経験を管理するための「音量調節装置」を私たちに与えると、ナオミ=バロンは論じている。私たちは会話するための新しい機会を作り出すことができる。私たちは人との交流を避けることもでき、知り合いと共にいることを避けるため(あるいは避けるふりをするために)携帯電話に向かって話したり、電話を留守電にしたりもする。渡した日は人との交流を操作し、不愉快なメールを転送したり、電話の声をスピーカーフォンから流したりする。私たちは不安を誘発する出会いから自分を守るために、テキストメッセージやメールのような非言語的要素が乏しいメディアを使うことができる。(中略)
先ず、下線部ですが、talking into a mobile phone (or pretending to) to avoid a co-present acquaintanceの訳が違ってます。この子はorが何を結んでいるのか分かってませんね。
薮下が前から言ってるように、and、but、orが出てきたら直後に注目し、直前に同じ形(機能語)を探すのでしたね。そうすれば、and、but、orが何を結んでいるのか簡単に分かりました。このorの直後に注目するとpretendingの-ingになってるのが分かります。直前に-ingを探すとtalking into a mobile phoneがありますから、このorは次の2つを結んでいるのが分かります。
携帯に向かって話したり、あるいは話すフリをしたり
talking into a mobile phone
or
pretending to [talk into a mobile phone]
だいたい、話をしたくない人がいたら、「その人を避ける」のは分かりますが「避けるふりをする」ってどういうことでしょうか?まったく意味不明ですよね。その状況をちょっと思い浮かべてみれば「避けるふりをする」という訳語が間違ってるってすぐに分かります。この子はかなり頭が悪いと思います。
次に、赤い部分nonverbally limited mediaですが、「非言語的要素が乏しいメディア」って一体なんですか?「非」と「乏しい」が否定表現だから、これだと一種の2重否定になって「言語的要素にあふれたメディア」という意味になります。でも、何を言ってるのかさっぱり分かりませんよね。
nonverballyは「言葉を使わずに」、limited mediaは「限られたメディア」です。副詞nonverballyがlimitedを飾っているので「言葉を使わないことに限定されたメディア」が原義です。良く分からないときは、左に書いてあることが右で説明されるのが英語ですから、先に必ずヒントがあります。そう思って右を見ると、such as text messages or emailsとあるので、「言葉を使わない」よりも「声を使わない」の方が正確だと分かります。
声を使わないことに特化したメディア
nonverbally limited media
薮下の和訳を載せておきます。参考にしてください。それにしても、同志社の赤本で勉強しても同志社は合格しないんじゃないですか?これじゃ三木君の言うとおりで、「バカ本」と言われても仕方がありません。
自分(の存在)をコミュニケーションから引き離すことによって、僕らは社会生活をもっと上手くコントロールできるようになるのだけど、それと同時に、今までとは別の管理や監視、制約に支配される。新しいメディアは僕らの身の回りの環境を調整して、人と人を結びつけるための「調節つまみ」を僕らに与えると、ナオミ=バロンは言ってる。僕らは人と会話をする新しいチャンスを作ることができる。同じ場所にいる人と話したくないときは、携帯電話に向かって話したり(あるいは話すフリをしたり)、また留守電にしたりすることによって、相手との関わり合いを避けることができる。いやなメールを他人に転送したり、電話の声をスピーカから流したりして、僕らは人とのやり取りを思うままに操ることができる。不安になるような出会いを避けるために、テキスト・メッセージやメールの様な、声を使わないことに特化したメディアを僕らは使うことができる。でも、僕らが他人を思い通りに操るためにこうしたメディアを使うことができるのとまったく同じように、他人もまた簡単に僕らをあやつることができるのだ。いつでもどこでも連絡がとれると思っているので、僕らの自由はますます制約される。そして、僕らはいつでもちゃんと応答しなきゃならない義務を負うことになる。

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