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乾君の挑戦・その10

次の問題は、1012年度の慶応・経済Ⅲです。添削をよろしくお願いします。
<問題>
K1:お姉ちゃん、大学に入ってから友人を作るコツをおしえてくれる?
M1:そんなの簡単よ。キャンパスでいつも笑顔でいればいいのよ。
K1:えー、それって大変じゃない?
M1:ぜーんぜん!心配しないで、前向きでいるのが一番よ。
<答案>
K1:My sister, can you tell me how to make friends in college?
M1:It is easy.  All you have to do is to keep smiling on campus.
K1:Really? I feel that it is difficult for me Can I do it?
M1:Don’t worry.  It’s best to be positive.
<読者への挑戦>
赤い部分の英語が間違っています。さて、どうしてそれが間違っているのか、またどうすれば正しい表現になるのかを考えてみてください。
<添削>
乾君!あ、本当は野々垣君なのですが、英語に「お姉ちゃん!」という言い方はありません。普通はfirst nameで呼びかけます。でも、この問題文からは、対話しているのがKちゃんとMちゃんとしか分かりません。さて、どうしましょうかね。
①My sister
赤本は「単なる呼びかけのHiでよいだろう」と書いてますが、長い間会ってない姉妹が久しぶりに顔を見たならばHiで良いですが、問題文がそんな状況だとは考えられませんね。だから、赤本のHiはダメです!慶応が要求しているのは多分、何も書かないことじゃないでしょうかね。薮下なら、KをKyoko、MをMikiくらいにして、Miki, can you tell me how to~と書きます。その方が面白いですよね。
②I feel that it is difficult for me
I feel that~は嫌な予感がしたり、何となく良い(良くない)と感じたりするときに使います。つまり、「何の根拠もなくそう思う」という意味です。でも、ここでは「何となくいつも笑っているのが難しい感じがする」って変ですよね。だからI think that it is difficultにします。もし、どうしてもfeelが使いたければ、自身のない表現にしてやるとよいでしょう。
もしかすると大変かも知れない
I feel that it would probably be difficult for me.
③Can I do it?
これでは「それをやっていいですか?」という意味になって、相手に許可を求める表現になってしまいます。「そんなことあたしにできるのかしら?」にするには、I wonder if I can do itにします。あ、そう言えば赤本の解答がIsn’t it difficult to do so?になっていたのですが、これって姉妹で交わす会話じゃありません。とっても他人行儀で事務的です。同様に、「ぜーんぜん」→「すこしもそうではない」と考え、not at allを用いる、と赤本は説明してますが、これも身内に使う表現ではありません。赤本のこの根拠のない自信はどこからくるのでしょうか?

4 Comments

  1. おかみ wrote:

    はじめまして。英語の参考書のことで質問したいことがあり、初めて投稿させていただきます。質問を投稿すべき場所が分かりませんでしたので、こちらに書き込みます。
    昨日、自由英作文対策として小倉弘先生の『例解 和文英訳教本 自由英作文編』(プレイス)を購入したのですが、p.10のところに、引用符の不思議な説明があります。
    —-
    ■注意すべき表記法
    2. ”(引用符)の終わりで、カンマやピリオドを打つ場合
    原則は、カンマかピリオドを打ってから、閉じる引用符(‘)を付ける。
    —-
    とあり、例文でこんな文章が出てきます。
    —-
    Children look forward to ‘otoshidama,’ a monetary gift.
    —-
    私は英語の引用符の使い方を詳しく調べたことがあります。一般に、最初にシングルクォテーションマークで閉じる引用符は主に英国人が使い、ダブルクォテーションマークはアメリカやその他多数の英語圏で主流だと言われています。個人的には、最近のイギリス人でも、新聞や辞書等の語学書は別として、私的な文章ではダブルを好んで使っているケースをよく見かけます。これもインターネットの影響でしょうか。
    さて、英国式のシングルクォテーションマークを最初の引用符として用いる場合は、コンマやピリオドを原則として引用符の外側に打つものだと思い込んできました。ところが、この本の小倉先生の用例は、例外なく内側にコンマ・ピリオドを入れてしまっています。正しくはダブルクォテーションマークにすべきだと私は考えるのですが、この本の記法は間違いではないのでしょうか? 
    実はこの本では、英語の基本的な記述法が間違っていると、いくら内容が優れていても英作文は評価されない、などと冒頭に書かれているのですが、最初の表記法を見て、あれ? と首を傾げてしまいました。使い勝手はよいので、もし冒頭からボタンの掛け違いが発生しているのだとしたら、本当に残念です。
    どの国のネイティヴが採点するか分からない大学入試の英作文では、引用符の中の引用符でない限り、ダブルを優先して使った方が無難だと考えています。
    まとめると、私からの質問のポイントは2つです。
    1. 小倉先生の引用符の記法は間違いではないか?
    2. 大学受験で英作文を書く際は、引用符として英国風のシングルクォテーションマークを使うのは避けた方がよいか?
    本来なら小倉先生に質問すべきですが、小倉先生の連絡先が本に載っていないので、こちらでご意見を伺うことにしました。お手数をおかけしますが、お時間のあるときにお答えいただけると幸いです。

    水曜日, 10月 7, 2015 at 2:00 AM | Permalink
  2. yabu wrote:

    おかみさん!あ、何だかゴロが良すぎる気もしますが、これでゆきます。ご質問のquotation markの使い方ですが、英語を書く人間がバイブルとして使っている”Chicago Manual of Style”という本があります。これはシカゴ大学が編集しているバリバリの米語マニュアルです。薮下が翻訳をするときに、表記法で迷ったときには、必ずこの本を参照して、そこに書いてある表記法に従います。
    薮下が所有しているのは15th Editionで、その242ページにPeriods and commasという項目があって、こう書いてあります。
    Periods and commas precede closing quotation marks, whether double or single. This is a traditional style, in use well before the first edition of this manual (1906).
    「ピリオドやコンマは、ダブルでもシングルでも、閉じている引用符の前に来る。これは昔からの表記法で、このシカゴ・マニュアルの初版が出るずっと前から使われている」
    ですから、(1)引用符の使い方は小倉先生の言うとおりです。最近ではインターネットの影響で英文法の基本的なルールが崩壊しつつあって、3単現の-sや-esなどは消滅しつつあります。引用符のルールもいい加減になってきてます。でも、大学入試は実用英語と違って、閉じた世界で成立している学力判別法ですから、ちゃんとルールに従って表記することを要求されています。そして、(2)大学入試の英語は原則として「米語」を基準にしているので、英国風の引用符の使用は避けた方が賢明です。ま、英国風の表記法で書いたからと言って減点されることはないとは思いますが。

    水曜日, 10月 7, 2015 at 9:02 AM | Permalink
  3. おかみ wrote:

    お忙しい中、丁寧にお答え下さり、本当にありがとうございます。先生の回答のおかげで、小倉先生の記法にもきちんとした根拠があることが分かりました。
    ネットではシングルの引用符とダブルの引用符の使い分けを説明しているサイトがいくつかあり、私もオクスフォード大学出版会(OUP)の本で同様の説明を読んだので、シングルとダブルの間に厳格な使い分けがあるものと思い込んでいました。
    引用符のコンマとピリオド(英米の違い)
    http://www.enago.jp/learn/period-and-comma-placement-with-quotation-marks.htm
    The Oxford Guide to Style
    http://www.eng-lang.co.uk/ogs.htm
    厄介なのは、OUPのようなイギリス英語をベースにした学習書が英語学習者の世界で大きな影響力を持っていることですが、21世紀のイギリス英語の地位を考えると、外国人がOUPの記法に固執するのは間違った選択なのかもしれません。もっとも、英語初心者が英語だ米語だ、などと囃し立てるのは十年も二十年も早いと自覚しています。
    ぶしつけな質問にもかかわらず、こんなに丁寧に回答していただけるとは思いませんでした。本当に感謝しています。ありがとうございました。

    水曜日, 10月 7, 2015 at 11:57 PM | Permalink
  4. yabu wrote:

    おかみさん!紹介していただいたリンクを拝見しました。Chicago Manual of Styleが米語のスタンダードなら、The Oxford Guide to Styleは英語表記法のバイブルですね。でも、おかみさんの言うとおりで、英米の細かい表記法に拘る前に、正しい英語を書くことを心がけるのが良いのでしょう。それにしても、色んな人が色んなブログを作ってるのですね。The Oxford Guide to Styleを紹介しているのはコンピュータ技術屋の人だし、英米の違いを紹介しているのは学術論文の翻訳屋の人ですね。色んな考え方が時間軸を抜き取られたまま、一度に同じ土俵に乗っかるのがネットの恐いところだと思います。きっとそのうち英作文という問題形式は成り立たなくなるのでしょうね。

    木曜日, 10月 8, 2015 at 10:04 AM | Permalink

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